Wow! シグナル Wow! シグナルの概要

Wow! シグナル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/30 06:27 UTC 版)

受信された電波は、恒星間の通信での使用が予想される信号の特徴をよく表していた。これに驚いたエーマンは、プリントアウトした表の該当部分を丸で囲み、"Wow!" と書き足した。そのため "Wow! signal" が信号の名前として広く使われるようになった。映画『コンタクト』の元ネタとしても知られている。日本語表記では「ワオ信号」なども用いられる。

解釈

プリントアウトされた信号とエーマンのメモ。

エーマンが印を付けた "6EQUJ5" という文字列は、信号の強度を意味している。強度が1に満たない場合は空白で表され、1~9の数字は、例えば3ならば3以上4未満というように、それぞれが10までの強度に対応している。10を上回る場合はラテン文字を使用する。前述の文字列に含まれる "U" は、30以上31未満の信号の強度を表しており、これは観測された電波信号として最も強いものである。なお、ここで使用される強度は無次元数信号雑音比であり、雑音の値としては直近数分間のその周波数の平均を使用している[1]

また、表における一つ一つの列は異なった周波数帯を反映しており、列が一つ変わるごとに周波数は10kHzずれることになる。信号は複数の列にまたがっていないことから、Wow! シグナルは10kHzに満たない狭い周波数帯を持つ信号だと分かる。信号の周波数の詳細な値については二つの値が示されており、J・D・クラウスは1420.356MHz、エーマンは1420.456MHzを与えている。いずれにしてもこれらの周波数は、恒星間の通信での使用が予想されていた水素線(21cm線)の周波数1420.406MHzに非常に近いものである。

天球上の位置

シグナル発信源が推定される領域。

Wow! 信号の正確な位置を確定するのには困難がつきまとう。ビッグイヤー望遠鏡は電波を受信するために2つのホーンを使用しており、それらは互いに地球自転方向に少しずらした向きに設置されていた。信号は片方のホーンで捉えられたものだが、処理の過程で二つのホーンの情報が合成されたため、どちらが受信したのかはっきりしていない。したがって、信号の発信源の赤経における座標は、次の二つが考えられている。

  • 19h 22m 22±5s
  • 19h 25m 12±5s

さらに赤緯方向にも大きな不確実性があり、-27° 03±20′の範囲にまでしか絞り込めていない。これらの値は発見当時に使用されていた古い元期 (B1950.0) に基づくもので[2]、1990年代以降に使用されているJ2000.0に換算すると、赤経19h 25m 31±10s / 19h 28m 22±10s、赤緯−26° 57±20′となる。

この座標はいて座の領域内で、いて座カイ星と呼ばれる5等星から2.5度ほど南に外れた位置に相当する。

時間変化

シグナルの強度データをグラフに落としたもの。

ビッグイヤー望遠鏡は地上に固定されており、地球の自転を利用して観測方向を変えていた。地球の自転速度とビッグイヤー望遠鏡の観測ウインドウ(観測可能な範囲)に基づけば、望遠鏡は天球上のある一点を72秒間ほど観測できる。すなわち、地球外から発信された信号が観測された場合は、36秒の間に次第に強まり、ピークに達した後36秒で消失していくパターンを持つだろうと予測されていた。

実際に観測されたWowシグナルは72秒間ほど持続した。その強度変化 (6EQUJ5) も上記に一致するもので、太陽系外に由来する可能性が高いと考えられる[3]




  1. ^ Jerry R. Ehman. “Explanation of the Code "6EQUJ5" On the Wow! Computer Printout”. Big Ear Radio Observatory. 2009年11月8日閲覧。
  2. ^ Gray, Robert; Marvel, Kevin (2001). “A VLA Search for the Ohio State "Wow"”. The Astrophysical Journal 546: 1111-1171. doi:10.1086/318272. http://www.iop.org/EJ/abstract/0004-637X/546/2/1171/. 
  3. ^ a b c Seth Shostak (2002年12月5日). “Interstellar Signal from the 70s Continues to Puzzle Researchers”. SPACE.com. http://www.space.com/searchforlife/seti_shostak_wow_021205.html 2009年11月8日閲覧。 
  4. ^ a b c Amir Alexander (2001年1月17日). “The "Wow!" Signal Still Eludes Detection”. The Planetary Society. http://www.planetary.org/news/2001/0117_The_Wow_Signal_Still_Eludes.html 2009年11月8日閲覧。 
  5. ^ Gray, Robert; S. Ellingsen (2002). “A Search for Periodic Emissions at the Wow Locale”. The Astrophysical Journal 578: 967-971. doi:10.1086/342646. http://www.iop.org/EJ/abstract/0004-637X/578/2/967/. 
  6. ^ 「宇宙から来た72秒のシグナル」鳴沢真也著 ベストセラーズ
  7. ^ 電波源から放たれた電波が恒星間を伝わる間にランダムな方向に微小に屈折することで、電波が集中して届く場所とそうでない場所ができ、観測される電波強度にむらができる現象。地球大気による屈折で起きる夜空の「星の瞬き」と類似した原理による。
  8. ^ Barry Kawa. “The "Wow!" Signal”. Big Ear Radio Observatory. 2009年11月8日閲覧。
  9. ^ Frequencies Allocated to Radio Astrononmy Used by the DSN”. NASA. 2009年11月8日閲覧。
  10. ^ CRAF Handbook for Radio Astronomy”. Committee on Radio Astronomy Frequencies. 2009年11月8日閲覧。
  11. ^ Jerry R. Ehman. “The Big Ear Wow! Signal - What We Know and Don't Know About It After 20 Years”. Big Ear Radio Observatory. 2009年11月8日閲覧。


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