鶴見川
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鶴見川 | |
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鷹野大橋付近 | |
水系 | 一級水系 鶴見川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 42.5 km |
平均流量 |
10.1 m³/s (亀の子橋観測所 2000年) |
流域面積 | 235 km² |
水源 |
多摩丘陵 (東京都町田市上小山田町) |
水源の標高 | 170 m |
河口・合流先 | 東京湾(神奈川県) |
流域 |
日本 東京都・神奈川県 |
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概要
鶴見川は、東京都および神奈川県を流れる河川である。その流域は、東京都町田市、神奈川県川崎市、横浜市の3市(2政令指定都市を含む)からなり、一級河川に指定されている[1][2]。流域の形がバクに似ていることから「バクの流域」を愛称とし、しばしばバクが鶴見川流域の河川管理行政においてマスコットとして用いられる。河口から第三京浜道路までの17.4kmは、国土交通省京浜河川事務所の直轄管理区間となっており、第三京浜道路より上流の区間は神奈川県または東京都が管理する[3]。
流路延長は42.5km、流域面積は235km2。流域内人口は約188万人で、流域内人口密度は全国109水系中第1位の8,000人/km2となっている(いずれも2004年(平成16年))。流域の土地利用は、宅地等の市街地が約85%、森林や農地等が約15%で、市街地化が進んでいる[4]。河川水は、農業用水または工業用水に利用されている。なお、流域の生活用水は流域外から導入されている。流域の下水道普及率は高く、人口増加に伴い、下水処理水の流入も増加している。
流域は、源流域に緑地地域が多く残り、中流域まで高水敷が広がる。中上流域には絶滅危惧種に指定される淡水魚や鳥類、昆虫類も生息し、下流域には汽水性の魚類、エビ・カニ・ウニ類、貝類や海鳥が生息する。国土交通省の調査による河川の区域面積あたりの利用者数は、十勝川に次いで多く、特に散策の利用者は全国で最も多い。中流域の鶴見川サイクリングコースや堤防上の歩道、森永橋付近にある横浜市鶴見川漕艇場など、河川利用を促進する施設も整備されている。
一方、鶴見川は、古くから洪水氾濫を繰り返す暴れ川として恐れられた。流域の市街地化が進んだことで、保水・浸透機能が低下し、大雨による水位の増大が激しくなり、一旦氾濫すると大きな浸水被害が生じる危険性も高まった。このため、全国に先駆けて1979年(昭和54年)から「総合治水対策」に取り組み、2005年(平成17年)4月には全国で初めて、特定都市河川浸水被害対策法3条に基づく、特定都市河川および特定都市河川流域に指定された[5]。
また、例年、国土交通省が発表する河川の水質調査では、ワーストランキングの2位から3位となることが多い。水質は、1960年代から1980年代に比べれば大幅な改善が見られ、環境基準はほぼ達成された。しかし、流域の市街地化は今も続いており、なお大きな課題となっている。
語源
- 大きく湾曲して、ぐっと水の流れがゆるやかになっている鶴見川の地形に由来する。「ツル」は川の流れが淀む状態で「トロ」(瀞)と同じ由来であり、「ミ」は「周り・巡り」を表す言葉である。
- 鎌倉時代の史料からも現れており、源頼朝がこの地で鶴を放ったという伝説からこの名がついた。
流域の自治体
地理
鶴見川の源流は、東京都町田市の北部、多摩市との境に近い上小山田町にある多摩丘陵の谷戸群(低湿地)の一角、田中谷戸(標高約100 - 150 m)の湧水を水源とする数本の細流である。源流域下端には「鶴見川源流泉のひろば」が整備されている。源流を発した鶴見川は、神奈川県川崎市麻生区岡上と町田市三輪町の付近で真光寺川と、川崎市麻生区下麻生で麻生川と合流し、横浜市青葉区を縦断する。東名高速道路の下を抜けて、横浜市緑区と都筑区の境界に沿い、下末吉台地に挟まれた沖積低地の入り口付近である緑区中山で恩田川と合流する。この辺りまで、鶴見川は谷本川(やもとがわ)とも呼ばれ、源流からおおむね南東に流れる。恩田川と合流した鶴見川は、利水の基準地点とされる落合橋付近から東流し、港北区新横浜付近で鳥山川と合流すると蛇行して北へ向かう。再び蛇行して東流すると、港北区綱島付近で早渕川と合流し、鶴見区駒岡付近で矢上川と合流する。鷹野大橋付近から左岸に川崎市幸区と接しながら、南東へ緩やかに蛇行し始め、治水の基準地点とされる末吉橋付近から鶴見区を貫き、同区末広町・大黒町の河口から東京湾に注ぐ。
