ボリル化合物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/10 07:43 UTC 版)
詳細は「遷移金属ボリル錯体」を参照 ボリルアニオンは一般式R2B−で表される化学種である。求核性を持ったアニオン性ホウ素化合物は2006年の研究でボリルリチウム化合物として初めて発見され、求核剤としてはたらくことがわかった。金属-ホウ素結合を持った有機金属化合物(M–BR2)はボリル錯体として知られている。関連する配位子としてボリレン(英語版)(M–B(R)–M)がある。 他の第2周期元素と異なり、リチウムホウ素化合物は存在しない。他の第2周期元素とリチウムの塩はフッ化リチウム、水酸化リチウム、リチウムアミド(英語版)や有機リチウム化合物などがある。この違いは、ホウ素の電気陰性度の低さに起因する。塩基とホウ素ヒドリドR2BHが反応しても脱プロトン化してボリルアニオンR2B−は生成せず、R2B−H(base)+となる。この生成物はオクテット則を満たす。そのため、ホウ素化合物はB-Br結合を金属リチウムで還元的に加水分解して調製される。生成するボリルリチウム化合物はN-ヘテロ環状(英語版)カルベンと等電子的である。この化合物は芳香族性をもち(窒素の孤立電子対およびホウ素の空のp軌道で6電子となる)、2,6-ジイソプロピルフェニル基のかさ高さにより速度論的に安定化される(英語版)ため安定である。X線結晶構造解析によってホウ素がsp2混成していることが確認されており、ベンズアルデヒドとの求核付加反応からもその構造がわかる。
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