木津川_とは? わかりやすく解説

きづ‐がわ〔‐がは〕【木津川】


木津川

暮らし守り、自然を守り、川と共に生きる
淀川の支川である木津川はその源を三重奈良県境南北に走る布引山脈に発し笠置加茂経て山城盆地貫通し京都府大阪市付近宇治川桂川と共に淀川へと合流する流域面積1,596km2幹川流路延長99kmの一級河川です。

八幡市内を流れる木津川
八幡市内を流れる木津川

河川概要
水系淀川水系
河川名木津川
幹川流路延長99km
流域面積1,596km2
流域内人1,100万人(猪名川除く)
流域関係都県大阪府京都府滋賀県兵庫県三重県奈良県

木津川流域図
○拡大図
1.木津川の歴史
"木津川上流域伊賀上野地域では、直下流の岩倉峡という狭窄部を一部開削して京・大坂との水運が行われたり、干害備えてため池をたくさん作ったり、必要な時には上野城の壕の利用したりしていましたまた、天平の頃、下流域山城盆地には聖武天皇繰り返した遷都のひとつ「恭仁京」(くにのみやこ)が存在しこの頃、木津川を越えて新京造るための渡されることになりました。"

特有の歴史先人の知恵活用


上野城
上野城
木津川の上流域には忍者の里として有名な伊賀上野地区あります歴史的にみても伊賀上野戦略上の重要拠点豊臣時代には東からの守りの要として筒井定次がこの地に上野城築きました
上野は木津川、服部川柘植川合流点にあたりますが、すぐ下流岩倉峡に「銚子が口」と言われる大きな岩盤流れをさえぎるように横たわっていたので、その上流は湖のようになっていました

岩倉狭
岩倉
慶長年間(1596~1615)に筒井定次土木家として有名な京都豪商角倉了以要請して銚子が口を取り除き京・大坂への航路を開かせました徳川時代になると藤堂高虎がこの地を治め今度大阪からの守り固める城として上野城改築実施しました。城の城郭長さ30mと言われ大阪城肩をならべる規模です。
角倉上野城下の長田まで川底をさらえ、水運は多いに盛んとなりました。しかし、安政元年(1854)の大地震上野盆地最大1.5m地盤沈下をおこし、岩倉峡の水はけが再び悪化します

昭和28年台風13号 名張川の増水(鍛冶町橋)
昭和28年台風13号 名張川増水
鍛冶町
そのため明治3年の「午年水害」と昭和28年の「東近畿大水害」と大きな被害でました。特に「午年水害」では角倉作った施設破壊され安政の大地震以後膨大な費用労力投じて水防体制整えたにもかかわらず壊滅的な被害受けた岩倉峡に近い上野盆地北西部復旧あきらめ大規模な「避移居(ひすいいきょ)」となり、657戸が集団移転した記録されています。
一方で上野市の年平均降水量三重県下でも最も少な地域であり、農業用水下流重粘土丘陵では深刻な水不足悩まされきました。これは三重県災害史に記される干害大半伊賀上野地域記事であることからもわかります藤堂藩ではさかんに新池構築古池修繕奨め地理的条件からため池構築が無理な小田村に対しては、上野城の壕の落として干ばつ防いだそうです
現在でも上野市阿山町伊賀町などの流域には500超えるため池があり、小雨ときには活躍してます。
恭仁京位置図
恭仁京位置図
京都府教育委員会提供)
下流部山城盆地に入ると、急に明るい野が開けます。この地は天平の頃、ひとときとなった場所です。都は恭仁京くにのみやこ)といい、聖武天皇繰り返した遷都のひとつで、ごく短いものでした。
恭仁京遷都に伴い、木津川を越えて新京造るためにいくつかの渡されました。その中で行基優婆塞ウバソク)らの弟子率いて現在の木津町山城町とを結ぶ泉大橋近く造営したのが泉です。泉によって結ばれた南北延びる道は恭仁京右京中心道であり、山背国府の中央道でした。なお、現在の泉大橋国道24号開通に伴い戦後かけられたものです。

