京成3200形電車 (2代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/21 14:46 UTC 版)
京成3200形電車 | |
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基本情報 | |
運用者 | 京成電鉄 |
製造所 | 日本車輌製造 総合車両製作所横浜事業所[* 1] |
製造年 | 2024年 -[1] |
運用開始 | 2025年2月22日[1] |
主要諸元 | |
編成 | 4・6・8両 (現在は6両で運行) |
軌間 | 1,435 mm(標準軌)[1] |
電気方式 | 直流 1,500 V(架空電車線方式)[1] |
最高運転速度 | 120 km/h[1] |
起動加速度 | 3.5 km/h/s[1] |
減速度(常用) | 4.0 km/h/s[1] |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s[1] |
車両定員 | 先頭車:120(座席39)人[1] 中間車:133(座席49)人[1] |
車両重量 | 31.5 - 34.9 t[1] |
編成重量 | 113 t [* 2][1] |
全長 | 18,000 mm[1] |
全幅 | 2,845 mm[1] |
全高 | 4,036.5 mm(空調上面)[1] 4,050 mm(パンタ折畳み)[1] |
車体 | ステンレス鋼[1] |
台車 | ボルスタ付きモノリンク軸箱支持[1] 電動:FS585M[1] 付随:FS585T[1] |
主電動機 | かご形三相誘導電動機[1] TDK-6071-A[1] |
主電動機出力 | 140 kW 1,100 V[1] |
駆動方式 | TD平行可とう歯車継手一段減速方式[1] |
歯車比 | 85:14=6.07[1] |
制御方式 | SiCハイブリッドモジュール素子採用IGBT-VVVFインバータ制御[1] |
制御装置 | 東洋電機製造製 RG6056-A-M[1] |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ[1] 抑速ブレーキ[1] |
保安装置 | 1号型ATS[1]・C-ATS[1] |
備考 |
京成3200形電車(けいせい3200がたでんしゃ)は、2025年(令和7年)に登場した京成電鉄の直流通勤形電車。
概要
2019年に投入された3100形に続いて「京成グループ標準車両」として設計・製造される車両で、2024年(令和6年)5月11日に導入が発表された[2]。「人と環境にやさしいフレキシブルな車両[1]」をコンセプトとして、コロナ禍[1]やインバウンド需要増加[1]の経験を踏まえて[1]輸送需要の変化に応じたフレキシブルな運用が可能なよう開発された[1]。
2025年(令和7年)1月24日に宗吾車両基地で報道陣向けに公開され[3]、同年2月22日に最初の編成が営業運転を開始した[4]。
車両概説
1972年に登場した3500形以来、53年振りの組成組み換えが可能な車両である[5]。本系列では、2両単位で組成の変更が可能である[2][6]。
車体
3000形や3100形と同じく、いわゆる「日車式ブロック工法」による、軽量ステンレス製18m級車体[5][1]。
車体帯は、京成電鉄の伝統的なヒューマンレッド■とフューチャーブルー■の京成標準色である[1]が、同色の3000形とは異なり側面の青帯は車体上部に配置に配置されている[2][5][1]。
先頭車は、連結時に通り抜け可能な構造となっており[1]、中央に貫通扉を配置した前面設計となっている[2][4][1]。
種別・行先表示器は3100形と同様の大型フルカラーLED式を採用[1]し、本系列では途中駅での種別変更表示に対応した[1][5]。
乗務員室の寸法が拡大された影響で、乗務員室後部は窓が設置されていない[1]。
室内設備
明るい白色の化粧板、青色に四角パターン柄の床材を採用し、明るい配色である[5][1]。
モケットは、一般席を青基調[1]、優先席を赤基調[1]とし、ソメイヨシノ・なのはなをモチーフとした京成線沿線地域を想起させるデザイン[1]で、袖仕切りは3100形と同形状のものを採用した[5][1]。
先頭車に車いすスペース、中間車にフリースペースが設置された[5][1]。
17インチLCD(液晶)による車内案内表示器を各乗降扉上に2画面設置[1]し、1つが乗換案内・運行情報表示用[1]で、もう1つが広告表示用[1]である。
