身体障害者手帳
別名:身障者手帳、障害者手帳
身体障害者が各種の福祉サービスや医療費の助成、税制上の優遇措置などを受けるにあたって、自らの障害を証明する機能を持つ手帳のこと。身体障害者自身が医師の診断書を添えて、都道府県知事に申請することで交付される。
身体障害者手帳は身体障害者福祉法第15条に基づき交付され、対象となる身体障害は身体障害者福祉法別表に定められている。視覚障害、聴覚障害など複数の障害が対象となっており、各々について1級から6級までの等級がある。肢体不自由については7級まで定められており、7級単独では身体障害者手帳の交付対象とならないが、7級の障害に2つ以上該当する場合には6級と見なされ、交付対象に含まれる。
身体障害者手帳の所有者は、所得税の控除、住民税の非課税、生活保護の障害者加算、JRや航空機など公共交通機関の運賃割引など、様々な場面で支援を受けることができる。また、障害の種類によっては、車椅子や補聴器などの購入にあたって補助金が支給される場合がある。障害者求人への応募などにあたっても、障害者手帳の提示が条件とされているのが一般的である。
身体障害者福祉法第15条、第16条、第46条では、身体障害者手帳を譲渡または貸与したり、障害を装って身体障害者手帳を取得したりした者は身体障害者手帳を返還しなければならず、10万円以下の罰金が課せられることが定められている。視覚障害や聴覚障害などでは特に、詐病による身体障害者手帳の不正取得が問題となることがあり、中には医師が診断書の偽造に関与していたと見られる例もあった。
関連サイト:
身体障害者福祉法 - e-gov
しんたいしょうがいしゃ‐てちょう〔シンタイシヤウガイシヤてチヤウ〕【身体障害者手帳】
身体障害者手帳
【概要】 身体障害者の人が、様々な身体障害者福祉法に基づく福祉サービスを利用できる資格を示した書類。サービスを利用するときに提示を求められる。書式は都道府県によって違う。
【詳しく】 障害の程度が身体障害者福祉法で定められている認定基準に該当する必要がある。同法の15条指定医が作成した診断書を添えて申請する。対象は上肢・下肢・体幹・目・耳・言語・心臓などの障害であり、HIV感染者はその中の「免疫機能の障害」に該当する。

身体障害者手帳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/12 21:56 UTC 版)
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身体障害者手帳(しんたいしょうがいしゃてちょう)は障害者手帳の1つで、「身障者手帳」と略称もある。
対象疾患
「身体障害者」の定義は身体障害者福祉法と身体障害者福祉法施行規則によって定義され以下がある。
- 視覚障害
- 聴覚または平衡機能の障害
- 聴覚障害・平衡機能障害
- 音声機能、言語機能又は咀嚼機能の障害
- 肢体不自由
- 上肢機能障害・下肢機能障害・体幹機能障害・乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害(上肢機能障害・移動機能障害)
種別と等級
種別と等級は数字で表され、数字が小さい程重度である。最高度は1級。障害が複数ある場合は各部位に対して個別に等級がつき、合計で手帳等級が決定される。第1種で1〜4級は重度(特別障害者)、第2種で1級以下は中度・軽度(一般障害者)に区別される。 また、肢体不自由には等級上「7級」が存在するが、単独の障害では交付されない。7級の障害が2つ以上重複している場合は6級として扱われ、手帳が交付される。
手続き
身体障害者福祉法第15条に基づき、対象者の居住地の都道府県知事が発行する[1]。ただし、対象者の居住地が政令指定都市か中核市である場合はその政令指定都市・中核市、都道府県から発行権限が移譲された市町村である場合はその市町村、鳥取県鳥取市・岩美町・若桜町・智頭町・八頭町である場合は鳥取市が発行する[2][3][4]。 顔写真と診断書の提出で申請する。国民年金第2号被保険者と任意加入被保険者が持てる手帳。再交付には新しい顔写真と診断書の提出が必要。
身体障害者手帳の不正使用の例としては、有料道路通行料の割引を受けるために、健常者が身体障害者手帳の証明写真を貼り替えて行使する事案が発生した。これは有印公文書偽造罪及び同行使罪(また場合によっては詐欺罪)が適用され、罰せられる犯罪行為である。 また手帳を貸与・譲渡した者にも、手帳返還命令が下される(身体障害者福祉法第16条2)
身体障害者福祉法施行規則第3条各号の規定により、乳幼児にかかる障害等級認定に際しては、先天性欠損等障害の改善が見込めないものを除き、成長に応じてその症状の変化の可能性がありうるため、概ね6歳時を目処に再度認定手続きを要請される。また今後病状の変化(軽度化もしくは重度化)が見込まれる等の理由で、医師の診断書に「将来再認定の必要」に関する記述がある場合にも、再度認定手続きを要請される(1年後または3年後もしくは5年後)。
身体障害者手帳のデザイン(表紙の色など)は、全国統一ではなく都道府県で異なる。したがって他県にてサービスを受けようとして手帳の表紙のみを呈示しても、係員が身体障害者手帳であることを理解できずにサービスを断られることもある。その場合には、本人の写真、障害の種類が記載されているページを開いて呈示すると、身体障害者手帳であることが相手に分かる。