現在の泉大橋
現在の泉大橋右岸上流から撮影
2.地域の中の木津川
"木津川の上流域での中心都市上野市名張市であり共に三重県にあり、地域でいえば中部圏属します。しかし、住民の生活基盤をはじめ川の流れ近畿向いてます。行政管轄つながりよりも、水系でのつながりみられる地域いえますまた、下流部には、日本でも珍しい流れ橋の上津屋(こうづやばし)があり、時代劇使用されるなど、木津川の特徴的な構造物となってます。"

地域社会とのつながり

木津川上流域には4市18町村自治体存在し16年4月現在)、特に中心的な都市は、上野市名張市となってます。特に名張市においては近畿圏ベットタウンとして30年間で人口が3倍にも増加した都市です。上野市名張市は共に三重県属し行政管轄中部圏なります。しかし、近畿圏との交通条件(主に鉄道)が整備されていることもあり住民多くは、近畿生活圏としています。また、川の流れ大阪湾へそそがれ、古来からこの地域奈良京都寺院建立使用する木材を筏で運送していました行政圏のつながりよりも、水系でのつながりみられる地域いえます
浄化施設を清掃する様子
浄化施設清掃する様子
また、現在では市民団体による河川の水質一斉調査をおこなう等、市民の川への関心高く上記調査結果では、特に木津川の支川である大戸川水質悪化一因となっていることから、地域汚した下流1400万人飲み水となっていることを懸念し、「地域での汚れ地域で戻す」という市民活動がおこり、上流域名張上野から中流域加茂下流域大阪市内市民団体協力して市民団体維持管理していく「いがうえの大戸川生活排水浄化パートナー協議会」が発足しました
この施設は、国土交通省施設建設し三重県運営資金一部負担上野市水質浄化施設河川水導水するポンプ費用捻出し市民維持管理水質検査をおこなっています。官民パートナーシップ結んで協議会意見交換等をおこなっています。昨年実績では良い時でCODを約70除去してます。このように川へ目を向ける市民数多く存在する地域でもあるといえます
上流部でのカヌー遊び
上流部でのカヌー遊び
その他の地域活動においても、木津川の上流部や中流部においてはカヌー盛んなところです。
木津川が山間部縫って流れることもあり、豊かな自然、瀬や渕を利用する上級者砂州のあるトロ場の初級者まで楽しめるカヌー教室もあり遠く大阪京都などからも訪門されています。また、地元の子供達に楽しく安全な川遊び」ができるように指導するNPO等も存在し子供達カヌーや、ライフジャケット着用した「川ながれ体験」等もおこなわれています。

木津川下流部には木造日本最長流れ橋である上津屋橋(こうづやばし)があり、時代劇撮影使用されるなど木津川を代表する構造物です。河川敷存在する民有地には、茶畑広がっており、この地方特産品である宇治茶栽培が行われています。
上津屋橋周辺で行われている時代祭り
上津屋橋周辺行われている時代祭り
木津川河川敷の茶畑
木津川河川敷茶畑



上のように木津川では、多種多様な利用見られます。
3.木津川の自然環境
"木津川の上流域においては山付区間多く河川横断形に連続してます。このような地形より、多種多様な動植物がみうけられます。貴重種よばれるものも多数みられ、木津川は良好な環境恵まれた河川いえます。"

