ファテー級潜水艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/05 15:47 UTC 版)
| ファテー級潜水艦 | |
|---|---|
|
ファテー(920)
|
|
| 基本情報 | |
| 種別 | 潜水艦 |
| 運用者 | |
| 建造期間 | 2008年 - 建造中[1] |
| 就役期間 | 2019年 - 就役中[1] |
| 計画数 | 10隻程度[2][3] |
| 建造数 | 1隻 + 3隻建造中[1] |
| 要目 | |
| 基準排水量 | 527 t[1] |
| 水中排水量 | 593 t[1] |
| 全長 | 48.0 m[1][2][3] |
| 最大幅 | 6.0 m[1][2] |
| 機関 | ディーゼル・エレクトリック方式[1][2][3] |
| 主機 | |
| 推進 | スクリュープロペラ×1軸[1][2] |
| 速力 | 水上:11ノット (20 km/h)[1] 水中:14ノット (26 km/h)[1] |
| 航海日数 | 5週間[4] |
| 潜航深度 | 200 m[1][4] |
| 乗員 | 32 名[1] |
| 兵装 | |
| レーダー | 型式不詳[1] |
| ソナー | 型式不詳[1] |
| 電子戦・ 対抗手段 |
ECM装置(型式不詳)[1] |
ファテー級潜水艦(ファテーきゅうせんすいかん、英語: Fateh-class submarine)は、イラン海軍の通常動力型潜水艦の艦級。イランには海上軍事組織としてイラン・イスラム共和国軍の海軍とイスラム革命防衛隊の海軍の2者が存在するが、本級はイラン・イスラム共和国軍の所属である[1]。
開発
イランで開発された潜水艦で、2011年9月に建造計画が公開された[4]。なお、ジェーン海軍年鑑などを発刊しているJanesでは、イランは2008年8月にも「カエム(Qaem)」という名称の新型潜水艦建造計画を公表しており、この計画名を変更した可能性もあると分析している[4][2]。2013年10月に衛星写真によってはじめて実在が確認された[2]。
1番艦ファテーは2014年にイラン南部のボスタヌ(Bostanu)にあるISOICOで進水し、2019年2月17日にイラン海軍に就役した[4][2]。その後、奇数艦がISOICO、偶数艦がShahid Tamijidi Marine Industriesで建造されている[1]。建造計画数は公開されていないが、10隻程度と分析されている[2][3] 。
設計
ファテー級は沿海域での作戦用として設計された潜水艦であり、公式発表ではイランの独自設計だとされている[2][3]。また、イランと関係の深い北朝鮮製のサンオ型潜水艦を発展拡大したものとの見方もあるが、船体サイズはサンオ型を大きく上回っている[2]。
1番艦は、2014年の進水時に公開された写真では船体前方上部に特徴的な操舵翼が取り付けられていたが、これは2019年の就役時の写真ではなくなっていた[4][2]。
具体的な性能には諸説あり、資料によって一部の数値が異なる。水中排水量は就役式でアミール・ハタミ国防大臣から600トンと発表されており[4]、各資料ともおおむねその程度の数値を採用している[1][3]。また全長についても48メートルでおおむね一致しているが[1][2][3]、最大幅については6メートルとする資料[1][2]と4.8メートルとする資料[3]があり、乗員数についても32名とする資料[1]と14名+水中工作員7名とする資料[3]がある。
機関はディーゼル・エレクトリック方式だが、2024年3月にカタールで開催されたDIMDEX 2024展示会において、イラン国防省は非大気依存推進(AIP)機関を搭載したファテー級のモックアップを展示しており、1年以内に最初のファテー級に搭載して運用評価を行い、順次ほかの艦にも搭載予定であると説明している[5]。
武装
武装としては、艦首に533ミリ魚雷発射管4門を備える[1][3][4]。ハタミ国防大臣は就役式で魚雷や対艦ミサイルを発射できると述べており[4]、国営のイスラム共和国通信社は予備魚雷2発と機雷8発を搭載可能と報じている[6]。搭載する魚雷についてはValfajr、対艦ミサイルはC-704またはNasr-1とみられている[1]。
同型艦
| # | 艦名 | 建造所 | 起工 | 進水 | 就役 |
|---|---|---|---|---|---|
| 920 | ファテー Fateh[1] |
ISOICO[1] | 2008年 8月25日[1] |
2013年[1] | 2019年 2月17日[1] |
| 921 | Shahid Tamijidi Marine Industries[1] | 2015年[1] | 2025年予定[1] | ||
| 922 | ISOICO[1] | 2025年予定[1] | 2026年予定[1] | ||
| 923 | Shahid Tamijidi Marine Industries[1] | 2025年予定[1] | 2026年予定[1] |
脚注
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar Gogin 2025, p. 404.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o Saunders 2015, p. 383.
- ^ a b c d e f g h i j k 海人社 2024, p. 61.
- ^ a b c d e f g h i Jeremy Binnie (2019年2月18日). “Iran commissions Fateh submarine”. janes.com. 2025年11月5日閲覧。
- ^ Tayfun Ozberk (2024年3月8日). “Iran unveils AIP version of Fateh-class submarine at DIMDEX 2024”. navalnews.com. 2025年11月5日閲覧。
- ^ “Iran most advanced domestically-built submarine joins fleet”. イスラム共和国通信社 (2019年2月17日). 2025年11月5日閲覧。
参考文献
- Ivan Gogin (2025) (英語). Fighting ships of the world 2025. Part One. A - M. ISBN 979-8315818335
- Stephen Saunders, ed (2015) (英語). Jane's Fighting Ships 2015-2016. Janes Information Group. ISBN 978-071063143-5
- 海人社(編)「世界の海軍2024-2025」『世界の艦船』第1016号、海人社、2024年4月。
関連項目
- ファテー級潜水艦のページへのリンク