REACH REACHの基本理念

REACH

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 20:46 UTC 版)

REACHの基本理念

ノーデータ・ノーマーケット
(第5条)データ登録されていない化学物質を上市(供給)してはならない。
安全性の立証
立証責任の移行
行政府による危険性の立証から、事業者による安全性の立証への移行
予防原則
代替原則
情報公開責任
一世代目標

登録

登録は、EU内の化学物質製造業者あるいは輸入業者に、その義務が課せられる。1トン/年 以上の数量の枠は、それらの業者単位で計算され、それぞれの数量に応じた登録が求められる。登録には数量範囲に応じ、人体あるいは環境に対する安全性試験やそれにかわる構造活性相関(QSAR)に基づく研究(study)の結果としての危険(hazard)評価[8]の実施ばかりかその化学物質の使用取扱用途(use)に基づいた曝露アセスメント(exposure assessment)の実施も含む化学安全アセスメント(Chemical Safety Assessment)の実施を行い、その化学物質がリスクが最小化されて安全であることを宣言をその証拠と伴に著した書類、化学安全報告書(Chemical Safety Report)の提出が求められる。この登録は、1物質に対して1試験1データという考え方で求められている。このため、事前登録した者はSIEF(Substance Information Exchange Forum)へ参加し、同物質を事前登録した者同士で協議してデータを共有化することが義務づけられている。

予備登録

REACH発効以前にあった届出からの移行措置として規定されている。そのために用意されている制度。対象物質は段階的導入物質(Phase-in substance)と呼ばれ、

  1. EINECSナンバーを持つ物質
  2. 1995年1月1日または2004年5月1日に新たにEUに加盟した国の中で15年以内に製造した実績があって、その証明ができる物質
  3. 両日のうちいずれかでEUへ加盟した国から輸出するにあたり、旧法Directive 67/548/EEC(危険物質指令)に従った届出が15年以内にされている物質であり、かつポリマーではないもの

の3タイプのみ。10万強の物質がこの段階的導入物質に含まれている。

予備登録によって、段階的導入物質は登録のための試験データの提出に関して、製造または輸入する数量に対応した猶予期間が与えられる。REACH発効の2007年時点で段階的導入物質を年間1トン以上製造または輸入する業者は、2008年12月1日までに予備登録を行う義務がある。それ以降に段階的導入物質を新たに製造または輸入したいとする業者は、その数量が1tを超える前に予備登録を行うことで、それまでと同じ期限で本登録までの猶予を得ることができる。

評価

ECHAと欧州連合加盟国は企業が提出した登録書の情報を評価し、登録書類と試験の提案の品質を調べ、物質が人の健康と環境にリスクをもたらすかどうかをあきらかにする。

REACHにおける評価には三つの分野で行われる:

  1. 登録者によって提出された試験提案の審査
  2. 登録者によって提出された書類の法適合性チェック
  3. 物質評価

評価が実施されると、登録者はその物質について更に情報の提出を求められる場合がある[9]


  1. ^ Understanding REACH”. 欧州化学物質庁 (ECHA). 2013年10月26日閲覧。
  2. ^ 欧州化学品庁がスタートしました(独立行政法人 中小機構j-net21)
  3. ^ 欧州の化学物質に関係する規制には他にも多々ある。例:化粧品指令、RoHS指令、WEEE指令、化学物質指令(Chemical Agents Directive)、セベソ指令、輸送規則群、プラスチック指令、バイオサイド規則*、CLP規則*等。このうちREACH規則及びバイオサイド規則、CLP規則はECHAが所管する法律である。
  4. ^ ECHA発行パンフレット "REACH ME?" (PDF) (2008年5月11日時点のアーカイブ
  5. ^ REACH規則”. 欧州連合. 2013年10月26日閲覧。
  6. ^ REACH における化学物質安全性評価(CSA)の要点(案)”. 環境省. 2013年10月26日閲覧。
  7. ^ 一般に既存化学物質とは化学物質の事前登録/届出制度が成立する以前にその国や地域で出回っていた物質であって、すでに出回っているということで安全性に関するデータ要求は、法制度成立時点では求められなかった。その後必要に応じて求められるが、REACHではこれを包括的に処理しようとするものといえよう
  8. ^ このhazardには有害性も含まれている。そのためhazardの訳として、危険有害性、有害危険性、あるいは、有害性と訳される場合もある。また、ハザードとカタカナ書きされている場合もある。
  9. ^ 欧州化学機関 Evaluation 2013/11/27閲覧
  10. ^ 化学物質のリスクアセスメントの対象の見分け方
  11. ^ 化学情報協会 規制化学物質情報  2013/12/10閲覧
  12. ^ 米国TSCAについて(厚生労働省)






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