ミクロストリアとは? わかりやすく解説

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ミクロストリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 16:03 UTC 版)

ミクロストリア(イタリア語:Microstoria、英:Microhistory)とは、境界などがはっきりと定義された小さな単位を対象とし、集中的に歴史学的な調査・記述を行うことである。多くの場合、ひとつの出来事やひとつのなど小さな共同体、あるいはひとりの個人を対象とする。ミクロストリアは「小さい」「微小な」を意味する"micro"に「歴史」を意味する"storia"を組み合わせた語であり、「小さい歴史」を意味する。しかしながらミクロストリアのmicroは必ずしも観察する対象の規模が小さいということのみを示しているのではなく、むしろ観察する尺度が小さい、つまり細部まで詳細に記述を行うということを意味して使用される[1]。ミクロストリアは、その野心的展望においてはチャールズ・ジョイナーの定義を用いれば「小さな場所で大きな問い」をたてようとすることがあるものであり、このかぎりにおいて単なるケーススタディと区別されうる[2]。日本語の表記としてはイタリア語由来の「ミクロストリア」のほかに英語由来の「マイクロヒストリー」や「ミクロヒストリー」も使用される。


  1. ^ 橘菫「<文献レビュー>マイクロヒストリーとは何か : S. G. マグ ナッセン・L. スジャルト『マイクロヒストリーとは何か : 理論と実践』」『教育・社会・文化 : 研究紀要』15 (2015): 49-60、p. 54。
  2. ^ Joyner, C. W. Shared Traditions: Southern History and Folk Culture, (Urbana: University of Illinois, 1999), p. 1.
  3. ^ Carlo Ginzburg: Il formaggio e i vermi. Einaudi: Torino, 1976 (カルロ・ギンズブルク『チーズとうじ虫-16世紀の一粉挽屋の世界像』杉山光信訳、みすず書房、1984); Giovanni Levi: L'eredita immateriale. Carriere di un esorcista nel Piemonte del seicento. Einaudi: Torino, 1985
  4. ^ Luis González y González, Pueblo en vilo. Microhistoria de San José de Gracia, México, El Colegio de México, 1968.
  5. ^ カルロ・ギンズブルク「ミクロストリアとはなにか--私の知っている2,3のこと」『思想』826 (1993): 4-30。
  6. ^ Stewart G., Pickett’s Charge: A Microhistory of the Final Attack on Gettysburg, July 3, 1863, (Boston: Houghton Mifflin, 1959; reprinted Dayton, 1983).
  7. ^ Adam and Charles Black (1887, July). The Brocas Book, The Edinburgh Review, Volume 166, Number 339, p. 235.
  8. ^ ジョン・ブルーア「ミクロヒストリーと日常生活の歴史」水田大紀訳『パブリック・ヒストリー』2: (2005): 19–37、p. 21。


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