ビャンビャン麺とは? わかりやすく解説

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ビャンビャン‐めん【ビャンビャン麺】

読み方:びゃんびゃんめん

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西(せんせい)省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。

[補説] 「ビャン」を表記する漢字がきわめて複雑なことで有名。康熙字典などへの掲載がない新しい字と思われるが、2020年にユニコードに収録された。

ビャンビャン麺の画像
「ビャン」の漢字。穴・言・幺・幺・馬・長・長・月・刂・心・辶と書くとされる。
ビャンビャン麺の画像

ビャンビャン麺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/17 05:34 UTC 版)

𰻞𰻞麺
(𰻞𰻞麵 / 𰻞𰻞面)
種類 中国の麺
発祥地 中華人民共和国
地域 陝西省
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ビャンビャン麺
繁体字 麵

𰻞𰻞麵
簡体字 面

𰻝𰻝面
漢語拼音 biángbiángmiàn
発音記号
標準中国語
漢語拼音 biángbiángmiàn
ウェード式 piang2-piang2-mien4
IPA [pjɑ̌ŋ.pjɑ̌ŋ.mjân]
イェール式
ローマ字
byángbyángmyàn
国語ローマ字 byangbyangmiann
注音符号 ㄅ⁠ㄧ⁠ㄤ⁠ˊ   ㄅ⁠ㄧ⁠ㄤ⁠ˊ   ㄇ⁠ㄧ⁠ㄢ⁠ˋ
油溌扯麺
繁体字 油潑扯麵
簡体字 油泼扯面
漢語拼音 yóupō chěmiàn
発音記号
標準中国語
漢語拼音 yóupō chěmiàn
ウェード式 yu2-pʻo1 chʻê3-mien4
IPA [jǒʊ.pʰwɔ́ tʂʰɤ̀.mjân]
イェール式
ローマ字
yóupwō chěmyàn
国語ローマ字 youpo cheemiann
注音符号 ㄧㄡˊ   ㄆㄛ
ㄔㄜˇ   ㄇㄧㄢˋ

𰻞𰻞麺(ビャンビャンめん、𰻞𰻞麺、中国語: 𰻞𰻞麵 / 𰻝𰻝面)は中国の陝西省でよく食べられている幅広の手延麺[注 1][1]。標準中国語ではbiángbiángmiàn、ビアンビアンミエン、西安方言ではbiángbiǎngmiān、ビアンビアンミエンと発音する。

概要

原料は小麦粉で、水と食塩を加えてこねて生地を作り、ゆでる直前に両手で伸ばし、2 - 3センチメートルの幅に平たく伸して成形する。日本のほうとうやうどんに似た食感を持つが、切って成形するものではない。長さは伸す台の長さによって決まり、1メートルになるものもある。「陝西十大怪」の1つにも挙げられるこの麺は、その長さと広い幅のために「麺条賽腰帯」とベルトに例えられている。

陝西省の咸陽市周辺では、「油溌扯麺」(ゆはつしゃめん、ヨウポー・ツォーミェン、簡体字: 油泼扯面; 繁体字: 油潑扯麵)とも言われる、ゆでた麺の上に唐辛子や刻み葱をかけ、それに熱したピーナッツ油などの油をかけて香りを出し、和えて食べる方法が主流で、特に冬になると唐辛子を大量にかけて食する[2][3]。酢、塩、醤油、唐辛子、花椒などの調味料やもやし、コリアンダー、肉などの具材を加えてあえて食べることも、酸味と辛みのあるスープに入れることもある。調味料だけで具のないものは田舎に住む貧民の食事であったが、近年ではその風変わりな名前や表記から脚光を浴び、西安市などの近郊都市だけでなく、中国各地の都市、さらには海外でも提供されるようになった。

名称

「ビャン」の漢字

𰻞𰻞麺という名称とその表記に使われる漢字「」の起源は諸説あり、確定していない。

名称についての説明として、平たいことを意味する「扁扁」が訛ったものという説がある。陝西を含む西北方言では、地方によって標準北京音の「an」が「ang」と発音される場合がある。この地方名が現物とともに中国各地に伝わる過程で原義が忘れられ、音だけが残ったものというのである。このほか、調理時に麺が発する音や販売時の拍子木の音などの擬音に由来する様々な民間語源説がある[4][5][注 2]。

