十勝岳(北海道)
2077m 北緯43度25分05秒 東経142度41分11秒 (十勝岳)(世界測地系)
概 要
玄武岩~安山岩(SiO2 47~64%)の多数の火山体からなる火山群。 古期・中期・新期の火山群に区分され、最高部(十勝岳)は中期の最後に形成した溶岩ドームである。 その北西側には新期のグラウンド火口、中央火口丘、摺鉢火口丘などがある。 旧噴火口、1926年噴火の大正火口、1962年噴火62-2火口は噴気活動が盛んである。 ストロンボリ~サブプリニー式噴火で噴煙柱の形成と溶岩流出が中心であるが、山体崩壊を伴うこともある。 積雪期が長いために融雪泥流が発生しやすい。
最近1万年間の火山活動
3000年前以前には火山活動は低調であったが、約3000年前から活動期に入った。 火口は十勝岳の北西斜面に複数ある。約3000年前の活動が最大規模で、山体崩壊とともに爆発的噴火が繰り返され、その際に火砕流も発生し、 グラウンド火口が形成された。活動の最後には溶岩が流出した。火砕流は白金温泉より下流域に、溶岩流は白金温泉まで到達した。 その後、約1000年前頃、グラウンド火口の北西でサブプリニー式噴火が繰り返され複数の火砕丘が形成された。 規模の小さい噴火では、マグマ水蒸気噴火もあった。この活動でも末期に溶岩を流出し、溶岩流は白金温泉近くまで流下した。 約500年前頃からは中央火口丘の活動となり、火砕丘を形成し溶岩も流出した。 溶岩流は望岳台付近まで到達した。19世紀になっても中央火口丘は小規模な活動を続けており、20世紀から噴火活動は活発になってきた(藤原ほか、2004)。
記録に残る火山活動
<日本活火山総覧(第3版)(気象庁編、2005)による。>
火山観測
気象庁では地震計5点,空振計2点,GPS3点,遠望カメラ1点を設置し,札幌管区気象台までテレメータして常時観測を行っている。
火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や,火山活動診断結果を掲載します。毎月1回,上旬に公表します。
十勝岳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 08:13 UTC 版)
十勝岳(とかちだけ)は、北海道の中央部の上川管内の美瑛町・上富良野町、十勝管内の新得町にまたがる標高2,077 mの活火山。大雪山国立公園[3]内の十勝岳連峰(十勝火山群)の主峰である。深田久弥による日本百名山に掲載されている[4]ほか、花の百名山[5]にも選定されている。山頂の西北西の前十勝にある62-Ⅱ火口からは盛んに噴煙が上がり、山頂付近は火山灰に覆われている。十勝岳避難小屋と山頂の中間には昭和火口、西の三段山の南には安政火口がある[1]。
- ^ a b c 地図閲覧サービス 2万5千分1地形図名:十勝岳(旭川)(国土地理院、2010年12月11日閲覧)
- ^ 日本の主な山岳標高:北海道(国土地理院、2010年12月30日閲覧)
- ^ 大雪山国立公園の紹介、1934年12月4日に、山域は大雪山国立公園の特別保護地区に指定される(環境省、2010年12月11日閲覧)
- ^ 深田久弥『日本百名山』朝日新聞社、1982年。ISBN 4-02-260871-4。
- ^ a b 田中澄江の著書『花の百名山』(文春文庫、ISBN 4-16-352790-7)
- ^ 『日本の山1000』山と渓谷社、1992年、ISBN 4-635-09025-6
- ^ a b 南里智之、槇納智裕、米川康 十勝岳・富良野川における火山泥流発生履歴に関する研究 砂防学会誌 60巻 (2007-2008) 5号 p.23-30, doi:10.11475/sabo1973.60.5_23
- ^ a b 村野義郎、十勝岳の土石流について 新砂防 18巻 (1965-1966) 3号 p.14-23, doi:10.11475/sabo1948.18.3_14
- ^ a b c 宮本邦明、鈴木宏、山下伸太郎、水山高久、「十勝岳大正15年 (1926年) 泥流の再現計算」 水理講演会論文集 33巻 (1989) p.361-366, doi:10.2208/prohe1975.33.361
- ^ 『泥流地帯』三浦綾子(著)、新潮文庫、ISBN 4-10-116206-9
- ^ 『続・泥流地帯』三浦綾子(著)、新潮文庫、ISBN 4-10-116207-7
- ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、161頁。ISBN 9784816922749。
- ^ 北海道・十勝岳山頂付近の火口、青白く発光 読売新聞 6月10日(月)0時31分配信
- ^ 噴火警報・予報: 十勝岳平成26年12月16日14時00分 札幌管区気象台
- ^ 『目で見る日本登山史・日本登山史年表』山と渓谷社、2005年、ISBN 4-635-17814-5
- ^ 『山と高原地図 大雪山 十勝岳・幌尻岳』昭文社、2010年、ISBN 978-4-398-75683-1
- ^ 『アルペンガイド北海道の山』山と渓谷社、2000年、ISBN 4-635-01301-4
- ^ “「防弾チョッキ」まとった避難小屋が完成 御嶽山噴火の教訓ふまえて”. 朝日新聞DIGITAL (2022年11月7日). 2023年8月25日閲覧。
- ^ 上富良野歴史年表 昭和12(1937)〜21(1946)年 - 町の概要 上富良野町。
- ^ a b 石碑が語る上富の歴史(その11) 十勝岳頂上の碑『光顔巍々』に関わった人々 - かみふらのの郷土をさぐる会
- ^ 石碑が語る上富の歴史(その10) 十勝岳頂上の碑『光顔巍々』と門上浄照師 - かみふらのの郷土をさぐる会
- ^ 「安否が心配される平山硫黄鉱業社員ら」『東京朝日新聞』1926年5月27日(大正ニュース事典編纂委員会 『大正ニュース事典第7巻 大正14年-大正15年』本編p.512 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
- ^ a b c d e f g h i j “十勝岳噴火に関する「自然災害伝承碑」を地図で発信”. 国土地理院北海道地方測量部. 2020年1月2日閲覧。
- ^ a b スキー場斜面生態系に関する情報・リンク - 露崎史朗 (TSUYUZAKI Shiro, 植物生態学・環境保全学) 北海道大学
- ^ 美瑛町 - 日本観光史
十勝岳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 03:50 UTC 版)
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