CPUの冷却装置 CPUの冷却装置の概要

CPUの冷却装置

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/09/01 01:57 UTC 版)

一般的な空冷式CPUクーラー。銀色の部分はヒートシンクで、CPUはその下にある。

本項では特に断りのない限り、パーソナルコンピュータ(パソコン・PC)に付いているCPUの冷却装置について解説する。

概要

現在のCPUは高密度に集積された半導体素子であり、電流を流せば(動作させれば)発熱するが、高温になるといくつかの問題が起きる。

十分な冷却を行わない場合、前者は即時的な機能不全を、後者は著しい寿命の低下をもたらす。一見正常に機能したとしても冷却不足であった場合は、設計上の寿命よりはるかに早く故障する可能性がある。

初期のパソコンのCPUはNMOS回路を利用していたが、1980年代にその発熱が問題になり、CMOS回路に移行して、一度は問題を解決した。だが、その動作速度が向上するにつれて消費電力が増大し、発熱の問題が再燃した。パソコンでCMOS半導体を利用したCPUの発熱が問題視され始めたのは1993年前後の486の頃からで、雑誌で「CPUで目玉焼きができるか」等の企画が出されたり[注釈 1]2001年頃には「このままのペースで発熱が増加すれば、CPUの発熱による単位面積あたりの熱流量は間も無く原子炉のそれを上回り、2015年には太陽のそれに達する」と主張された事もある[1]

実際、CPUの最大発熱量(TDP)は2010年までの20年以上にわたりほぼ一貫して上がり続けており[2]、それに伴い冷却装置も強化されてきた。

一般に単体販売されるCPUには強制空冷式の冷却装置が付属しているが、性能を高めたり静音に注力した冷却装置も別に販売されている。

またパソコンに限らず、高速なCPUが搭載されている家庭用ゲーム機テレビゲーム)や一部娯楽家電[注釈 2]には、なんらかの冷却装置が搭載されている。

自然冷却(ファンレス)

冷却ファンなどは使用せず、筐体内の自然対流と電源装置の排気による負圧を利用した換気によって、冷却する方法。

表面放熱

冷却するための装置・部品を一切使わずに、プロセッサの表面から放熱させる方法。発熱量が高い最近のパソコン向けCPUでは不可能である。

マイクロプロセッサの黎明期からおよそ数ワットの消費電力であったIntel 8038668030の頃までは、放熱のために特別な部材は装着されておらず、プロセッサ表面から放熱していた。

しかし最近は、表面放熱量を増やすことのできるCPUの設置方法が採用されることがある。例えば、モバイルコンピューターで、CPUをキーボードと平行になるように設置し、キーボードの裏面の金属製フレームに密着させ、ここから放熱する方法である。ただしこのような表面冷却は、きわめて薄型であるモバイルコンピューターでしかできないうえ、ファンでの放熱に代替できるほどのものではなく、一部のモバイルパソコンやPDAなどでの採用にとどまっている。

ヒートシンクの利用

マザーボード上のヒートシンク(チップセットの冷却)

プロセッサの表面にヒートシンクを取り付けて放熱する方法。CPUクーラー専用の冷却ファンを用いずに、筐体の吸排気ファンや電源装置に取り付けられた放熱ファンによって生じる筐体内部のエアフローを用いて、ヒートシンクに空気を当て冷却する。他の冷却方法と比べて仕掛けが簡単で無音で冷却することが可能だが、発熱の高いプロセッサを冷却するには巨大なヒートシンクが必要になる。

i48668040の隆盛期に入り、クロック周波数がおよそ30MHz以上になり、消費電力が数十ワットに達すると、プロセッサ表面だけでは充分な放熱ができなくなり、CPUの上に放熱性の高い金属製のヒートシンクを取り付けるようになった。ヒートシンクにより放たれた熱は筐体の排気ファンや電源ファンから強制的に外部に出される。CPUの発熱がさらに増大すると、これでも放熱が追いつかなくなり、Pentium以降のx86プロセッサでは、ヒートシンクにファンを取り付けて強制空冷を行うことが一般的になった。

Pentiumをはじめとするx86プロセッサが性能に比例して増大する発熱に対応して冷却装置の強化に迫られたのに対し、性能当たりの消費電力が比較的少ないPowerPCを採用したMacintoshでは、CPUの冷却装置に小型でファンレスのヒートシンクを採用しつづけた。特に消費電力の低いPowerPC G3を搭載したiMacPowerPC G4を搭載した Power Mac G4 Cubeは筐体の放熱ファンも廃止してエアフローを意識したファンレス設計とし、極めて静音性に優れていた。構成部品のヒートシンクから放たれた熱は空気の自然対流で外部に逃がされる。

2000年代後半になると、x86プロセッサでも、AtomGeodeC7など、発熱量の少ない省電力CPUのラインナップも充実し、ファンレスのPC/AT互換機が現れた。また、発熱量がさほど多くないCPU(Core 2 DuoCore i7Core i5の一部など)でも静音化のためCPUファンを排除する場合もある(Mac miniなど)が、それなりの大きさのヒートシンクが必要になる。なお、一般的なチップセットは、2009年現在もヒートシンクのみによる冷却が用いられることが多い。

空冷

上面から風を吹き付けるトップフロー型のCPUクーラー
側面から風を吹き付けるサイドフロー型のCPUクーラー

強制冷却

冷却ファンを使用し空気を利用して冷却する、最も一般的な方法。ヒートシンクの上に冷却ファンを載せた状態で使用され、ヒートシンクとファンモータが一体化したものが多い。

店頭で販売されているCPU製品にはサーマル・ソリューションと称して、十分な性能の強制空冷式冷却装置が付属している。特に記述がない限り市販されているパーソナルコンピュータにおいて、CPUの冷却にはこの方式が用いられる。

Pentium黎明期(i486の末期)の頃になると、クロック周波数50~100MHz、消費電力が30W前後に上り、自然冷却では放熱が間に合わず、ファンでおこした風を吹き付けて冷却する強制空冷が行われる様になった。

その特性上、どうしても高周波の風切り音が発生してしまう。これをできるだけ抑えようとメーカーは静音性も重要視したファン開発を行っているため、標準付属品以外にも様々な製品が販売されており、その中には流体力学航空工学の成果を応用したと謳うものまで存在している。

また一般にCPUの冷却装置はケース内部にあるため、空冷を続けるためには、ケース外部との継続的な換気が必要になる。ファンなどによる換気のほか、効率を上げるために冷却装置のすぐそばに換気口を設けたり(パッシブダクト)、冷却装置が外気に直接面するようにレイアウトする例もある(BTX規格など)。

受動空冷

プロセッサの表面にヒートシンクを取り付けて放熱する方法。

詳細はヒートシンクの利用を参照のこと。


注釈

  1. ^ i486からAthlon XPの頃まで良く企画されている。
  2. ^ Cellプロセッサを搭載したCELL REGZA など

出典

  1. ^ 後藤弘茂のWeekly海外ニュース 2010年のCPUの消費電力は600W? インテルen:Pat Gelsingerによる。 実際には2010年時点では原子炉のそれに届いていない。
  2. ^ 各種CPUのTDP一覧


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