ラインバランシングとは?

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ラインバランシング

読み方らいんばらんしんぐ
【英】:line balancing

概要

生産ライン構成するワークステーション作業負荷あるいは作業能力均衡化することをいう. 具体的な手段としては, ワークステーションへの作業配分調整, 各ワークステーションにおける作業実施順序決定, ワークステーション配置する作業数あるいは設備台数決定, ワークステーション間のバッファ容量バッファ量の決定, 生産ラインへの材料仕掛品投入順序計画, 作業改善ジグ工具利用など様々な方法が用いられる.

詳説

1. 概観

 ラインバランスは本来生ラインワークステーション間での能力あるいは負荷均等化を意味しており, 機械加工ライン組立ライン双方に望まれる特性として考えられてきた. しかし, その方法両者の間で隔たりがあり, 機械加工場合機械加工速度の差が問題になることが多く, 操業時間調整工程在庫保有によって, 組立作業場合作業分割, 組合せ, 改善などによって均衡をはかっていた.

 1950年代に入ってORが生産様々な問題適用され始めると, 組立作業対象としたラインバランスの問題組合せ最適化観点から関心が示されるようになり, "組立ラインのバランシング (assembly line balancing)"と呼ばれ, 数理的な解析試みられた. やがて多品種少量生産時代訪れとともに, 混合品種組立ライン品種切替組立ライン一般化し, それらを対象とした問題である"混合品種組立ラインのバランシング"や"品種切替組立ラインのバランシング"が取り上げられて研究されるようになった. 同時に混合品種組立ラインに流す品種順序づけ問題である"混合品種順序づけ"が注目され, 特に自動車産業においては実務上の必要からその解法が各企業考案され, 利用されるようになった.

 また, 組立て自動化につれて, 組立ロボット多用した組立ラインのための最適設計意図したラインバランシングモデル研究されたり, プリント基板組立ラインのインサートマシンへの作業配分順序づけを行うシステム開発されている. 近年には, 半導体のウェファ製造職場対象としたライン設計運用方式であるセルラインシステムがラインバランシングの考え方基づいて開発されつつある.

2. ラインバランシングのモデル [1]

 ラインバランシングの最初精密なモデル単一品種組立ライン対象として構築された. これは1個の製品組立てに必要な作業合理性を失わない程度分割して求めm\, 個の作業要素を定義することが基本になっている. 次に潜在的組立順序を示す作業要素間の先行関係与える (図1参照).


図1:先行順位図

図1:先行順位


 この二つの手続き経て, ラインバランシング問題は以下に述べる制約の下で m\, 個の作業要素n\, 個のワークステーション配分する問題として定式化できる. ただし, ワークステーションn\, 配分結果として求められるものであり, n\, 最小になる配分を望ましいと考える.


制約(1) 作業要素先行関係作業要素割り付けられるワークステーション前後関係矛盾しない.

制約(2) それぞれのワークステーション割り付けられた作業要素実施要する標準時間である要素時間合計が, 指定された時間であるサイクル時間 c\, 超過しない.

制約(3) ある作業要素特定のワークステーション割り付ける "固定設備制約", 2つ以上の作業要素同一ワークステーション割り付ける"グループ化制約" など生産ライン特有の様々な付加的制約満たす.


 いま, 作業要素 i\, 要素時間e_i\, , ワークステーション k\, 割り付けられた作業要素集合S(k)\, , サイクル時間c\, で表すと, 制約(2)は次式によって示すことができる.



\sum_{i \in S(k)}{e_i} \le {c}, \ \ \ k=1, 2, \ldots , n
\,      (1)\,


(1)式の左辺作業時間呼び, t_k\, で表す. また, サイクル時間作業時間の差を遊び時間呼び, d_k\, で表すと, それらの関係は次式によって示される.



d_k = c - t_k, \ \ \ k=1, 2, \ldots , n
\,      (2)\,


ラインバランシングにおいては, 通常, 作業時間加法性仮定され, 1個の製品組立要する総作時間 T_w\, は次式で与えられる考える.



T_w = \sum_{i = 1}^m e_i
\,      (3)\,


目的関数ワークステーション数の最小化等しく, これは組立ラインで生じる遊び時間最小化として表すことができ, 次の評価尺度が用いられる.



BD = \frac{\sum_{k = 1}^n {(c - t_k)}}{nc} \times 100=\frac{nc -
T_w}{nc} \times 100
\,      (4)\,


これはバランスロスと呼ばれ, 次に示す編成効率 E\, 最大化等しい.



E = \frac{T_w}{nc} \times 100
\,      (5)\,


3. 混合品種組立てへの拡張 [1, 2]

 前述のラインバランシングの方法混合品種組立ライン適用する効率良い方法は, 対象にするすべての品種同時に考慮するもので, そのためには統合先行順位図を用いる必要がある. これは, 品種別の先行順位図に含まれる品種間で共通の作業要素を各先行順位図が共有するように描いて作られる.

