アンキロセラス亜目とは? わかりやすく解説

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アンキロセラス亜目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/23 07:13 UTC 版)

アンキロセラス亜目
ハミテス英語版
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
後期ジュラ紀 - 後期白亜紀
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
上門 : 冠輪動物上門 Lophotrochozoa
: 軟体動物門 Mollusca
: 頭足綱 Cephalopoda
亜綱 : アンモナイト亜綱
Ammonoidea
: アンモナイト目 Ammonitida
亜目 : アンキロセラス亜目 Ancyloceratina
学名
Ancyloceratina
Wiedmann, 1966
亜目

アンキロセラス亜目(アンキロセラスあもく、Ancyloceratina)は、アンモナイト亜綱アンモナイト目に属する頭足類亜目の一つ。後期ジュラ紀に出現した[1]後期白亜紀には本亜科のうち特にノストセラス科が爆発的に多様化し、日本をはじめ北太平洋地域のアンモナイトを代表する分類群となった[2]。アンキロセラス亜目の属種には異常巻きアンモナイトが多い[1]

特徴

アンキロセラス亜目には、異常巻きアンモナイトと呼ばれる、螺環同士が同一平面上に存在しないものや、密着せずに空隙が開いている形状の殻を持つものが知られている。異常巻きアンモナイトの殻の形状は属や種ごとに様々である。具体的には、バネのような形状を示すユーボストリコセラスヘビが複雑にとぐろを巻いたようなニッポニテスなどが知られている[3]

アンキロセラス亜目は形状のみならず体サイズの多様性も高い。例えば、スカフィテス英語版属のスカフィテス・サブデリカツルスは成年殻が直径4.5センチメートル程度であり、小型の種である[4]。一方でアンキロセラス亜目で最大の属であるディプロモセラスには、殻が湾曲した状態で長さ2メートルに達する個体も発見されている[5]

進化史

アンキロセラス亜目は後期ジュラ紀にペリスフィンクテス亜目のペリスフィンクテス上科英語版を起源に出現したとされる。最初に出現したアンキロセラス亜目はアンキロセラス上科で、前期白亜紀のうちにデスハイシテス上科・ドウビレイセラス上科・ツリリテス上科英語版・スカフィテス上科が出現した[1]。ツリリテス上科とスカフィテス上科を除く3グループは前期白亜紀のうちに絶滅したが[1]後期白亜紀にツリリテス上科は北太平洋地域の西部で繁栄を遂げており[3]、日本では北海道四国讃岐山脈[6]淡路島[7]などで化石が多産する。

なお、残ったツリリテス上科とスカフィテス上科も白亜紀末のK-Pg境界の大量絶滅事変を乗り越えられずに姿を消した[1]

生態

アンキロセラス亜目は形態的な多様性に富んでおり、それは多様な生態を反映している。正常巻きのアンモナイト全体の生息した水深は海面から10 - 200メートル程度とされる一方、バキュリテスのように尖った殻を持つものは海面近くを高速で遊泳していたことが、逆に水の抵抗の大きい形状をなす属種は海底付近に生息していたことが推測されている[8]

脚注

  1. ^ a b c d e ロバート・ジェンキンズ. “アンモナイトの系統”. 古生物の部屋. 2021年1月25日閲覧。
  2. ^ 早川浩司「アンモナイト学」『化石』第74巻、日本古生物学会、2003年、85-88頁、doi:10.14825/kaseki.74.0_85 
  3. ^ a b 土屋健 (2020年1月30日). “ひねくれの極みで繁栄した「日本の化石」の正体 アンモナイト類のニッポニテスが収めた大成功”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. pp. 3-5. 2021年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月25日閲覧。
  4. ^ 森伸一『北海道羽幌地域のアンモナイト 第2版』北海道新聞事業局出版センター、2018年5月28日、97頁。ISBN 978-4-86368-029-6 
  5. ^ Genya Masukawa; Hisao Ando (2018). “Late Campanian-early Maastrichtian heteromorph-dominated ammonoid assemblages of the Nakaminato Group, central Honshu, Japan: biostratigraphic and paleontological implications”. Cretaceous Research 91: 362-381. doi:10.1016/j.cretres.2018.06.018. https://doi.org/10.1016/j.cretres.2018.06.018. 
  6. ^ 両角芳郎. “阿讃山地から産出するノストセラス科アンモナイト”. 徳島県立博物館. 2021年11月4日閲覧。
  7. ^ ミニ企画展「異常巻アンモナイト、ノストセラス大集合」”. 兵庫県立人と自然の博物館. 2021年1月25日閲覧。
  8. ^ 福田芳生「新・私の古生物誌(4) ─アンモナイトの進化古生物学(3)─」『The Chemical Times』第209号、関東化学、2008年。 



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