陸上自衛隊 部隊の編制と機関

陸上自衛隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 19:31 UTC 版)

部隊の編制と機関

陸上自衛隊は大別して、陸上幕僚監部と大小様々な部隊および機関からなる。 陸上幕僚監部は防衛大臣の幕僚機関として、防衛警備計画の立案や部隊等の管理運営を調整し、大臣を補佐する。 陸上総隊司令官は防衛大臣の命を受け、有事においてはJTF陸上部隊指揮官として2以上の方面隊統合運用する。

主要部隊

師団・旅団配置。

部隊とは、十分な兵器を装備し、戦闘に従事するかまたはそれを支援する能力を有する組織をさし、戦略単位として方面隊、作戦単位として師団旅団戦術単位として連隊大隊といった部隊編制を有する。これらの部隊は、それぞれに警備担任区域を有しており、平時の防衛警備を担任する。陸上自衛隊の有する戦略単位・作戦単位は下記のとおりである。

部隊の単位

師団の標準的な編制図。
旅団の標準的な編制図。
普通科連隊の標準的な編制図。
普通科小銃小隊の標準的な編制図。

陸上自衛隊における部隊の単位は、自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)[17]および陸上自衛隊の部隊の組織及び編成に関する訓令(平成12年陸上自衛隊訓令第25号)[18]等によって、次のように規定されている。

  • 方面隊:方面総監は陸将(指定職5号)方面総監部、2 - 4個の師団または旅団、およびその他の直轄部隊からなる。
  • 師団:師団長は陸将(指定職2号または1号)師団司令部、普通科連隊3コ、戦車連隊(大隊)、特科連隊(特科隊)、後方支援連隊などからなる。実質的な規模は旅団程度[15]
  • 旅団:旅団長は陸将補(一)構成は師団に準じており、旅団司令部、普通科連隊(軽)3コ、特科隊、後方支援隊などからなる[注釈 6]。実質的な規模は連隊ないし連隊戦闘団程度[15]
  • :団長は陸将補(二)または1等陸佐(一)団本部及び数個の連隊、群、大隊又は隊等からなる。方面混成団、特科団、高射特科団施設団通信団富士教導団及び開発実験団がある。
  • 連隊:連隊長は1等陸佐(二)連隊本部および数個の大隊または中隊からなる。
  • :群長は1等陸佐(二若しくは三)群本部および数個の大隊または中隊からなる。
  • 大隊:大隊長は2等陸佐駐屯地司令を兼務する場合に限り1佐(三)が充てられる)大隊本部および数個の中隊からなる。
  • 中隊:中隊長は3等陸佐または1等陸尉。中隊本部および数個の小隊からなる。
  • 小隊:小隊長は1等陸尉から3等陸尉。小隊本部および数個の分隊または班からなる。
  • :班長は2等陸曹または3等陸曹。数個の組からなる。10名程度で構成される。
  • 分隊:分隊長は2等陸曹または3等陸曹。数個の組または4 - 8名程度の分隊員からなる。
  • 組:組長は3等陸曹、陸士長または1等陸士。2 - 4名程度の組員からなる。
  • :規模は様々であり、連隊よりも大規模だが団とするには小規模なもの(西部方面特科隊や北部方面施設隊)や連隊が縮小されて成立したもの(第3特科隊など)から中隊相当のものなど、多岐にわたっている。基本的には、師団・旅団内に置かれている隊(偵察隊、特科隊、航空隊、後方支援隊、化学防護隊および音楽隊。ただし司令部付隊及び後方支援連隊または後方支援隊隷下の隊は冠称番号がない)は師団または旅団の番号を冠称している。他方、独立部隊の場合、部隊番号が1・2桁のものは連隊相当、100番台のものは大隊相当、300番台のものは中隊相当とされる。また、「○○方面○○隊」のような命名もある。自衛官服務規則及び陸上自衛官服務細則においては、指揮者のいる2名以上の集団を隊と定義している。
  • コア部隊):基幹要員は常備自衛官で構成され、主力は訓練や災害派遣または防衛出動等で招集される即応予備自衛官からなる。

