ドグマ95
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ドグマ95(Dogme95)は、デンマークにおける映画運動である。1995年、ラース・フォン・トリアーらによって始められた。ドグマ95には「純潔の誓い」と呼ばれる、映画を製作する上で10個の重要なルールがある。2008年現在まで270作を数える。
概要
「純潔の誓い」
- 撮影はすべてロケーション撮影によること。スタジオのセット撮影を禁じる。
- 映像と関係のないところで作られた音(効果音など)をのせてはならない。
- カメラは必ず手持ちによること。
- 映画はカラーであること。照明効果は禁止。
- 光学合成やフィルターを禁止する。
- 表面的なアクションは許されない(殺人、武器の使用などは起きてはならない)。
- 時間的、地理的な乖離は許されない(つまり今、ここで起こっていることしか描いてはいけない。回想シーンなどの禁止である)。
- ジャンル映画を禁止する。
- 最終的なフォーマットは35mmフィルムであること。
- 監督の名前はスタッフロールなどにクレジットしてはいけない。
システム
「純潔の誓い」のすべてが守られなければドグマ映画として認定されないという訳ではない。例えば『イディオッツ』ではBGMが使われており、『セレブレーション』では窓にカバーをかけて撮影されたシーンがあるという。ドグマに関しては検証のプロセスはなく、映画監督がドグマのサイトからフォームを送り、
- I truly believe that the film mentioned above has obeyed all Dogme95 rules as stated in the Vow of Chastity.
- ドグマ95のルールに従い、純潔の誓いを宣言する
というチェックボックスをチェックすることになっている。
受賞
2008年のヨーロッパ映画賞で、映画界に与えた貢献が讃えられ、ラース・フォン・トリアー、トマス・ヴィンターベア、ソーレン・クラーク=ヤコブセン、クリスチャン・レヴリングの4名が世界的貢献賞を受賞した。
日本公開作品
- 『セレブレーション』、1998年、トマス・ヴィンターベア監督
- 『イディオッツ』、1998年、ラース・フォン・トリアー監督
- 『ミフネ』、1998年、ソーレン・クラーク=ヤコブセン監督
- 『ラヴァーズ』、1999年、ジャン=マルク・バール監督
- 『ジュリアン』、1999年、ハーモニー・コリン監督
- 『キング・イズ・アライヴ』、2000年、クリスチャン・レヴリング監督
- 『Interview インタビュー』、2000年、ピョン・ヒョク監督
- 『幸せになるためのイタリア語講座』、2000年、ロネ・シェルフィグ監督
- 『しあわせな孤独』、2002年、スザンネ・ビア監督
外部リンク
- ドグマ95 - 公式サイト
ドグマ95
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「ラース・フォン・トリアー」の記事における「ドグマ95」の解説
1995年、トリアーの母親が死去。遺言としてトリアーの遺伝上の父は彼女の夫ではなく、元上司でカトリックの音楽家の家系のフリッツ・ミカエル・ハートマンという男性であり、「芸術家の遺伝子のため」に彼を選んだことが明らかとなった。その後、何度かの気まずい会見の後でハートマンはトリアーに会うことを拒否するようになった。この暴露の後、トリアーは育ての父との関係を「消去」しようとし、一時期はカトリックに入信した。現在はカトリックに破門されてはいないものの無神論の立場を取っている。映画においても「正直さ」を大きく扱った作品を製作するようになる。 同年トリアーはトマス・ヴィンターベアとともに、技術的なミニマリズムの原則であるドグマ95を発表した。この時点では多くの批評家がこの方法論は急進的すぎて成功しないだろうと考えており、実際にこのドグマに従った映画が発表されるまでにはしばらく時間がかかった。 1996年、『奇跡の海』を発表。第49回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。主演のエミリー・ワトソンはアカデミー主演女優賞にノミネートされた。同作は厳密にはドグマ95には基づいていないもの、粒状間のある画面や手持ちカメラ主体の撮影はドグマの行く先を示していた。同作はその後の『イディオッツ』(1998年)、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年)と合わせ、困難な状況下でも純粋な心を保ち続ける女性を主人公にした「黄金の心三部作」を形成する。 また同年には、コペンハーゲンで53人の役者を使った実験的な劇『Psychomobile 1 – The World Clock』を製作した。このプロジェクトを記録したドキュメンタリーがジェスパー・ジャーギルによって製作され、2000年に『De Udstillede(展覧物)』として発表された。 1998年にはドグマ95に完全に従って製作された『イディオッツ』を発表。第51回カンヌ国際映画祭に出品された際、トリアーは旅嫌いにも関わらず陸路でカンヌまで出かけた。デンマーク映画界への国際的な関心を高めたドグマ95によりトリアーの影響も多くの作家に及ぶことになった。
※この「ドグマ95」の解説は、「ラース・フォン・トリアー」の解説の一部です。
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