DNAマイクロアレイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 02:40 UTC 版)
産業
市場規模
世界のDNAマイクロアレイの産業は2008年の近年ではアフィメトリクス、アジレント・テクノロジー、イルミナの3社で80-90%のシェアを占めている。世界での産業規模は不明であるが、日本では2008年近辺の国内市場規模は60億円前後である。
研究用から医療用と食品検査用
2008年現在はDNAマイクロアレイの用途はほとんどが実験室内での研究用であるが、すでに2007年2月に米国食品医薬品局(FDA)ががんの転移再発の判定用キットの販売承認を与えるなど、医療用の市場が広がり始めている。今後は医療用だけでなく食品検査の用途でも新たな市場の広がりが期待されており、2桁や3桁といった急速な産業規模の拡大が見込まれている。
新規参入
日本に限れば今後の急速な市場拡大を見込んで、東芝、パナソニック、横河電機、東レといった企業がDNAマイクロアレイの製造に新規参入を準備している。特に巨大な総合電気メーカーの強みは、広範なマイクロエレクトロニクスとマイクロメカトロニクスの技術を遺伝子分析機器で活かせることである。例えば東芝は蛍光による結合検出に代わって2本鎖DNAにのみ結合する挿入剤分子を使うことで電気的に結合検出を行なう技術を既に開発し、装置サイズや処理時間を大幅に削減している。パナソニックも電流検出型での開発を進めている。横河電機は蛍光検出をXYステージではなく光学ビームを振ることで装置の簡素化を狙っている。東レは樹脂基板の形状に工夫を凝らすなど、得意な技術を活用することで少ないサンプルでも高感度で検出できるDNAマイクロアレイを開発している。オムロンと東レはDNAではなく、たんぱく質の分析で使えるチップを開発している[1]。
- ^ 小谷卓也著 『研究から産業へ 風向き変わるDNAチップ』 日経エレクトロニクス 2008年8月25日号
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