陝西方言の研究者任克は『関中方言詞語考釈』[7]で「餅餅麺(繁体字: 餅餅麵、簡体字: 饼饼面)」という字にbiángbiǎngmiānとの読みを記している。名称の由来として、西安市雁塔区には「水餅子」というゆでた平たい麺類があり、「餅餅麺」も『斉民要術』に見える「水引餅」や、漢代の『釈名』にも見え、宋代に出産祝いの宴会に用いられた「湯餅」が変化したものとし、「餅餅」と呼んでいた物に、後から接尾語の「麺」が付いたとする。また、この場合の餅は、「麺餅」、すなわち、小麦粉を水でこねて伸した加工品全般を指す。西安方言で「餅」は一般的にはbìngのような発音だが、biángと発音するのは伝わった時代差による白文異読と呼ばれる現象とする。

表記に用いられる「」は方言字のひとつである。ただし、清代の康熙字典に見当たらず、20世紀までに出版された陝西方言の研究書や漢字研究書にもみられないため、かなり新しく作成されたものと考えられる[注 3][注 4][注 5]。

2021年の三省堂国語辞典第八版に「ビャンビャン麺」が収録された[1]。

漢字

𰻞𰻞麺専門店の例

筆画

1900年以前の「ビャン」の小篆

名称に用いられている漢字「」は57画で構成され、現代使用されている漢字の中ではきわめて複雑である。また、中国で常用されているポケットサイズの『新華字典』はもとより、『康熙字典』や『中華大字典』のような大型字書にも載っていない。なお、この文字よりも筆画が多く複雑な漢字として、「龍」を4つ並べた「 𪚥」(、テツ、64画)などがあり、和製漢字の「 𱁬」(、たいと、84画)も知られている。

覚え方

「」の書き順

前述の通り「」という字は余りに複雑なため、陝西省居住者の間では字の書き方を思い出す手助けとなる短い詩がいくつか存在する。

そのうちの一つは、右に「刂」ではなく「丁」と書く異体字の説明であるが、「一点儿冲上天,黄河两道湾,八字大张口,言字往里走,东一“扭”西一“扭”,左一长右一长,中间坐个马大王,心字底月字旁,楔个钉子挂衣裳,坐个车车到咸阳。」といい、日本語訳は「点が天辺に飛上り、黄河両端で曲がる、八の字が大きく口を広げ、言の字が中へ入る。東に一ひねり、西に一ひねり、左に長一つ、右に長一つ、中間に馬大王が座る。心の字が底に、月が傍らに、釘を打ってそこに服をかけ、車に乗って咸陽へ向かう。

この他に日本のお笑い芸人篠宮暁が創作した覚え歌がある[9][10][11]。: 「穴言・くムくム・長馬長・月刂・心・⻌(アナゴン くムくム チョウバチョウ ゲツリ シン シンニョウ)」。なお正しい書き順に則るならば「チョウバチョウ」ではなく「バチョウチョウ」である。

文字コード

「」は、JIS X 0208やJIS X 0213などの日本の符号化文字集合には含まれておらず、また、国際符号化文字集合Unicodeにも長らく含まれていなかった為、この字を表示・入力できる環境は限られている。

Unicodeへのこの文字の追加提案は、2012年にU-Source Ideographsに収録されて以来[12]数度にわたって行われた。漢字研究家のケン・ランディは2015年に「Biáng 形纹样探究」という論文を典拠として[13]この字の追加を提案し[14]、最終的に2020年3月に発行されたバージョン13.0.0でCJK統合漢字拡張Gの一部として収録された[15]。コード位置はU+30EDD(簡体字)、U+30EDE(繁体字)であり、第三漢字面に収録されている。