またJR等の鉄道事業者が設けている割引(大部分の私鉄はJRに準ずる)を受ける場合は、手帳に「旅客鉄道会社運賃割引・第1種」等の記載があるので、その部分も見せるようにする(割引が適用される条件については障害の種類や鉄道会社によって異なるので、利用する場合各自で確認されたい。ただし「旅客鉄道会社運賃割引」の記載がない手帳は、JR等の割引は受けられない。また、この制度は日本国内の居住者が対象であるので海外で発行された身体障害についての証明書では割引はない)。
福祉サービスの具体的内容
- 福祉機器(車椅子、義肢、装具、盲人安全つえその他多数)の交付
- 家族向け公営住宅の抽選倍率が優遇、単身での入居資格が与えられる。
- 医療費(健康保険の自己負担分)助成[注釈 1]
- 所得税・住民税
- 相続税
- 障害者控除の適用(税額控除)
- 特別障害者の場合・85歳に達するまでの年数に20万円を乗じた金額
- 一般障害者の場合・85歳に達するまでの年数に10万円を乗じた金額
- 障害者控除の適用(税額控除)
- 贈与税
- 一定の信託契約に掛る信託受給権の障害者非課税枠の適用[注釈 2]
- 特別障害者の場合・6000万円まで非課税
- 一般障害者のうち精神に障害のある者の場合・3000万円まで非課税
- 一定の信託契約に掛る信託受給権の障害者非課税枠の適用[注釈 2]
- JR・大手私鉄[注釈 3][注釈 4]
- 一部鉄道事業者[注釈 9]
- バス
- タクシー
- 居住自治体が地元タクシーの割引券を交付することが多い。また、障害者手帳の提示で割引される。
- 公共施設
- 都道府県立施設や博物館・動物園の入場料や駐車料金が、免除されたり割引されたりする。
- 自動車関連
- 携帯電話
- 基本料金や通話料金や付加サービスに割引。詳細は「携帯電話料金の障害者割引」。
- 日本郵便株式会社[注釈 18]
- 障害者手帳1級及び2級の場合、無地又はインクジェット紙、又はくぼみ入り通常郵便葉書20枚を、4月から5月に申請により配布
- NHK放送受信料
- 世帯の課税状況や障害の程度や種類により、全額免除か半額免除される場合がある[7]。
脚注
注釈
- ^ 条件は自治体により異なる。
- ^ 過去に贈与税の障害者非課税枠の適用を受けた部分については適用なし。
- ^ ただし、旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄に「第1種」または「第2種」の記載のない障害者手帳は割引の対象外である。なお、以前はJRが内部障害者に対する割引を認めていなかったため[5]、身体障害者手帳の中でも第1種または第2種の記載がされる手帳と、いずれも記載がされない手帳が混在していたことになるが、1990年2月1日にJRの割引規則が改正され、JRが全ての身体障害者に対して第1種または第2種の少なくともどちらかの割引の取り扱いを認めたため、現在は全ての身体障害者手帳が第1種または第2種の記載の対象である。[6]。
- ^ 西鉄を除く大手私鉄など、JR以外の鉄道事業者の多くも、同様の割引制度を行っていることが多い。
- ^ a b c d e 利用時は単独乗車不可。
- ^ a b JR以外の多くの鉄道事業者は普通回数乗車券に限る。
- ^ a b c d 小児定期乗車券を除く。一部鉄道事業者は小児定期も5割引となる場合がある。介護人は通勤定期乗車券に限る。
- ^ a b 第2種と同一扱い。
- ^ 大手私鉄は西鉄のみ、その他一部の中小私鉄と一部を除く公営地下鉄など
- ^ a b 利用時は単独乗車不可。ただし、回数乗車券、定期乗車券は本人単独乗車可能とする場合がある。
- ^ a b 回数乗車券、定期乗車券も対象となる場合がある。
- ^ 普通乗車券・回数乗車券も自社局線内に限り5割引となる場合がある。
- ^ a b バス定期のみ3割引。一部バス事業者は小児定期も3割引となる場合がある。介護人は通勤定期に限る。本人が満12歳未満の場合、多くのバス事業者は定期運賃は介護人のみ3割引。
- ^ 介護人も対象となる場合がある。
- ^ 最大料金に対する割引であるので、休日ETC割引などに重複しての適用はない。本制度ではETCの装備は要件としない。
- ^ 車両の指定ではなくなった。
- ^ 駐車禁止指定場所の免除であり、駐停車禁止区域や駐車禁止の法定場所は対象とならない。
- ^ 青い鳥郵便葉書の無償配布。
出典
- ^ “身体障害者福祉法”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2014年2月24日閲覧。
- ^ “2-1 身体障害者手帳”. 健康・福祉. 平塚市役所障がい福祉課. 2014年2月24日閲覧。
- ^ “障がい者手帳交付事務の権限を市町村に移譲します”. 大阪府. 2018年5月29日閲覧。
- ^ “鳥取市の中核市移行について”. とりネット. 鳥取県. 2018年5月29日閲覧。
- ^ 瀧澤 仁唱 (1987-10-10), 障害者と交通権 ―憲法上の権利と運賃割引制度―
- ^ 瀧澤 仁唱 (1993-12-09), 障害者と運賃割引制度 : 公共交通機関利用時の障害者間差別, 桃山学院大学附属図書館
- ^ “NHK放送受信料の免除基準内容” (PDF). 日本放送協会. 2019年9月11日閲覧。
関連項目
外部リンク
身体障害者手帳と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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