お万阿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 16:10 UTC 版)
京の東洞院二条にある畿内有数の油問屋「奈良屋」の女主人。入婿の亭主を早くに亡くして若後家となるが、持ち前の商才を生かして店を上手く維持してきた。奈良屋の身代を狙った道三は、盗賊に殺された荷頭の仇を討ったことを口実として奈良屋に現れ、巧みな自己演出で彼女の心を見事につかむ。その聡明さからほどなく道三の野心に気づくものの、かえってそのあくの強さに惹かれて身も世もなく恋い焦がれるようになり、ついに婿に迎えた。爾来道三は本職顔負けの商才を発揮して油屋の身代を拡大させるものの、天下取りの野望を捨てることができず、天下を手に入れた末に正室に迎えると説得し、お万阿を残して奈良屋を去る。以後の道三は折にふれて帰京する度にお万阿に律儀に接し、敵対勢力に誘拐された時などは危険を顧みずに自ら救出に向かった。寡婦同然の境遇に置き、自分の野望の犠牲にしてしまった彼女に憐憫の情を抱き続け、その生涯数多く置いた妻妾の中でもお万阿を最も愛した。
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