印字する際には紙質により文字が潰れるため、調整が必要となる[16][17]。

構成

IDCで書くと⿺辶⿳穴⿰月⿰⿲⿱幺長⿱言馬⿱幺長刂心[18][19]となる。

他地域での普及

腰帯麺(ビャンビャン麺)

北京では𰻞𰻞麺のチェーン店で取り扱っている。華南においても扱う店が出現しはじめている。

日本

日本では2019年ごろから首都圏を中心に「ビャンビャン麺」を扱う中華料理店が増え始めたという[20]。東京周辺の個別の店で𰻞𰻞麺と称して幅広の麺類を提供する例があるが、陝西省のものとは風味が異なる。大阪市内の西安料理店では「腰帯麺(ビャンビャン麺)」との表記で提供されている例がある。

2020年、セブンイレブンは「西安風うま辛香油麺 ビャンビャン麺」の商品名で販売を開始した[21]。当初は東京都のみでの販売だったが、11月から首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)および宮城県、山形県、福島県、東海(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)、近畿に拡大している[22]。2022年8月に再び「黒酢と八角香るビャンビャン麺」という名前で販売された[23]。

2021年にはレストランチェーンのバーミヤンで「ビャンビャン麺」が提供された[20][24]。また、2021年からカルディコーヒーファームで麺が取り扱われるようになった[20]。2022年には、サンヨー食品から「ビャンビャン麺風」と称するカップ麺が[20][25]、日清食品からは冷凍タイプの麺がそれぞれ発売された[20]。

脚注

注釈

  1. ↑ 梆梆(bāngbāng、バンバン)麺もあるが、ビャンビャン麺とは異なる。
  2. ↑ 「長餅 chángbǐng」を逆にした「餅長」が縮まってbiángとなったとする説もある[6]。
  3. ↑ 標準的な中国語、およびその発音の基礎となった北京語において、原則的にはbiangという音節は存在しない。よって、この音を正しく表せる漢字も北京周辺にはなかった。このため、類似音を記した「比昴比昴麺」、「棒棒麺」、「 梆梆麺」などの表記も使用されている。ただし、北京語の場合でも、擬音語の中にはbiangという音節は存在する。通常、一声で発音され、漢字で表記されず、拼音そのままか「梆」で当て字する(「梆」本来の字音はbāng)。意味は、「ビューン」という音、銃声「バーン」「バキューン」である[8]。
  4. ↑ biangという発音は、陝西省のほか、江西省の贛語、福建省の閩語、広東省の客家語などにあり、いずれも「餅」、「丙」などの字を表す音である。陝西省では「氷」という字もbiangと読む。
  5. ↑ 香港の民放・無綫電視(TVB)で2007年に放映された番組『一網打盡』によると、番組のプロデューサーが大学教授に協力を仰いで漢字「」の起源を探ろうとしたが、字の起源については確たる証拠を掴むことができなかったため、ビャンビャン麺の店による創作ではないかと結論付けている。

