.sgmlとは? わかりやすく解説

エス‐ジー‐エム‐エル【SGML】


SGML 【Standard Generalized Markup Language】


SGML

フルスペル:Standard Generalized Markup Language
読み方エスジーエムエル

SGMLとは、マークアップ言語のひとつで、他のマークアップ言語源流位置し1989年ISOに8879として標準化され規格のことである。

大量文書電子出版物などを処理するために、文書論理構造からレイアウト装飾までを、タグ付けによって記述することができるようにされた。同時にハードウェアソフトウェアの種類かかわらず読み書きができるように配慮されてある。しかし記述様式は複雑であった。これを簡略化し、Webページ作成に当って扱いやすくされたものが、HTMLXMLとなる。

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Standard Generalized Markup Language

(.sgml から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 15:41 UTC 版)

Standard Generalized Markup Language
MIMEタイプapplication/sgml, text/sgml
UTIpublic.xml
開発者ISO
種別メタ言語
派生元GML
拡張HTML, XML
国際標準ISO 8879

Standard Generalized Markup Language(スタンダード ジェネラライズド マークアップ ランゲージ、略:SGML)は、マニュアルなどの文書のためのマークアップ言語である。

背景

オックスフォード英語辞典の電子版を記述するのにSGMLが利用された。

1980年代、軍艦や軍用機などの際限のない高度化は、マニュアルの際限のない膨張という結果をもたらした。改良が加えられた時などにもマニュアルを書き直す作業が発生して業務の負担となっていた。このことから、マニュアルを電子化して容易に書き換えられるようにし、印刷用紙を大幅に削減することで、メンテナンスの簡素化をはかるための技術が必要とされた。

ただし、軍艦や軍用機などは数十年という長期間の保有が必要になるため、長期間にわたりデータが利用可能とならなければならない。電子文書は特定の企業のワープロソフトを用いるとそのソフトのバージョンが上がったり、最悪の場合そのソフトを開発している会社が開発を中止したり、倒産したりしてソフトウェアが無くなった場合は、今まで作成したデータが読めなくなるという問題が発生してしまう。そこで、専用のソフトウェアでなくとも編集可能なプレーンテキストを元に、タグを使うことによってデータに意味を持たせることが考えられた。

歴史

1979年IBMプロジェクトマネージャをしていたチャールズ・ゴールドファーブ英語版 は、Edward MosherおよびRaymond Lorieらとともに、「GML」(Generalized Markup Language) を発表し、それは「DCF」(Document Composition Facility) の名で商業化された。この成功でゴールドファーブは有名になり、IBMを退職してGMLの後継言語であるSGMLを開発することになったのである。

ISOのSGML規約は1986年の出版後2ヶ月も経たないうちにベストセラーとなった(その10年前に発売されたFORTRANのISO規約の部数を2ヶ月で超えた)。

SGMLは、ISOから正式に承認される以前から、すでに、アメリカ国防総省ECの公式出版事務局など、数々の公的機関で使用され始めていた。ゴールドファーブの古巣のIBM社でも導入され、同社の文書システムに大変革をおこした。ヨーロッパでもCERN(欧州原子核研究機構)など、広く採用され、例えばフランスを例に挙げると、エアバス社、SNECMA(フランス国営の航空機エンジンメーカー)およびフランス軍などで採用されることになった。

日本においては、厚生省への新薬申請のデータ形式としてSGMLが採用された。それに伴い製薬会社やその関連企業においても導入された。他にも特許庁などでも導入された。航空機産業防衛産業自動車産業においても海外との共同開発や部品供給時の情報交換マニュアル・報告書の電子化などに利用されることとなった。

特徴

  • SGMLは「インスタンス」、「DTD」、「SGML宣言」の3つで構成されている。
  • SGMLのデータ自体はプレーンテキストで作られている。
  • レイアウト情報はスタイルシートを組み合わせて記述される。
  • スタイルシートは「スタイルシート言語」で記述されている。
  • 通常、人が読む時は、上記スタイルシートに沿って、レイアウトを整えられたうえで表示(出力)される。
  • SGMLで使うことができるスタイルシート言語として、DSSSL (Document Style Semantics and Specification Language) の規格が定められた[注 1]

簡単な例

<!DOCTYPE memo PUBLIC "-//SuzukiCorp//DTD Memo//JP">
<memo>
<from>木村
<to>富田様
<date>2001/10/01
<subject>役員会議
<para>役員会議の場所は会議室Bに変更になりました。
</memo>

