メルセデス・ベンツ・W123とは? わかりやすく解説

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メルセデス・ベンツ・W123

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 05:34 UTC 版)

メルセデス・ベンツ・W123
セダン 240D(北米仕様)
クーペ230CE
ステーションワゴン300TD
概要
販売期間 1976年 - 1985年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアセダン
2ドアクーペ
ステーションワゴン
リムジン
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 2.0L,2.3L直列4気筒
2.5L,2.8L直列6気筒
2.0L,2.2L,2.4L直列4気筒ディーゼル
3.0L直列5気筒ディーゼル
3.0L直列5気筒ターボディーゼル
変速機 3速AT/4速AT
4速MT/5速MT
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン
後:セミトレーリングアーム
車両寸法
ホイールベース 2,795mm(セダン)
2,710mm(クーペ)
3,425mm(リムジン)
全長 4,725mm(セダン)
4,640mm(クーペ)
全幅 1,786mm
全高 1,440mm(セダン)
1,395mm(クーペ)
1,465mm(ワゴン)
車両重量 1,340kg - 1,680kg
系譜
先代 メルセデス・ベンツ・W114
後継 メルセデス・ベンツ・W124
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メルセデス・ベンツ・W123Mercedes Benz W123 )は、ドイツの自動車メーカーであるダイムラー・ベンツメルセデス・ベンツブランドで展開していた自動車である。

W114の後継として1976年から1985年まで生産・販売され、1982年に「W201」が登場するまで、エントリーモデルの役割を担った。W201の発売後は1984年にW124にバトンタッチするまでミディアムクラスとして生産された(当時、ニューモデル発売後1年間は旧モデルも継続生産していた)。

概要

メルセデスの中核を担う車種として、販売面では、小型車であるフォルクスワーゲン・ゴルフの1980年販売台数が20万0892台だったのに対し、中型車のW123はそれを超す20万2252台を記録している。

W114同様コンパクトクラスという呼称も与えられていたが、これは絶対的なサイズを示すものではなく、上位モデルであるSクラスと比べて相対的に小型であることを意味する。

ボディ構造は乗員部分が強化され、その前後のボディで衝撃を吸収する方法を取っている。

1981年、ABSと運転席エアバッグがオプションとして新たに設定された。助手席エアバッグも試作されていたものの、実際に装備されるようになったのはモデルチェンジ後の1987年のことだった。

W123は、1979年8月と1982年8月にマイナーチェンジを実施している。特に1982年の改良では、ヘッドライトが丸型から異形タイプ(角形)に変更された。

バリエーション

1976年にセダンがまずデビューし、翌1977年にはクーペリムジンステーションワゴンがラインナップに加わった。

リムジン

1977年8月にリムジン(V123)が発売された。ホイールベースはセダンの2,795mmより630mm長い3,425mmであった。延長分は3列目シートが設けられ、タクシーホテルの送迎などに使用された。

ラインアップには250と240D、300Dが用意された。

ステーションワゴン

ユーザーからの要望が強かったステーションワゴンモデル(S123)である。W114にも特装車としてステーションワゴンが存在したが、メルセデス自身の手によるステーションワゴンは、このモデルが初めてである。ステーションワゴンはT-モデルと呼ばれた。Tは観光旅行・輸送の頭文字のTを表していた。

基本構造はセダンと同一で、ワゴンの3分の2は、非対称分割タイプの折りたたみ式後部座席であった。ラゲッジスペースは通常のポジションで523L、後部座席を折りたたむと879Lであった。またオプションで後ろ向きの2人掛け折り畳み座席が設置される7人乗り仕様を選択することが出来た。

リアサスペンションには重い荷物を積んだとき車体を調節するレベライザー機構を備えていた。これはシトロエンのハイドロニューマチック・サスペンションの特許を用いた油圧式のものである。当時メルセデス・ベンツにはW116の450SEL 6.9でハイドロニューマチックサスペンションの採用例があったが、S123のものはこれを簡略化して車高の維持のみに技術が用いられており、任意の車高調整等の機能は省かれている。

発売当初は、230T、250T、280TEとディーゼルの240TDと300TDのラインナップだったが、日本仕様は300TDのみが導入され、ガソリン車のラインアップはなかった。1980年、200Tとターボディーゼルの300TDTが追加され、日本仕様は300TDTと置き換えられた。

現在も日本では人気がある車体形状であるが前述の通りディーゼル仕様しか日本に導入されず、近年の排気ガス規制で自治体によっては登録することが出来なくなり、そのため、セダンのガソリンエンジンを積み替えている場合も見られる。

