青
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/29 00:46 UTC 版)
色名としての青
水色(JIS慣用色名) | ||
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マンセル値 | 6B 8/4 |
紺色(JIS慣用色名) | ||
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マンセル値 | 6PB 2.5/4 |
群青色(JIS慣用色名) | ||
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マンセル値 | 7.5PB 3.5/11 |
青という基本色名は、その他多くの固有色名を総称として含んでいる。 たとえば、水色(みずいろ)・空色(そらいろ)と呼ばれるような明度が高く彩度の低い、淡い色合いのもの、紺色(こんいろ)や藍色(あいいろ)、群青色(ぐんじょういろ)などの明度が低い、濃い色合いのものなどが青に含まれる。空の色には「空色」という固有色名があるにもかかわらず、「青空」と呼ぶことなどが良い例である。
現代の青に相当する色として、日本では伝統的には藍(あい)や縹(はなだ)を用いてきた。 これは、日本において青を表現するための染料が古来はツユクサであり、その色を花色と呼んだことに由来すると思われる。後には染料としてアイが用いられるようになり、藍や縹が青系統の色を表す総称として定着した。しかし、これらの色名も現在は基本的に青と総称するようになり、藍や縹は固有色名としての性格が強くなっている。
日本語の「青春」「青葉」「青信号」と同じく、現代の中国語でも、「青」という字は「緑」と同義語である[1](青菜(チンツァイ)、青草(チンツァオ)、青椒(チンジャオ)など)。そして、ブルーを「藍」、グリーンを「緑」、インディゴを「靛」と表記して区別する。でも、「青色」はシアンの意味。
- 用法例:「綠燈(青信号)」「藍天(青空)」[2]「蔚藍的大海(青々とした海)」(例外として、「青天」だけは、緑空ではなく青空のことを指す)
「青」の字以外の「あお」
「あお」と訓じられる漢字として蒼および碧もある。これらもまた総称としての青の範疇であるが、「青」よりも固有色名としての性格が強い。
蒼は、干した青草のような色、生気の無い青色を指し、不透明、くすんだ青色を意味する。「蒼蒼」は、あおあおとしたさま、草木などの茂るさまを指す[3]。中国では、蒼を時々使う場合は曇り空、遠山のようなくすんだ青色もしくは灰色を指し、例えば"蒼茫的天空"、"遠山蒼蒼"という表現[4]や、アオサギのように体毛が灰色の動物の名前に使われる場合がある。この点で「青」「碧」「藍」とは区別される。
- ウィクショナリーには、蒼の項目があります。
青緑(JIS慣用色名) | ||
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マンセル値 | 7.5BG 5/12 |
一方、碧は、青く澄んで見える石、青色の美しい石の意味があり、碧空、碧海などの言葉もあるように美しいものを表す色としてよく使われる。青色ないし緑色を表す。また無色の奥から浮き出す青緑色とある[5]。碧は「みどり」とも読む。その場合、「青」よりもさらに緑色に近い色であることを強調して用いるケースが多い。色合いとしては「青緑」に近く、「青」に含まれるが「蒼」や「藍」とは確かに区別される。中国では、特に玉石の色を指す[6]。また日本でも、色ではなく宝石を意味する漢字としても使われている。
やまと言葉の「あお」
日本語の「あお(あを)」の推測の域を出るような語源は詳らかでないが、「しろ」(顕色)・「くろ」(暗色)・「あか」(明色)とともに色を表す語として古くから用いられてきたものである。しかし古代においてこれは、現在の青色・緑色・紫色・灰色のような非常に広い範囲の色を総称して(漠色)用いられていたと考えられている[7][8]。現代でもいくつかの語にそうした影響が残っており、特に緑色をさす「青」の用法は広く見られる。
また、各地方言で「あを」は黄色まで指していたとされ、『大日本方言辞典』によれば、青森・新潟・岐阜・福岡・沖縄といった地方では、青は黄も意味した。
このようなことから、日本語の青を表す言葉の色度範囲は緑〜青緑〜青〜青紫まで幅が広いほか、一部「くろ」(暗色)と重複する(『青毛の馬』など)。
