減揺装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 10:03 UTC 版)
船客の船酔いを防ぎたい客船はもとより、貨物の荷崩れ防止のために多くの貨物船でも、何らかの減揺装置は備わっている。下記の装置のほかにも、四角ばった船体横断面形を採用するのは揺れを抑える工夫である。 ビルジキール 小型船を除くほとんどの船では、ローリング(Rolling)を抑制して安定した航走の為に「ビルジキール」(Bilge Keel)と呼ばれるフィンが船体の2/3程の長さに渡って船底の両側面の角に取り付けられている。 フィン・スタビライザー 多くの大型船では、同様の理由で船体の動揺を減少するように電動で動く「フィン・スタビライザー」(Fin Stabilizer)と呼ばれる小さな金属製の翼、「フィン」が船底両側面に取り付けられていて、航海中の船の揺れをセンサーが感知して、フィンの角度を自動的にコントロールすることで、フィンの揚力によって揺れを抑える。速度が高いほど効果が表れ、横揺れ(ローリング)を減少させるが、船速が遅い場合は効果が低く、停船中は機能しない。水の流れがなくてもフィンを油圧によって上下に動かすことで減揺能力を発揮する「上下振動型フィン・スタビライザー」が考案されている。 アンチローリング・タンク 減揺水槽(アンチローリング・タンク)の水の移動によって左右の揺れ(ローリング)を抑制する。両舷の水タンクとそれらを結ぶかなり太いパイプにより構成される。簡単な装置の割には比較的有効に揺れを抑えられるが、必ずしも揺れに対応した最適な水の動きが生じる訳ではなく、このような受動型の減揺水槽では能力に限界がある。21世紀に入って水の移動に伴って動く空気の流れを電磁弁でコントロールすることで積極的に減揺特性を最適化させるアクティブ式の減揺水槽が一般化している。 船の重心から離せば効果が増すため比較的高い位置に置かれることが多いがそれだけ重心が高くなる。船の排水量の2-3%程度の水による重量も増し、場所も占めるために客船以外で使用されることはあまりない。 可動質量型減揺装置 可動質量型減揺装置では金属のかたまりのような重りをモーターの力で左右に動かすことでローリングを抑制する装置であり、減揺水槽での効果を最適にするようコントロールできるとされているが、まだ装備している船はない。 アンチピッチング・スタビライザー 揺れには横揺れ(ローリング)だけでなく縦揺れ(ピッチング、Pitching)や上下揺れ(ヒービング、Heaving)もある。縦揺れを抑制するために船首ビルジ部にフィン・スタビライザーを付けるアンチピッチング・スタビライザーが考えられているが、まだ装備している船はない。縦揺れと上下揺れは水から受けるエネルギーが横揺れに比べて大きく、有効な減揺装置の開発はなかなか困難であると考えられている 。
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減揺装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:16 UTC 版)
横揺れによるコンテナの荷崩れを防止するために、アクティブな減揺装置としてフィン・スタビライザー、パッシブな減揺装置として減揺水槽(アンチローリング・タンク)、を持つ船が現れている。
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減揺装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/21 16:11 UTC 版)
高速で航行する本船は、波による揺れを押さえるために減揺装置として、船首下に「Tフォイル」(T-foil)、左右の船尾にはトリムタブを備える。 Tフォイル Tフォイル(T-foil)は、船首下から海水中へ垂直に伸びる支持部とその先端部の水中翼により、フィン・スタビライザーにも似たしくみで揺れを抑える。 トリムタブ トリムタブは、必要に応じて船尾の船底部分に板を突き出すことで揚力を発生して、船尾に上向きの力を作り出す装置である。これが左右の船尾に備えられている。
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