出典

  1. 1 2 三省堂国語辞典に新語として加わった「ビャンビャン麺」、漢字で書くと大変なことに…|@DIME アットダイム - ウェイバックマシン(2022年6月30日アーカイブ分)
  2. ↑ 教えて! 陝西省西安名物の「油溌麺(ヨウポーミェン)」の味の決め手になるものとは? - ウェイバックマシン(2020年6月10日アーカイブ分)
  3. ↑ “人気急上昇!全57画⁉幅広めちゃ長、西安名物の手打ち麺「ビャンビャン麺」の楽しみ方”. 80C(ハオチー). 中華・高橋 (2019年2月18日). 2020年6月10日閲覧。
  4. ↑ 周旺編『中国語: 中華風味小吃 傳説与烹飪』p90、2010年、北京・化学工業出版社。
  5. ↑ 坂本一敏『中国麺食い紀行 — 全省で食べ歩いた男の記録』p214、2001年、東京・一星企画
  6. ↑ 伍永尚『原生態的西安話』p70、2007年、西安・西安交通大学出版社
  7. ↑ 任克、『関中方言詞語考釈』、西安・西安地図出版社、1995年、pp14-15
  8. ↑ 野口宗親『中国語擬音語辞典』東方書店、1995年、xvii(中国語擬音語概説), 8(辞典本文)頁。ISBN 4497954439。「〔「中国語擬音語概説|4 発音と意味|(6)特殊な音節」〕擬音語のなかに,現代中国語の四百余の音節の枠内にはまらない特殊な音節が時折見受けられる。〔中略〕これらはいずれも北京方言であるが,このように方言とか日常語とか子供の言葉には音韻体系に拘束されない発音もあることが擬音語の特色である。ただ文字化できないので文献からは採集しにくい。場合によっては適当な漢字であてることもある」
  9. ↑ オジンオズボーン篠宮暁「【ビャンビャン麺】非公式CM」(日本語)『YouTube』2020年9月9日、2020/09/09。
  10. ↑ オジンオズボーン篠宮暁「【秒で漢字暗記】ビャンビャン麺の「ビャン」の覚え方」『YouTube』、該当時間: 1:54–1:592019年10月18日。
  11. ↑ オジンオズボーン篠宮暁 [@shinomiyaakira] (2019年10月17日). “漢字「ビャン」の覚え方 #秒で漢字暗記 #ビャンビャン麺のビャン”. X(旧Twitter)より2023年8月17日閲覧.
  12. ↑ “USourceData-6.2.0.txt”. Unicode. Unicode Consortium (2012年9月11日). 2026年1月3日閲覧。
  13. ↑ “Proposal to add one character to UAX #45” (PDF) (英語). Unicode. Unicode Consortium (2015年9月17日). 2026年1月3日閲覧。
  14. ↑ “Two Biángs Are Better Than One”. ccjktype.fonts.adobe.com. 2026年1月3日閲覧。
  15. ↑ “Unicode 13.0.0”. www.unicode.org. 2026年1月3日閲覧。
  16. ↑ “Aプロ校閲事業部さんはTwitterを使っています: 「今回「ビャン」を作字した者です。締め切りまで一時的に用意した漢字の中で、最も時間を要しました…(汗 写真はルーペ越しの印字です。目の粗い新聞紙でつぶれやかすれが生じぬようデザインしたこともあり、字というより何かの模様を作っている感覚でした。(担)”. Twitter. 2022年7月20日閲覧。
  17. ↑ “(街のB級言葉図鑑)●●〈●はビャン〉麺 飯間浩明:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2022年7月20日閲覧。
  18. ↑ “EsT character = 𰻞”. www.chise.org. 2026年1月3日閲覧。
  19. ↑ “USourceData-17.0.0.txt”. Unicode. Unicode Consortium (2025年7月24日). 2026年1月3日閲覧。
  20. 1 2 3 4 5 阿生 (2022年5月14日). “〈カルディ、日清、サンヨウ〉家で食べられる「ビャンビャン麺」3種、ガチ中華マニアが食べ比べてみた”. 文春オンライン. 2023年5月7日閲覧。
  21. ↑ Kosugi, Tomoya. “セブンさん、麺職人を雇った?超極太の“ビャンビャン麺”で口の中が中国になった”. BuzzFeed. 2020年9月5日閲覧。
  22. ↑ 西安風うま辛香油麺ビャンビャン麺 - ウェイバックマシン(2021年1月14日アーカイブ分)(セブンイレブン公式サイト「商品のご案内」の「そば・うどん・中華麺」より)
  23. ↑ 黒酢と八角香るビャンビャン麺 - ウェイバックマシン(2022年8月24日アーカイブ分)
  24. ↑ “バーミヤンに旨辛混ぜそば「ビャンビャン麺」が初登場!やみつきになる中国・西安の屋台グルメ!!”. 株式会社すかいらーくホールディングス (2021年3月18日). 2023年5月7日閲覧。
  25. ↑ 相場一花. “見せて貰おうか史上最大級幅広麺とやらを!サンヨー新作「ビャンビャン麺風 辛口麻辣湯麺」を実食”. Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム. 2023年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月7日閲覧。

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