機関

機関とは学校や病院等の部隊を維持運営するための業務を担う組織である。 陸上自衛隊では、職種別の学校や地域別の補給処等が置かれている。

正しくは学校及び補給統制本部が防衛大臣直轄機関、補給処は方面隊直轄の機関である(補給処が補給統制本部の統制に従うのは業務上の統制である。自衛隊法第26条第5項に明記)。

以下は三自衛隊共同の機関である。

その他、陸海空自衛隊それぞれの機関として捕虜収容所を臨時に設置できることを定めている(自衛隊法第24条第3項)


注釈

  1. ^ 帝国海軍海自の関係性とは異なり公式には帝国陸軍を前身としていないが、事実上・実質上の前身。
  2. ^ りゅう弾砲および多連装ロケットシステムを「火砲」と区分している[1]
  3. ^ 桜義雄は旧海軍からの推薦により入隊。
  4. ^ 他にも警備隊・海自ではなく、保安隊・陸自に入隊した旧海軍将校も少数おり、池上巖(海兵第54期)・助川弘道(海兵第55期)・浦部聖(海兵第56期)・和田曻治(海機第47期)などがいる。
  5. ^ 2007年10月28日、朝霞駐屯地における平成19年度自衛隊中央観閲式総行進直後における場内アナウンス。
  6. ^ 師(旅)団の規模・特性により異なる。

出典

  1. ^ 5 具体的な防衛力の内容”. 平成23年度版 防衛白書 第II部 第2章 第3節. 防衛省. 2013年12月26日閲覧。
  2. ^ 資料10 戦車、主要火器などの保有数”. 令和5年度版 防衛白書 資料編. 防衛省. 2023年7月28日閲覧。
  3. ^ a b 令和5年版防衛白書 資料編目” (PDF). 防衛省. 2023年7月28日閲覧。
  4. ^ 陸上自衛隊公式ホームページ エンブレム・シンボルマーク
  5. ^ 坂本祐信 『近現代日本の軍事史〈第3巻〉再出発』 かや書房 p.259
  6. ^ 赤澤史朗 (編さん) 『高度成長の史的検証 (年報・日本現代史) 』 p.39
  7. ^ 山崎カヲル 『新「国軍」用兵論批判序説 』 鹿砦社 p.46-48
  8. ^ 赤澤史朗 (編さん) 『高度成長の史的検証 (年報・日本現代史) 』 p.37-38
  9. ^ 朝日新聞 昭和30年(1955年) 9月24日
  10. ^ "自衛隊は何をするのか〜対テロ支援 現場からの報告〜". NHKスペシャル. 4 November 2001. NHK総合
  11. ^ 第3師団 信太山駐屯地. “駐屯地司令よりご挨拶”. 陸上自衛隊. 2013年8月22日閲覧。
  12. ^ 第11旅団. “シンボルマーク”. 陸上自衛隊. 2009年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年9月7日閲覧。
  13. ^ 第11旅団. “第11戦車大隊 「士魂」の由来”. 陸上自衛隊. 2023年9月7日閲覧。
  14. ^ 田村尚也「大きく変わりつつある戦略任務 師団改編と旅団化」『軍事研究』2004年9月号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、144-122頁。 
  15. ^ a b c d 奈良原裕也『軍事研究』2018年9月号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、2018年8月10日、55頁。 
  16. ^ “シカ捕獲作戦好発進 初日24頭 : 北海道発”. 読売新聞. (2012年2月12日) 
  17. ^ 自衛隊法施行令”. e-Gov法令検索. デジタル庁. 2008年11月22日閲覧。
  18. ^ 陸上自衛隊の部隊の組織及び編成に関する訓令” (PDF). 防衛省情報検索サービス. 防衛省. 2008年11月22日閲覧。


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