片山龍峯が考察した一説として、日本語のアオは「アフ=会う・合う」、または、その連用形の「アヒ=間(隣合うの意)」と関連した語であり、アイヌ語のアフ(会)の他界観とも関連するものと捉えられている。龍峯によれば、アオとは黒と白の範囲の中間色を意味する「間(アヒ)」からきているとされ(龍峰はさらに現世と他界の中間の意についても触れている)、沖縄でも青はこの「アヒ(間)」から派生した語であるとしている。したがって、大和・アイヌ・琉球における「アオ」の語源の流れは同じところから派生したものと考察している[9]。
- ^ 漢典-青の解釈(中国語)
- ^ 漢典-藍の解釈(中国語)
- ^ 新村 出 編『広辞苑』(第五版)岩波書店、1998年11月。ISBN 978-4000801126。
- ^ 漢典-蒼の解釈(中国語)
- ^ 大辞泉:碧
- ^ 漢典-碧の解釈(中国語)
- ^ 『日本国語大辞典』(第二版)小学館。 「青」の項
- ^ “青色あれこれ”. 綺陽会、色彩と色目. 2011年9月10日閲覧。
- ^ 『東北学 Vol.6 [総特集] <南>の精神史』 東北文化研究センター 責任編集赤坂憲雄 作品社 2002年 ISBN 4-87893-471-9 pp.230 - 231
- ^ a b c d e f g h i j k l m n The Color of Art Pigment Database: Pigment Blue, PB
- ^ 『絵画材料事典』 ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999/6 ISBN 4254252439
- ^ a b 『絵具及び顔料』桑原利秀 安藤徳夫 共著 共立図書
- ^ 『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5
- ^ 『ジーニアス英和辞典』 小西 友七,南出 康世(編集) 大修館書店 第3版 2001/11 ISBN 4469041580 ISBN 978-4469041583
- ^ a b The Color of Art Pigment Database: Pigment Green, PG
- ^ “空はどうして青く、夕焼けはどうして赤いのですか?”. キリヤ化学、色と化学についてのQ&A. 2010年1月7日閲覧。
- ^ Pesic, chs.1–2.
- ^ “海が青く見えるのはなぜですか?”. キリヤ化学、色と化学についてのQ&A. 2009年12月28日閲覧。
- ^ 最相葉月『青いバラ』小学館。
- ^ “孔雀の羽の色も色素の色ですか?”. キリヤ化学、色と化学についてのQ&A. 2010年1月7日閲覧。
- ^ Pesic, p.3f.
- ^ パストゥロー、pp.10.12ff.
- ^ パストゥロー、pp.23ff.
- ^ Pesic, p.8.
- ^ 例えば、ホメロス 著、松平 千秋 訳『イリアス』〈岩波文庫〉1992年、上巻 p.334(アキレウスの恐ろしげな武具), p.360(ネストルの美しい四脚机), 下巻 p.118(トロイエ船の黒雲のような大軍), p.269(内臓を貫かれた戦士を襲う死の黒雲)頁。
- ^ パストゥロー、p.23.
- ^ “The Meaning of Glaukos”. Dienekes' Anthropology Blog (2003年5月8日). 2009年12月28日閲覧。 特にそこで引用されている Maxwell-Stuart, P.G. (1981). Studies in Greek Colour Terminology. 1. Leiden: Brill
- ^ パストゥロー、p.24f.
- ^ Pesic, p.4.
- ^ パストゥロー、p.26.
- ^ パストゥロー、p.28ff.
- ^ Pesic p.3f.
- ^ パストゥロー、p.14f.p.22.
- ^ The Origin of the Young God: Kalidasa's Kumarasambhava. Berkeley: University of California Press. (1985)
- ^ パストゥロー、pp.16ff,19ff.
- ^ Pesic. p.25.
- ^ 『旧約聖書』出エジプト記 24:10, エゼキエル書 1:26.
- ^ パストゥロー、pp.50,52ff.
- 1 青とは
- 2 青の概要
- 3 色名としての青
- 4 光源色としての青
- 5 青に関する事項
- 6 近似色
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品詞の分類
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