上野市付近(合流部)
上野市付近合流部)
名張市付近(合流部)
名張市付近
合流部)
流域は約89%が山地占められ河川付近開けているのは、柘植川服部川及び木津川の合流する上野盆地付近と、名張川宇陀川青蓮寺川合流する名張市付近です。昭和22年以降、木津川、名張川ともに砂州固定植生発達見られており、木津川や服部川では横断面複雑化澪筋移動などが見られています。 河川縦断方向に見ると、環境まとまり動植物生息生育環境特性等から木津川で4区分(37.3-43.7km、43.7-57.4km、57.4-58.3km及び服部川柘植川、58.3-62.2km)、名張川3区分(13.0-25.5km、25.5-31.4及び宇陀川0.0-4.0km、31.4-33.6km及び宇陀川4.0-12.0km及び青蓮寺川)におおよそ区分されます。また、動植物生育生息環境の場としては、立地景観特徴から15環境区分開放水面水草帯、湿地河原礫地・崖地ツルヨシ原、河畔林オギ原、高水敷草地在来種)、高水敷草地外来種)、高水敷草地つる性植物)、ササ山地竹林農耕地利用地)に区分されます。
カワラハンノキタコノアシ
カワラハンノキタコノアシ
植物は、木津川では低木主体木本全域的に一定の割合占め竹林が39-43kmにやや広い面積有し草本類は57kmから上流オギ群落などの高水敷広がる群落大規模に分布してます。名張川では木本低木林竹林落葉広葉樹林草本ツルヨシ群落全域的に分布してます。
重要な種では、カワラハンノキタコノアシカワヂシャなどの河畔生育する種など34種(指定地域外の種を含めると51種)が分布してます。
動物は、魚類ではオイカワニゴイ、カワヨシノボリ、底生動物ではアカマダラカゲロウコガタシマトビケラ等、鳥類ではアオサギセグロセキレイホオジロ等、両生類ではアマガエルトノサマガエル爬虫類ではクサガメカナヘビ等、哺乳類ではモグラ属の一種アカネズミタヌキ等、陸上昆虫類等ではシオカラトンボハラオカメコオロギベニシジミ等が広範囲多数確認されており、木津川上流域ではよく見られる種です。
オオサンショウウオオオタカ
オオサンショウウオオオタカ
重要な種では、特別天然記念物オオサンショウウオをはじめ、スナヤツメズナガニゴイオオタカクマタカギンイチモンジセセリなど38種(指定地域外の種を含めると72種)が分布してます。
この中には、京都府三重県近畿地方といった地方版レッドデータブック記載種が多数含まれており、木津川上流域は、周辺地域減少しつつある種貴重な生息場のひとつとして役割担ってます。
4.木津川の主な災害
"昭和34年9月台風15号伊勢湾台風)では、名張市全域濁水中に没するなど、木津川流域過去最高の流量記録しました。"

木津川の主な災害


昭和34年9月27日出水について
サイパン島北方海上発生した熱帯性低気圧は、22日15時台風15号となり、発達しながら西北西から北西進み25日夕刻頃から進路次第北から北北東転じ本州接近しました。中心気圧は895hpa、中心付近最大風速は70m/s、暴風半径350km、円形等圧線半径は600kmに及ぶ超A級台風でした。台風は、26日1815分潮西方10km付近に上陸時速70~75kmという速い速度紀伊半島東部縦断27日0時富山県経て日本海出ました
この台風によって、木津川の支流名張川流域では、山地崩壊が相次ぎ、その流出土砂によって名張川埋没しました。特に被害大きかった宇田川合流点付近では河床が数メートル上昇しせき止められた濁流名張市内を流下し、市街全域濁水中に没しました。また、この出水は、木津川で過去最高の流量(6,200m3/s)を記録し、木津川の基本高水再検討ダム計画再検討を行う契機となりました

(注:この情報2008年2月現在のものです)

木津川

読み方:キズカワ(kizukawa)

所在 大阪府

水系 淀川水系

等級 1級


木津川

読み方:キズガワ(kizugawa)

所在 三重県京都府

水系 淀川水系

等級 1級


木津川

読み方:キズガワ(kizugawa)

所在 京都府

水系 木津川水系

等級 2級


木津川

読み方:キズガワ(kizugawa)

所在 兵庫県

水系 明石川水系


木津川

読み方:キズガワ(kizugawa)

所在 山口県

水系 木屋川水系

等級 2級


木津川

作者内海隆一郎

収載図書の町
出版社メディアパル
刊行年月1990.10


木津川

作者畑中銀子

収載図書木津川
出版社浄土宗
刊行年月2007.5
シリーズ名JP文庫


木津川

読み方:キズガワ(kizugawa)

所在 大阪府大阪市浪速区


木津川

読み方:コツガワ(kotsugawa)

所在 奈良県吉野郡東吉野村

地名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

木津川

読み方:キズガワ(kizugawa)

所在 大阪府(南海電気鉄道汐見橋線)

駅名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

木津川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 16:17 UTC 版)

木津川(きづがわ、こっつがわ)は、日本全国各地を流れる河川名称。




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