霊芝 霊芝の概要

霊芝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 16:30 UTC 版)

レイシ
レイシ Ganoderma lucidum
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
: ハラタケ綱 Agaricomycetes
: タマチョレイタケ目 Polyporales
: マンネンタケ科 Ganodermataceae
: マンネンタケ属 Ganoderma
: レイシ G. lucidum
学名
Ganoderma lucidum (Leyss. ex. Fr.) Karst
和名
マンネンタケ

概要

霊芝は一般的にマンネンタケ科の万年茸(マンネンタケ)を指し、他に門出茸、仙草、吉祥茸、霊芝草、赤芝などの呼称で呼ばれている。古名には、三秀[1]、芝[2]がある。色の異なる紫芝、黒芝、青芝、白芝、黄芝もあるが、紫芝は近縁種のGanoderma japonicum (Fr.) Lloyd とされ、他の4色は2種のいずれかに属することが多い。成長し乾燥させたものを霊芝として用いるが、子実体は木質で直接の食用には適さず、適当な大きさに切り、熱水で煎じて抽出液を服用するほか、薬用酒とする。後漢時代(25-220)にまとめられた『神農本草経』に命を養う延命の霊薬として記載されて以来、中国ではさまざまな目的で薬用に用いられてきた。日本でも民間で同様に用いられてきたが、伝統的な漢方には霊芝を含む処方はない。子実体はさまざまな多糖類(β-グルカンなど)やテルペノイドを含む。たもぎ茸アガリクスメシマコブなど他のきのこのβ-グルカン同様、抗腫瘍作用の報告は多い[3]。ほとんどは試験管や動物実験で、ヒトでの臨床報告は限られている。

成長

成長途中の子実体、先端に成長点がある

シイタケ等のスポンジ質なキノコでは子実体は膨張するように成長(肥大)するため、周囲の木などの異物を取り込んで成長することはなく、異物を避けて肥大していくが、本種やサルノコシカケの様にリグニンやセルロースを多く含み成長後にコルク質で樹木の様に硬化する種類のキノコでは、原基形成の時点では担子胞子の元は形成されておらず、成長点が先端あるいは辺縁部にあるため、周囲にある木などの異物を取り込んで成長することがある。

人とのかかわり

今日では栽培法が確立されており、民間薬あるいは健康食品としてさまざまな目的に用いられる。飾り物としても利用されてきた。古代中国では霊芝の効能が特に誇大に信じられ、発見者はこれを採取して皇帝に献上することが義務付けられていた。また、官吏などへの賄賂としても使われてきたという。傘の形成されていない子実体が珍重されている場合もあるが、単純に成長途中の個体を採集しているだけで、自然界においては珍しいものではない。なお本種は堅くて噛みきれないため、直接の食用には適さない。


  1. ^ 楚辞
  2. ^ 爾雅
  3. ^ 千原呉郎「抗癌剤の現状と将来.特に生薬薬理の観点から」『藥學雜誌』第108巻第3号、日本薬学会、1988年、171-186頁、doi:10.1248/yakushi1947.108.3_171ISSN 0031-6903NAID 110003648628 
  4. ^ a b c d e レイシ、霊芝、マンネンタケ - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所
  5. ^ 蒲原聖可『サプリメント事典』(平凡社、2004)p.368
  6. ^ 周法根ほか、「霊芝顆粒治療失眠症100例臨床觀察」『中国中医薬科技』2004年第5期pp309-311、2004年、中華中医薬学会、ハルピン
  7. ^ 仇萍、「霊芝片治療神経衰弱60例臨床觀察」『湖南中医雑志』第15巻第2期pp5-6、1999年、湖南省中医薬研究院、長沙
  8. ^ 北京市防治慢性支気管炎霊芝協作組、「霊芝製剤治療慢性支気管炎臨床療効観察」、『北京医学院学報』1978年第2期p104、1978年、北京医学院、北京
  9. ^ 陳小君、陳剣経、李亮平、孫艶「五色霊芝的抗輻射的防護研究」『中華放射医学与防護雑誌』1995年4月、pp122-123、中華医学会、北京
  10. ^ きのこ栽培方法 マンネンタケ 特許庁/国立国会図書館デジタルコレクション
  11. ^ 池小妹、「我国霊芝人工栽培技術研究現状」『時珍国医国薬』2005年第8期pp791~792、時珍国医国薬雑志社、黄石


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