日本ブドウ・ワイン学会とは? わかりやすく解説

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日本ブドウ・ワイン学会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/05 03:12 UTC 版)

日本ブドウ・ワイン学会(にほんブドウ・ワインがっかい、ASEV Japan)は、日本におけるブドウ栽培学およびワイン醸造学の研究促進と情報交換を目的とする学術団体である。アメリカ合衆国カリフォルニア州デイビスに本部を置くアメリカブドウ・ワイン学会(American Society for Enology and Viticulture、ASEV)の日本支部として1984年に設立された[1]。学会事務局は山梨大学ワイン科学研究センター内に置かれている。

沿革

1984年昭和59年)11月、東京の学士会館で設立総会が開かれ正式に発足した。設立にあたっては山梨大学の横塚弘毅博士や、カリフォルニア大学デービス校のV.L.シングルトン博士、R.ボルトン博士らの協力を得ている[2]。同年8月に米国ASEV本部から日本支部設立の認可を受けており、ASEVにとって2番目の海外チャプターであった。2005年には日本学術会議の協力学術研究団体として登録され、国内の学術団体としての地位を確立している。

設立当初よりブドウ栽培研究と醸造研究を一体化する学際的な研究交流の場を提供しており、2009年には創立25周年記念式典が開催された。

活動内容

日本ブドウ・ワイン学会の主な活動は、年1回の学会大会(年次大会)の開催、学会誌『日本ブドウ・ワイン学会誌(Journal of ASEV Japan)』の発行、国内外の専門家を招いたセミナーの開催などである[1]

学会大会は1985年に第1回が開催されて以来毎年行われており、北海道、青森、山形、東京、千葉、山梨、奈良、京都、岡山、広島など、全国の主要産地を巡回する形で開催されている。若手研究者・技術者の優秀発表には「大会発表賞」が授与される制度があり、海外招待講演も定期的に実施されている。

学会誌『日本ブドウ・ワイン学会誌(Journal of ASEV Japan)』は1984年に創刊され、当初はニュースレター形式であったが、1990年以降は査読付き論文を掲載する学術誌として発行されている。掲載論文は日英両語で投稿可能であり、2001年からは優秀論文・技術研究に対して論文賞や技術賞を授与している。

会員

会員は大学・公的研究機関の研究者、行政機関の担当者、ワイナリーの醸造担当者などで構成されている[2]。個人会員・学生会員のほか、ワインメーカーや関連企業などを対象とした産業会員制度が設けられている。2010年前後の時点で約350名の個人会員と50社の法人会員が所属し、そのうち約3分の1が米国ASEVの会員でもあった。

役員は大学(例:近畿大学、千葉大学、名城大学など)や国公立研究機関(農研機構、県産業技術センター等)、ワイン企業(メルシャンサントリーなど)から選出されている。2020年代にはメルシャンの技術者が会長を務め、サントリーなどの技術者も理事に名を連ねている。

国際連携

設立以来、米国ASEV本部との密接な連携のもとで活動している。毎年、代表者を米国ASEV年次会議に派遣し、3年ごとにASEV本部の要職者を日本に招いてセミナーを開催している。これまでに11名のASEV代表者を招聘し、講演を行っている[2]

日本醸造学会や日本園芸学会など国内の関連団体とも協力関係を築いている。2005年以降は日本学術会議の協力学術研究団体として公式な位置づけを得ている[1]

特徴

学会運営では、編集委員会を大学ごとの持ち回り制(近畿大、岡山大、千葉大など)とし、企業所属の理事を配置するなど産学官連携を重視している[2]。各地の産地研究機関・大学・企業と協力して全国規模の研究大会を開催し、地域ごとの研究者・生産者ネットワークを形成している。

近年は、日本産ブドウを原料とする日本ワインの品質向上や国際競争力強化を目的とし、気候変動や人材高齢化などの課題解決に向けた共同研究・情報共有の場としての役割を担っている。

脚注

  1. ^ a b c 学会のご紹介”. 日本ブドウ・ワイン学会. 2025年11月3日閲覧。
  2. ^ a b c d 横塚弘毅「会長挨拶」『日本ブドウ・ワイン学会誌(Journal of ASEV Japan)』22巻1号、2011年(ASEV Japan創設25周年記念特集)

関連項目

外部リンク




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