クーペ

クーペモデル(C123)は、セダンよりホイールベースが85mm短く、低いルーフとショートキャビンのスポーティな外観となった。

クーペボディは2ドアピラーレスハードトップであったが、Bピラーが無い代わりにAピラーとCピラー、ルーフを強化した構造で、ボディの前後が衝撃を吸収することにより事故の際の乗員の安全を確保している。

ラインナップは4気筒230C(109PS/80kW)と、2つの6気筒、280C(156PS/115kW)と280CE(177PS/130kW)でスタートした。1977年の秋には、米国市場向けに300CD(80PS/59kW)のディーゼルクーペが追加される。1981年には、ターボチャージャーを搭載した300CD(125PS/92kW)が導入される。

1980年に230Cは230CEとなった。電子制御燃料噴射の新エンジンM102は最高出力136PS/100kwとなった。同時にABSがオプションとなり、1982年には運転席エアバッグが設定される。1985年8月にクーペモデルC123の生産終了。総生産9万9884台でこのうちディーゼル車が1万5509台であった。

ラリー競技

1978年からのWRCにおいて過酷であったマディラウンドであるサファリラリーからサビエスト・ザサダ、ジョギンダ・シン、アンドリュー・コーワン、トニー・フォークスらによるGr.2エントリーとして280E[1]が選出され、スポット参戦であるもののグループ2位を果たした。

1979年のサファリ[2]、ラリー・コートジボワール[3]においてダイムラー地元ディーラーセミワークス体制でGr.4エントリーとして450SLC5.0とこれまでの280Eの2グループ体制とし、サファリではコーワンの280Eが総合4位に食いこむと280Eでの参戦は終わり、次年のGr.2エントリー対象をよりパワフルな500SLCへと変更していく。

生産台数

W123系の総生産台数は、269万6914台に上る。内訳はセダンが最多の237万5440台で、ステーションワゴンが19万9517台、クーペが9万9884台、リムジンが1万3700台、特別架装車が8373台であった。これらのうち約108万台がドイツ国外に輸出された。


セダン (W123)

グレード エンジン 製造期間 最高出力(PS) 生産台数(台)
200D OM615 1976-1985 55、60(1979年2月-) 378,138
220D OM615 1976-1979年 60 56,736
240D OM616 1976-1985年 65、72(1978年8月-) 454,780
300D OM617 1976-1985年 80、88(1979年9月~) 327,320
300Dターボディーゼル(米国) OM617 1981-1985年 121、125(1982年10月-) 75,261
200 M115 1976-1980年 94 158,772
200 M102 1980-1985年 109 217,315
230 M115 1976-1980年 109 196,185
230E M102 1980-1985年 136 245,876
250 M123 1976-1985年 129、140(1979年9月-) 117,684
280 M110 1975-1981年 156 33,206
280E M110 1975-1985 177、185(1978年4月-) 126,375

リムジン (V123)

240Dラング OM616 1977-1985年 65、72(1978年8月-) 3,425
300Dラング OM617 1977-1985年 80、88(1979年9月-) 4,679
250ラング M123 1977-1985年 129、140(1979年9月-) 5,180

ステーションワゴン (S123)

240TD OM616 1978-1986年 65、72(1979年2月-) 38,897
300TD OM617 1978-1986年 80、88(1979年9月-) 37,140
300TDターボディーゼル OM617 1980-1986年 125 28,216
200T M102 1980-1986年 109 18,855
230T M115 1978-1980年 109 6,884
230TE M102 1980-1986年 136 42,253
250T M123 1978-1982年 129、140(1979年9月-) 7,704
280TE M110 1978-1986年 177、185(1978年4月-) 19,775

クーペ (C123)

230C M115 1977-1980年 109 18,675
230CE M102 1980-1985年 136 29,858
280C M110 1977-1980年 156 3,704
280CE M110 1977-1985年 177、185(1978年4月-) 32,138
300CD(米国) OM617 1977-1981年 78、84(1979年9月~) 7,502
300CDターボディーゼル (米国) OM617 1981-1985年 121、125(1982年10月-) 8,007

関連項目

脚注

  1. ^ 26th Safari Rallyrallybase.nl 2013年4月23日参照。
  2. ^ 27th Safari Rallyrallybase.nl 2013年4月23日参照。
  3. ^ 11ème Rallye Côte d'Ivoirerallybase.nl 2013年4月23日参照。

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