鶴見川流域は、標高80mから150mの低い丘陵地帯が分水界をなし、河床勾配は、源流から恩田川合流付近までの上流部で約1/250、沖積低地の中下流部で約1/1000の緩勾配となる。流域の大半が大きく起伏した丘陵・台地のため、かつては開発されることもなく、自然豊かな環境・景観が形成されていた。しかし、1960年代(昭和30年代半ば)に始まる高度経済成長期から、流域周辺は人口が急増し、住宅地として急速に開発が進められた。1958年(昭和33年)には流域内の市街地率は約10%、人口は約45万人であったが、2003年(平成15年)には市街地率約85%、人口約188万人となっている。この市街地化の結果、谷戸や低平地の農地はほとんど姿を消し、自然主体の流域から都市主体の流域へと変貌した。
鶴見川流域の地形・地質は、大きく2つに分けられる。流域全体の7割を占める源流付近から上中流域にかけての丘陵・台地は、保水・浸透機能が高い赤土の関東ローム層で覆われており、残り3割を占める中下流域の沖積低地は、シルト質(砂と粘土との中間の大きさの砕屑物。沈泥。)の軟弱な地盤となっている。
流域の気候は太平洋側気候に属し、冬季は晴天乾燥、夏季は高温多湿な日が多く、概して温和な気候といえる。流域の年間総雨量は1,400mmから1,600mmで、秋季の雨量が多い。
- ^ 河川法4条1項、河川法第四条第一項の水系を指定する政令31号。
- ^ なお、鶴見川は、旧河川法に基づき、1967年(昭和42年)5月に、建設大臣から一級水系の指定を受けている。
- ^ 支川については、矢上川、早渕川、鳥山川の一部が国交省管理区間となっている他は、神奈川県、東京都、横浜市などの管理区間となっている。
- ^ “河川整備基本方針>鶴見川水系・鶴見川水系流域及び河川の概要” (PDF). 国土交通省. 2012年1月3日閲覧。
- ^ 鶴見川を特定都市河川の第1号に指定、国土交通省河川局、2005年(平成17年)3月24日。
- ^ “つるみ区のプロフィール 区の歩みと現状・誕生・地勢・略年表”. 平成23年度版 つるみ区の白書. 横浜市鶴見区役所. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “第15回:鶴見地名考”. www.city.yokohama.lg.jp. 2019年9月6日閲覧。
- ^ 鶴見川沿いの植樹事業について、横浜市市民活力推進局。
- ^ タマちゃんは、2002年8月7日に多摩川丸子橋付近に現れた後、8月25日から8月30日まで鶴見川にとどまり、その後、帷子川、大岡川、中川、荒川など、東京湾に注ぐ河川各所に出没した。
- ^ アンモニア態窒素 (NH4-N) とは、水中にアンモニウム塩として含まれている窒素のことで、主として、屎尿や家庭下水中の有機物の分解などに起因し、富栄養化などに関わる水質汚濁の指標となる。
- ^ 平成15年度・河川水辺の国勢調査(河川空間利用実態調査)、国土交通省河川局。
- ^ 平成15年度・調査対象河川区域面積あたりの年間利用者数ベスト10、同上。
- ^ 三村竹清『近世能書傳』二見書房、1930年、P.314頁。
- ^ BOD(Biochemical Oxygen Demand、生物化学的酸素要求量)とは、水中の好気性微生物の増殖や呼吸によって消費される酸素量のこと。水の有機物汚染が大きければその有機物を栄養分とする微生物の活動も活発になり、微生物によって消費される酸素の量も増加する。そのため、BOD値が大きければ水中の有機物汚染が大きいことを示すため、水の有機物汚染の指標とされる。
- ^ BOD75%値とは、年間の日平均値の全データ(n個)を値の小さいものから順に並べ、「0.75×n番目」のデータの値をいう。BOD75%値と環境基準値を比較することで、年間日数の4分の3 (75%) における、基準値達成状況が分かる。
- ^ 「平成18年度・全国一級河川の水質現況の公表について」、国土交通省河川局。
- ^ 地方衛生研究所全国協議会、健康危機事例集「鶴見川・有馬川水系のコレラ菌汚染」、大阪府立公衆衛生研究所。
- ^ 「神奈川県の感染症」、神奈川県衛生研究所。
- ^ 33ヶ所からシアン検出 横浜谷本川流域の井戸『朝日新聞』1970年(昭和45年)11月21日朝刊 12版 22面
- ^ "噂の現場「川崎市の水管橋撤去で横浜市民の避難路がなくなる!?」". 噂の東京マガジン. 28 September 2014. TBSネットワーク. TBSテレビ。
- ^ “水管橋、撤去はじまる”. タウンニュース社 (2016年1月21日). 2016年5月14日閲覧。
- ^ “新設人道橋について(新鶴見橋~末吉橋間の人道橋整備ニュース)”. 横浜市. 2022年2月19日閲覧。
固有名詞の分類
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