防犯カメラを1両につき3台設置[1]。非常通話装置と連動し、車内の状況を確認できる機能を、京成電鉄で初めて採用した[1]。
主要機器
以下、Mc1・M1をM1系車、Mc2・M2をM2系車と呼称する。
制御装置は京成伝統の東洋電機製造製[1]で、3100形同様のハイブリッドSiCモジュール適用IGBT素子VVVFインバータ制御装置(RG6056-A-M[1])をM1系車に搭載[1]する。補助電源装置は東芝インフラシステムズ製[1]で、100 kVAの装置(INV223-D0[1])をM2系車に搭載[1]する。
主電動機は、東洋電機製造製TDK-6071A[1]で、3100形と同一である。ただし、M2系車の浦賀方台車には搭載されない[1]。駆動方式はTD平行可とう歯車継手一段減速方式[1]、歯車比は85:14 (6.07) [1]で、こちらも3100形と同一である。
集電装置は、東洋電機製造製のシングルアームパンタグラフをM1系車の成田方に搭載する[1]。
電動空気圧縮機は、オイルフリースクロール式の装置[1]をM2系車に搭載[1]する。
制動装置は、全電気指令式の作用装置と受信装置を各車に搭載[1]、3100形までと異なりON-OFF弁方式となっている[1]。雨天時にはワイパーの作動を検知し、先頭車の制動力を自動的に弱める機構を搭載する[1]。
冷房装置は集中式ユニットクーラーを各車1基[1]、暖房装置は座席下に吊り下げ式の装置をそれぞれ搭載する[1]。
台車は電動台車がFS585M[1]、付随台車がFS585T[1]で、車重増加に対応して3100形のFS583をベース[1]に車軸径が太い物に変更されている[1]。
前述通り、編成の組み換えを可能な形式となっているが、それを容易にするために連結器は電気連結器を併設した密着連結器となっている[7][注 1]。
運用
直通する他社線でも走行可能な車両設計であるが、京成本線を中心とした自社線内で運行される[6]。
今後の予定
2025年5月21日に発表された京成グループ中期経営計画「D2プラン」(計画期間は2025~2027年度) [8]によると、2027年度末までに本形式を90両導入し、マイナビニュースの記事では形式名は明言していないが、残存する3500形、3600形、3400形の各在来形式を置き換えが予想される[9] [10]。
また、旧新京成電鉄(現 京成松戸線)の車両に関しても、同社の合併前までは80000形で老朽化した車両を置き換えていたが、仮に導入が決まった場合、80000形の代わりに3200形で置き換えることになる[3][注 2]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq br bs bt bu bv bw bx by 廣岡 (2025), pp. 46–50.
- ^ a b c d 『2025年冬に「3200形」を導入します』(プレスリリース)京成電鉄株式会社 。2025年2月24日閲覧。
- ^ a b “通勤電車の王道、京成「新3200形」唯一の惜しい点”. 東洋経済オンライン (2025年2月3日). 2025年6月17日閲覧。
- ^ a b 『新形式車両 3200形 デビュー‼』(プレスリリース)京成電鉄株式会社 。2025年2月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g “ある意味「53年ぶり」の新型車両? システム面も特徴が! 京成3200形を詳しく見る”. Tetsudo.com. 2025年2月24日閲覧。
- ^ a b “京成電鉄の新型車両3200形「営業運行の開始日」決定”. 鉄道プレスネット. 2025年2月24日閲覧。
- ^ a b “京成の新型車両3200形 「フレキシブルに変更」の意味や「電気連結器」の内容は? 京成に聞く”. Tetsudo.com. 2024年5月23日閲覧。
- ^ 『京成グループ中期経営計画「D2プラン」の策定について』(プレスリリース)京成電鉄株式会社 。2025年5月29日閲覧。
- ^ “京成の新型車両3200形、2025〜2027年度の導入車両数90両を計画”. マイナビニュース. 2025年5月24日閲覧。
- ^ “京成電鉄の新型車両3200形「90」両を順次導入 3500形など老朽車を更新へ”. 鉄道プレスネット. 2025年5月31日閲覧。
参考文献
外部リンク
- 新型車両「3200形」運転開始! - 京成電鉄
- 京成3200形電車 (2代)のページへのリンク