パーサ

SGML文書を、人間が読めるように、レイアウトして表示することは、SGMLパーサという名のプログラムが行う。つまり構文解析およびレイアウトを行うプログラムである。SGMLパーサの最も初期の市販品としては、ブリュッセルのSOBEMAP社のものおよび、シカゴのDatalogics データロジックス社[注 2]のものがあった。[注 3]

問題

SGMLは機能が満載されていたことにより、そのままでは全てを実装することは困難であった。また、タグの構造が原因で、パーサのアルゴリズムが比較的複雑になることも難点だった。そこで後に、SGMLを簡略化および改良した形のXMLが開発され、普及してゆくことになった。SGML文書はXML文書へと順次、変換・移行されることになった。

貢献

  • 上記のごとく、SGMLをもとにして、XMLが開発された[注 4]
  • SGMLを基にした応用技術の一つが、HTMLである[注 5]ウェブページを記述する言語HTMLなくしては現在の爆発的なインターネットの普及は考えられない。

SGMLはこれら2つのマークアップ言語の源流であり、現在のインターネット利用者は皆SGMLの恩恵に浴しているのである。

参考文献

  • 『SGML入門』Martin Bryan 著、山崎俊一、福島誠 訳、アスキー出版局、1991年 ISBN 4-7561-0069-4

注釈

  1. ^ HTMLでのスタイルの記述は CSS (Cascading Style Sheets) による。
  2. ^ http://www.datalogics.com/
  3. ^ 注:SGMLパーサは、SGML文書の文法が規則に適合しているか検証する機能も持っており、そうした機能のためにだけ使われることもある。出典 http://www.asahi-net.or.jp/~sd5a-ucd/rec-html401j/sgml/intro.html#h-19.1
  4. ^ SGMLとXMLの対応(比較)については、ジェームズ・クラークによる「Comparison of SGML and XML」というタイトルの、1997年12月15日に議論のためにまとめられた(何らかの公式のものではない)ノートがあり、それによればSGML (ISO 8879) とXMLの関係はスーパーセットともサブセットとも結論付けられてはいない。XML 1.0のAppendix CではNon-Normative(参考)として、XMLはSGMLのサブセットとなるべく設計され(designed to be)、全てのXML文書は同時にSGMLにもconforming(準拠)でもあるべき(should)と書かれており、前述のノートを参照せよとされている。国際標準は ISO 8879:1986 であり、対応するJISとして JIS X 4151:1992 が存在する。
  5. ^ HTML4までのHTMLはSGML応用系とされていたが、HTML5以降はSGML応用系ではない。

出典

関連項目

外部リンク


SGML

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 01:17 UTC 版)

マークアップ言語」の記事における「SGML」の解説

詳細は「Standard Generalized Markup Language」を参照 構造視覚表現明確に区別した最初言語ブライアン・リード開発し1980年彼の博士論文述べているScribeスクライブであったScribe多くの点で画期的であり、マークアップされた文書からスタイル分離するというアイデアだけではなく、意味要素使用統制する文法一種スキーマ)をも持っていた。ScribeGML(後のSGML)の開発影響与え、またHTMLLaTeX直接祖先ともなった1980年代初期に、マークアップ文書の構造面に専念し視覚的な表現に関して処理系任せるべきだ、という思想によってSGMLが誕生した。この言語はゴールドファーブが議長務め委員会によって策定され複数研究・プロジェクト(GenCode など)から成果取り込んでいた。シャロン・アドラーやアンデルス・ベルクルント、ジェームズ・D・メイソン委員会の主要メンバーであった。 SGMLは文書マークアップ含め構文や、どんなタグがどこで使えるのかなどを記述する構文DTD)を規定していた。これによって、文書作成者は望むマークアップを、最も意図に近いものや母語で名前が付いているものなど、何でも作成し利用することができた。それゆえ、SGMLは正しくメタ言語であり、多く具体的なマークアップ言語がそれから派生していった。1980年代から現在に至るまで、ほとんどの新しマークアップ言語はSGMLに基づいたものであったTEIDocBookなどがその例である。SGMLは1986年ISO 8879として国際標準になった。 SGMLは非常に大きな規模文書を扱う現場で広く受け入れられ利用された。しかしながら一般的には覚えるのが煩わしく難しいとみなされている。これは多彩すぎる機能と高すぎる柔軟性実現した副作用である。複雑な仕様の例として、SGMLでは終了タグ(または開始タグかその両方)が文脈によって省略可能となっているが、これは過労気味の入力作業員マークアップ手動で行うような場合キーストローク節約望まれている、との配慮よるものである。

※この「SGML」の解説は、「マークアップ言語」の解説の一部です。
「SGML」を含む「マークアップ言語」の記事については、「マークアップ言語」の概要を参照ください。

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