Information Technology Infrastructure Library ITIL V3

Information Technology Infrastructure Library

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 14:48 UTC 版)

ITIL V3

ITILバージョン3としての改版作業は2004年より開始され、2007年5月30日にイギリス出版局より書籍がリリースされた。従来バージョンに比べてより戦略的なガイダンスが盛り込まれ、大きく「ライフサイクル・アプローチ」の概念を採用している。ITILのチーフアーキテクトを務めたシャロン・テイラー(カナダアスペクトグループ社長)はITIL V3について、「IT組織がITサービスを企業内に配備する方法やITサービスを効率的に配備するためのプロセスに重点を置いて作成した」と語っている[20]。また、書籍の更改にあわせてフレームワークも刷新されている。 2011年にはマイナーバージョンアップを行い、ITIL2011(ITILv3/2011)に改訂された[21]

ITIL V3を構成する書籍群

ITIL V3は、以下のサービスストラテジから継続的サービス改善までの5冊のコアブックと、その他の補完的な書籍から成り立っている。

No 書籍名 英名 概要
1 Introduction to ITIL 3 Service Lifecycle ITIL V3の全体的な概要とライフサイクル・アプローチの概念について解説している。
2 サービスストラテジ Service Strategy 事業目標に準じたITの役割と要件について解説している。ITIL V2の「ITサービス財務管理」プロセス(サービスデリバリ)を包含している。
3 サービスデザイン Service Design 効果的で費用対効果の高い戦略に即したプロセスの導入について解説している。ITIL V2の「可用性管理」プロセス、「キャパシティ管理」プロセス、「ITサービス継続性管理」プロセス(サービスデリバリ)を包含している。
4 サービストランジション Service Transition アジリティテスト、リスク緩和、ビジネスニーズへの迅速な対応(チェンジ・マネジメント)に関するガイダンス。ITIL V2の「変更管理」プロセス、「リリース管理」プロセス、「構成管理」プロセス(サービスマネジメント)を包含している。
5 サービスオペレーション Service Operation 効果的なプロセスの開発と管理手法について解説している。ITIL V2の「サービスデスク」機能、「インシデント管理」プロセス、「問題管理」プロセスを包含している。
6 継続的サービス改善 Continual Service Improvement ITサービスのコストと品質の測定手法について解説している。ITIL V2の「サービスレベル管理」プロセス(サービスデリバリ)を包含している。

ITIL V2との違い

現在の主流であるITIL V2との違いとして最も大きな点はITIL V2がプロセス個々に着目して解説していたのに比べ、ITIL V3ではライフサイクルに着目した解説を行っている点である。その他大きく改善された点として以下のようなものが挙げられる。

  • ビジネスとITの統合
  • バリュー・ネットワークの概念
  • 記述項目と記述レベルの統一
  • 用語の定義の徹底
  • Appendix(ドキュメントやレコード項目などのサンプル)の充実
  • プロセスの増加

5.サービス運用(Service Operation)について

日常の運用について記載する。プロセス及び機能としては以下の通り。

  • (機能)サービスデスク - 単一窓口として活動し、受け付けたコールを「イベント」「リクエスト」「インシデント」に分類する。尚、コール媒体としては電話、メール、FAX等がある。
  • (機能)IT運用 - 日々のルーティンワーク。
  • (機能)技術管理 - 定型的運用を行うに当たって必要な技術を管理する。スキル育成なども含まれる。
  • (機能)アプリケーション管理
  • (プロセス)イベント管理 - Ver.2でインシデントと分類したコールの内、軽微なもの。逆に影響度の大きいイベントをインシデントとして定義できる。
  • (プロセス)インシデント管理 - 「インシデントを早く解決する」ことをプロセスの目標とする。
  • (プロセス)要求実現 - サービス要求への対応(Service Request Fulfilment)を実施する。V2ではインシデントとして取り扱っていた。V3におけるインシデントと要求の違いは、インシデントは予期できないものであるが、要求は予期できるものである、と言える。
  • (プロセス)問題管理 - 「インシデント数を減らす」ことをプロセスの目標とする。

6.サービス移行(Service Transition)について

新規に作成した、又は変更したサービスの本番環境への移行を無事に行うことを目的とする。配下の主なプロセスは以下の通り。

  • 変更管理 -
  • サービス資産管理・構成管理 -
  • ナレッジ管理 -
  • 移行の計画・立案及びサポート -
  • リリース管理・展開管理 -
  • サービスの妥当性確認及びテスト -
  • 変更又はサービスの評価 -

  1. ^ Cental Computer and Telecommunication Agency(中央コンピュータ電気通信局)の略で、イギリス政府商務庁の下部組織。現OGCOffice of Government Commerce(イギリス政府商務省))。
  2. ^ ThinkIT-ITIL実践のポイント
  3. ^ 2018年10月現在、出典とされている1つ前の注のリンク先を見ても、『ITサービス全体において「デファクトスタンダード」』あるいは『重要な位置付け』というような文字列は見当たらないようである。
  4. ^ ITサービスを提供するために必要となるソフトウェアハードウェア、技術力などを提供する取引企業のこと。
  5. ^ 欧州におけるITILの適用事例(PDF)
  6. ^ ITmediaエンタープライズ:知らないと恥ずかしい、ITIL超基礎
  7. ^ The Stationary Office(イギリス出版局)の略。
  8. ^ ITIL ver3が正式リリース参照。
  9. ^ : I.T. service management forum
  10. ^ EnterpriseWatch-「ITIL V3ではサービスライフサイクルを重視」
  11. ^ 日本HP-HP Servicesを支えるプロフェッショナルたち
  12. ^ なお、日本語化されているのはサービスサポート、サービスデリバリ、サービスマネジメント導入計画立案、ビジネスの観点、アプリケーション管理の5冊。
  13. ^ a b c @IT情報マネジメント編集部 (2004年4月11日). “情報マネジメント用語辞典:ITIL”. ITmedia エンタープライズ. 2021年11月16日閲覧。
  14. ^ Continuous Service Improvement Programの略。継続的サービス改善プログラム。
  15. ^ 組織風土とも。目に見えないがそこに所属する全員が感じる空気のようなしきたりや慣例。
  16. ^ Critical Success Factor。日本語では「重要成功要因」と呼ばれ、目標達成のために何が重要な成功要因かを明確化すること。
  17. ^ Key Performance Indicators。日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれ、企業目標を実現するために設定した具体的な業務プロセスを客観的観点から計るための指標。
  18. ^ COBITの成熟度モデルでITILを裏付ける
  19. ^ ICTはInformation and Communications Technologyの略で情報と通信技術を意味する。
  20. ^ ComputerWorldの記事より。
  21. ^ 小渕淳二 (2019年6月12日). “DX時代のアジャイルITSM変革アプローチ第1回:ITILの歴史とITILv3/2011が抱えている問題”. システム管理者の会. 2021年11月16日閲覧。
  22. ^ AXELOS launches ITIL 4 Foundation”. AXELOS. 2021年2月12日閲覧。
  23. ^ ITIL Foundation: 4th edition. AXELOS. (2019). ISBN 9780113316076. https://itil.press/ 
  24. ^ Transition to ITIL 4”. AXELOS. 2021年2月12日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Information Technology Infrastructure Library」の関連用語

Information Technology Infrastructure Libraryのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Information Technology Infrastructure Libraryのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのInformation Technology Infrastructure Library (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS