コウヤコケシノブとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > コウヤコケシノブの意味・解説 

こうや‐こけしのぶ〔カウヤ‐〕【高野×苔忍】

読み方:こうやこけしのぶ

コケシノブ科常緑多年生シダ樹幹岩上生える。多数分かれ、各裂片に1本の葉脈をもつ。名は、発見され高野山にちなむ。


高野苔忍

読み方:コウヤコケシノブ(kouyakokeshinobu)

コケシノブ科常緑多年草

学名 Hymenophyllum barbatum


コウヤコケシノブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/22 15:16 UTC 版)

コウヤコケシノブ
分類
: 植物界 Plantae
: シダ植物門 Pteridophyta
: シダ綱 Pteridopsida
: コケシノブ目 Hymenophyllales
: コケシノブ科 Hymenophyllaceae
: コケシノブ属 Hymenophyllum
: コウヤコケシノブ H. barbatum
学名
Hymenophyllum barbatum (v. d. B.)

コウヤコケシノブ Hymenophyllum barbatum (v. d. B.) はコケシノブ科に属するシダ植物の1つ。薄くて比較的幅広い葉の縁に鋸歯がある。

特徴

着生植物常緑性の小型のシダ[1]。根茎は細くて長く、針金状。淡褐色の毛が少し生える。葉身は全体としては長楕円形で暗緑色を呈し、長さは4-8cm、幅は1-3cm。ただしこれは日本のものである。琉球列島での記載では葉柄の長さ2-5cm、葉身は長さ6-12cmとなっている[2]

葉柄は細い糸状で葉身より短い[3]。葉身は2-3回羽状複葉で、羽片や小羽軸には幅広い翼があり、それらはあちこちで繋がっており、また互いに重なることもある。葉の縁には不規則な鋸歯がある。葉裏では軸上に多細胞で淡褐色の毛があり、これは落ちない。なお葉身の先端が長く伸び出す例がしばしば見られる[3]

胞子嚢群は葉の先端近くに多くあり、裂片の先端に一つずつ生じる。胞子嚢群は腹背側に位置する2枚の包膜に挟まれる。包膜は基部まで裂けており、先端の縁には鋸歯がある。

和名は和歌山県高野山にちなみ、ここが最初の発見地であるが、特にこの地を記する必要がないほどの普通種である[3]

分布と生育環境

群落の様子

青森県秋田県寄り[4])以南の本州四国九州琉球列島に産する[1]。国外ではヒマラヤ、中国から朝鮮半島、台湾、東南アジアにかけて分布する。

岩の上や樹幹に着生して生育するが、時に地面にも生える。湿った環境に多く見られるが、比較的乾燥したところにも出現する。この類の中ではありふれた種である[5]

分類など

日本産の同属とは異なる特徴があり、コウヤコケシノブ亜属とする。独立属としてコウヤコケシノブ属 Hymenophyllum を認める判断もある。他種との区別点としては葉の縁医に鋸歯があることがあげられる。コケシノブで鋸歯があるのは日本では本種だけ[6]とされたことがあるが、ヒメチヂレコケシノブ H. denticulatum にも鋸歯がある。ただしこの種は日本では石垣島だけに知られる[7]。形態的にはキヨスミコケシノブ H. oligosorum も似ているが数は少ない。鋸歯がないので区別は容易である[8]

世界的には変異が大きく、細分される可能性がある。極端なものでは台湾で葉の長さ25cm、幅2cmに達するものが知られている[7]

出典

  1. ^ a b 以下、主として岩槻編(1992),p.83
  2. ^ 初島(1975),p.133
  3. ^ a b c 牧野(1961),p.12
  4. ^ 植物地理・分類研究 58巻2号 p,77-87 青森県の北限・南限植物 (受賞記念講演記録) p,79”. CORE (2011年3月30日). 2025年7月23日閲覧。
  5. ^ 池端(2006),p.37
  6. ^ 光田(1986),p.101
  7. ^ a b 岩槻編(1992),p.83
  8. ^ 池畑(2006),p.37

参考文献

  • 岩槻邦男編、『日本の野生植物 シダ』、(1992)、平凡社
  • 牧野富太郎、『牧野 新日本植物圖鑑』、(1961)、図鑑の北隆館
  • 初島住彦 『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会
  • 池端怜伸、『写真でわかるシダ図鑑』、(2006)、トンボ出版
  • 光田重光、『しだの図鑑』、(1986)、保育社


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「コウヤコケシノブ」の関連用語

コウヤコケシノブのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



コウヤコケシノブのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコウヤコケシノブ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS