多音字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 23:28 UTC 版)
多くの漢字は複数の意味をもつが、中には字音によって意味を弁別できる漢字もある。例えば「率」の字音には、摩擦音(中古音:swit[ṣwɨt]、呉音:ソチ、漢音:シュツ、慣用音:ソツ、拼音: shuài)と流音(中古音:lwit[lwit]、呉音:リチ、漢音:リツ、拼音: lǜ)の2種類の系統ある。前者は「引率」(インソツ)、「統率」(トウソツ)のように「ひきいる」という意味で用いられるが、後者は「確率」(カクリツ)、「比率」(ヒリツ)のように「割合」という意味で用いられる。このような漢字は多音字と呼ばれる。日本語においては、本来は多音字であるにもかかわらず、その発音上の区別が失われた漢字も多い。例えば長という漢字は、日本語においては、呉音:ジョウ、漢音:チョウという1種類の系列しか存在しないが、本来は「長大」「長身」のように「ながい」という意味と、「長男」「首長」のように「としうえ、おさ」という複数の異なった意味をもつ。中古音において前者は[ḍaŋ]、後者は[ṭáŋ]と区別されていたとみられ、現代中国語においても前者はcháng、後者はzhǎngと発音上の区別が伝存している。
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多音字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 03:20 UTC 版)
また、漢字の読み方によって意味が異なる場合もあり、たとえば「悪」を「アク」と読めば「悪い」の意味で、「オ」と読めば「憎む」などの意味である。このような漢字を多音字あるいは破音字とよぶ(多言字と呼ぶ学者もいる)。これは中国語とも対応しており、現代中国語(普通話)でも「悪い」の意味では「è」、「憎む」の意味では「wù」という発音である。意味ごとにそれぞれの読み方が伝わったわけである。だからといって、必ずしも日本語の音読みの違いと、中国語の読み方の違いが一致するわけではない。「貴重」の「重(チョウ)」も「重量」の「重(ジュウ)」も、現代中国語では同じ「zhòng」という発音になるが、「重奏」の「重(ジュウ)」や、「重複」の「重(チョウ、あるいはジュウ)」は、「chóng」という発音になる。ただし、意味の上では、「zhòng」の音は、「重い」という意味、「chóng」の音は「重ねる」の意味にあたる。 中国語では多音字として意味により発音が違うものなのに、日本語では読み方が一音であるというものがある。たとえば「累」という字は「かさねる」という意味では上声に、「面倒」という意味では去声に、「係累」という意味では平声に読まれる。しかし音読みでは呉音漢音ともに「ルイ」である。
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