カピタンの拝礼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/15 04:08 UTC 版)
拝礼の許可が下りると指定日に江戸城に向かうことになる。 宗門奉行と長崎奉行が連名で翌日の拝謁のことを通知し、拝礼当日には江戸在府の長崎奉行がカピタンが宿泊する長崎屋に赴き、座敷で待つ間に通詞や警固の検使の挨拶を受けた後、支度を整えたオランダ人一行を従えて江戸城に向かう。オランダ人たちはヨーロッパの式服ということで「黒い絹の外套」を着用する。江戸城本丸の百人番所で控えている間に番頭(ばんがしら)からの挨拶を受け、出役した宗門奉行とも会い、時間を見計らって登城となる。 拝礼はカピタン1人だけが大通詞の介添えを得て大広間で行い、その間、他のオランダ人随員や長崎屋主人の源右衛門は殿上の間次に控える。小通詞はカピタンらが式の稽古をし、拝礼の指揮を行うことの一切を見習う。これらの稽古・式・見習いなどが円滑に取り運ばれるには、城の坊主衆の世話を受けねばならず、在府の長崎奉行と通詞は坊主衆に事前に挨拶をし諸事万端頼み込んでおく必要があった。 迎えに来た宗門奉行と長崎奉行が、カピタンを大広間落椽(おちえん)の上から3本目の柱のところに控えさせる。宗門奉行が合図をすると、長崎奉行がカピタンを大広間へ引き上げ、1本目の柱より2枚目の板のところまで進んで平伏し、カピタンも奉行の左で平伏する。ここで奏者番が「オーランダのカピターン(オランダ・カピタン)」と大きな声で呼び、その声に応じて将軍への献上品が並べてある場所と、将軍のいる高い座所との間で、命じられた通りひざまずき、頭を畳にすりつけ手足で這うように進み出る。奉行がカピタンの衣服の裾を引いて合図をすると、一言も発さず「ザリガニと同じように」再び引き下がった。奉行も後から退出し、カピタンは落椽を通って殿上の間へ退出。大通詞はカピタンが控えていたところまで付き添っていたが、拝礼が終わった頃に落椽の末まで引き退って控えて、カピタンとともに退出する。
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