鋸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 23:34 UTC 版)
製造
鍛造鋸(両刃鍛造鋸)の場合、裁断型に合わせて板材を裁断し、鋸板材と首材を鍛接する首接ぎを行う[8]。グラインダー整形の後、炉内で加熱して槌で叩き(火造り)、その後荒研磨を行う[8]。焼き入れ、焼き戻しをした後、刻みを入れる目立て、摺り回し、歯振り打ち、仕上げ目立てを行い、最後に柄を付ける[8]。
プレス鋸の場合、コイル状の材料の片面を研磨してヒガキ目立てを行い裁断する[8]。上目目立て、歯振開け、刃先目摺り、背落としなどを行った後、衝撃焼入れを行い、最後に柄を付ける[8]。
種類
用途による分類
- 木工用
- 金工用(金鋸)
- プラスチック鋸
- 氷鋸
形状による分類
- 糸鋸
- 弓鋸 (hacksaw)
動力鋸
作業の高速化のため、電気モーターやエンジンによって作動するのこぎりが普及している。
電動のこぎり
電動のこぎりと呼ばれる工具には色々な種類の物がある。
- 電気丸のこ
- 円形の刃を高速回転させ、板を直線形に切断する。以下のような変形がある。
- テーブルソー: 写真のように、固定したテーブルの下から上に向かって刃が出ている。主に角材の長手方向や板の切断に使う。
- スキルソー: 手持ちのモーター部分から刃が下に向かって出ている。主にテーブルソーには大き過ぎる板や建築現場などで角材の短手方向などの切断に使う。ダイヤモンドの刃を付けてガイドに沿ってタイルや石のカウンタートップを切断したり、大まかな仕上がりでよければ、マイターソーのように上から刃を降ろしてタイルに八角形程度の配管用の穴を開けたりコンクリートの床面に窪みを掘ることもでき、手ごろな大きさの割に守備範囲が広い。
- マイターソー: 角材を置くガイド付テーブル部分に向かってばね付アームに付いた刃を上から降ろして、角材を精密に切断する。テーブル部分と刃の角度が調節でき、切断面の角度を直角以外にも精密に決められる。幅のある角材切断用にアームがスライドするものもある。同一目的の西洋式の手動鋸の刃が薄く背の部分に補強があるものもマイターソーと呼ぶ。
- タイルソー: マイターソーに似た配置だがアームから降りる刃は常にテーブルの溝に入り込むよう固定され、陶器や石のタイルを推し進めながら切断する。ダイヤモンドの刃で水をかけて冷やしながら切断するので、水受けバットとポンプも一体になっている。
- ジグソー
- 細身の刃を上下運動させ、板を曲線形に切断する。例えばカウンタートップのシンク穴の切り取りなどで使う。
- レシプロソー・セーバーソー
- 全体としてジグソーを長細く配置し大きめの刃を付けたた形状で、主に板塀や木杭などの屋外工事などで使う。「レシプロ(カル)」は「往復運動」、「セーバー」は「サーベル」のこと。
- 糸鋸盤
- 比較的小さめの金属のテーブルの穴に上下に往復運動する細い刃をフォーク(叉)にセットし、板や棒の方を手動でずらして細かい切断や造形をする。
- チェーンソー
- チェーンをプレートの外側に這わせ周回させて木材を切断する。主に庭園や山林などの屋外で使うので、ガソリンエンジン動力の製品も多い。
エンジンカッター
円形の刃を高速回転させ、コンクリートや石材、金属や鋼材などを切断する。刃を回転させる部分にエンジンを搭載しており、混合燃料を使用する製品が主流となっている[11]。
帯鋸(バンドソー)
帯状の刃を輪のように繋げ、上下のプーリーで周回させる。使用する際は陸上のトラックのような形となり、直線の部分で切削を行う。
- 長所
- 刃の長さを長くすることで大きな材料の切断も可能なことから、丸太など大きな材料の切断が可能。
- 丸鋸と比較して材料と刃が接触する面積が小さく、切削抵抗が小さい。
- 丸鋸のような円弧状の切削ではなく直線状で、また切削箇所の進行状況が見やすい。
- 短所
- 切断には2つのプーリーが必要なため、ある程度のサイズが必要。
- 摩耗などで切削抵抗が大きくなった場合に刃を輪にする際の接合面などから折れてしまいやすい。
楽器としての鋸
ミュージックソーあるいはミュージカルソー(Musical saw)と呼ばれる西洋鋸は、工作物の切断用ではなく楽器として利用される。演奏方法は、椅子に座り、取っ手の部分を太腿で押さえ、金属板の部分をS字型に曲げて、バチで叩いて音を出すか、弦楽器用の弓で弾く。前者の奏法を用いる演奏家として、横山ホットブラザーズのアキラが有名。後者の奏法を用いる演奏家として、都家歌六、サキタハヂメ、稲山訓央等がいる。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 世界の木工具研究会『図説世界の木工具事典』海青社、2015年、49頁。ISBN 9784860993191。
- ^ 建設通信新聞記事(2011年3月25日第16面)
- ^ a b c 大工道具研究会『木工手道具の基礎と実践』誠文堂新光社、2017年、56頁。
- ^ a b 大工道具研究会『木工手道具の基礎と実践』誠文堂新光社、2017年、54頁。
- ^ a b c d 大工道具研究会『木工手道具の基礎と実践』誠文堂新光社、2017年、55頁。
- ^ ヴィトルト・リプチンスキ『ねじとねじ回し』春日井昌子訳、株式会社早川書房、2003年10月31日5版発行、15&16頁。Witold Rybczynski 『ONE GOOD TURN (A Natural History of the Screwdriver and the Screw)』
- ^ a b c ヨアヒム・ラートカウ『木材と文明:ヨーロッパは木材の文明だった。』山縣光晶訳 築地書館 2013 ISBN 9784806714699 pp.202-209.
- ^ a b c d e 世界の木工具研究会『図説世界の木工具事典』海青社、2015年、51-52頁。ISBN 9784860993191。
- ^ 世界の木工具研究会『図説世界の木工具事典』海青社、2015年、53頁。ISBN 9784860993191。
- ^ 世界の木工具研究会『図説世界の木工具事典』海青社、2015年、69頁。ISBN 9784860993191。
- ^ エンジンカッターとは【通販モノタロウ】
鋸と同じ種類の言葉
- >> 「鋸」を含む用語の索引
- 鋸のページへのリンク