 さらに, 混合品種組立場合は各品種生産量考慮する必要があるので, ラインバランシングを計画期間における各ワークステーション作業負荷均等化する問題置き換える. いま, N\, 品種製品をある計画期間中に f_j(j=1,2,\ldots ,N)\, 生産するものとする. N\, 品種組立に必要な作業要素総数m\, , それぞれの要素時間e_i\, で表す. 作業要素 i\, 品種 j\, の関係をクロネッカーのデルタ \delta_{ij}\,示し, 作業要素 i\, 品種 j\, 組立に必要な場合は1, 不要場合は0をとるように定めておく.

 作業要素 i\, 割り付けられたとき, そのワークステーションには計画期間 T\, 中に次式で与えられる作業負荷がかかる.



L_i = \sum_{j=1}^{N}f_j\delta_{ij}e_i, \ \ \ i=1, 2, \ldots , m
\,      (6)\,


したがって, 混合品種組立て場合, (1)式に替えて次式により作業負荷均衡をはかる.



\sum_{i \in S(k)}L_i \le T, \ \ \ k=1, 2, \ldots , n
\,      (7)\,


また, T = c \sum_j f_j \, であるから編成効率は次式によって表わせる.



E = \frac{\sum_i L_i}{nc \sum_j f_j} \times 100=\frac{\sum_i
L_i}{nT} \times 100
\,      (8)\,

4. 混合品種順序づけ [1]

 前節で述べたように, 混合品種組立てラインのバランシングは計画期間中にワークステーション配分される負荷量の均等化を計るものであり, それぞれのワークステーションつぎつぎ到着する品物要する作業時間品物ごとに異なり, ときにはサイクル c 時間超過する. 自動車のように品物大型である場合には, 作業者は品物とともにコンベア上を移動しながら作業を行うので作業時間サイクル時間より大きい品物連続して流れると, 作業者の作業位置後方にずれて所定領域内で作業を終えることができなくなる. そこで, 混合品種順序づけの評価尺度として次のものを取り上げる.


(L_k)_{max} = (E_k)_{max} -(1+\lambda)k c
\,      (9)\,

ここで, (Ek)max\,ワークステーションk における最遅作業終了時点, \lambda\,ワークステーション長さを定義する非負の係数である. コンベア速度v\,とすると, ワークステーションkの作業領域

(1+\lambda)(k-1)cv<\, ワークステーションkの作業領域  <(1+\lambda)kcv \, (10)\,

によって示される. (Lk)max \, は1サイクル当り作業領域外で行う作業要する時間最大値であり, これを最大作業遅れと呼ぶことにしよう. 各ワークステーション最大作業遅れは, 品種別の作業時間所与のとき, 生産品種投入順序に応じて一義的に決まる. 言うまでもなく, 各ワークステーション最大作業遅れが以下の値をとる投入順序が望ましい. 混合品種順序づけの評価尺度管理方針生産ライン条件によって異なり, 様々なものが考えられ得る[2].

 わが国自動車産業組立てラインでは作業遅れを考慮しない評価尺度取り上げられ, 投入順序決定が行われている[3]. これは, 最終組立てラインで各主要部品を使用する速度一日稼働時間通してほぼ一定になるように生産品種投入順序決定するというものである. つまり, 最終組立てライン負荷変動平準化する代わりに, 最終組立てライン供給する部品生産する組立てライン負荷変動平準化考え生産方式が採択されている. これはデータ取得可能性計算時間長さ勘案して作成された投入方式であって, よく知られている方式ではあるけれどもこれによって現実問題解決されるとは必ずしもいえない. 自動車よりさらに大きな製品である住宅ユニット組立てラインでは混合品種生産が行われていたが, 作業負荷変動により作業遅れが発生し, 作業者が次の品物作業始めるためにラインの上流の作業位置に戻る際の歩行距離の累計無視できないほど大きなものになっていた. やはり, 自動車産業同様に主要部品の使用速度均等化は必要と見なされたが, それとともに作業遅れを同時に考慮した投入順序決定方式検討され, 生産効率の向上のみならず作業者にとって関心の高い作業負担大幅軽減をできることが明らかになった[4].



参考文献

[1] 黒田 充, 『ラインバランシングとその応用』, 日刊工業新聞社, 1984.

[2] T.O. Prenting and N.C. Thomopoulos, Humanism and Technology in Assembly Line Systems, Spartan Books, 1974.

[3] 門田安弘, 『トヨタプロダクションシステム-その理論と体系』, ダイヤモンド社, 2006

[4] 徳安弘之, 黒田 充, 「 ユニット住宅生産ラインにおけるユニット投入順序計画」, 『生産スケジューリングシンポジウム講演論文集』, 日本機械学会, 81-84, 1993


ラインバランシング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/05/22 03:18 UTC 版)

ラインバランシングとは経営学用語の一つ。ライン生産が行われる場合に、各作業の工程速度を同一化させるということ。これを行うことで生産を行う場合には無駄を省いて続いて行うことができるようになるというわけである。




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