都市高速道路 都市高速道路の概要

都市高速道路

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 03:19 UTC 版)

都市の隙間を縫うように建設された首都高速道路

概要

首都高速道路(東京)
名古屋高速道路(名古屋)
阪神高速道路(大阪)
広島高速道路(広島)
北九州高速道路(北九州)
福岡高速道路(福岡)

日本の東京、名古屋、大阪、広島、北九州、福岡の6つの大都市圏に所在する、都市内の道路交通を円滑にする目的で建設された自動車専用道路のことで、高速自動車国道高規格幹線道路)とは区別されている[1]

海外においても都市内に高速道路は存在し、幾何構造や運用において差別化されている例は存在するが、都市高速道路という用語は日本独自のものである[注釈 1]

道路法上は都道府県道または指定市道政令指定都市内の区間)である[2]。単に都市高速とも呼ばれる。また、地域高規格道路の概念ができてからは、地域高規格道路に自動的に指定されている。

都市高速は道路構造令で定められている第2種の規格で設計されている[1]。都市内においては用地確保の問題から規格が都市間を結ぶ高規格幹線道路の第1種に比べて低い規格である。

ただし、これは都市内を通過する高規格幹線道路においても同様である。

一般道路の上や、河川の上に高架で建設されていることが多いことから、一般の高速道路と比較してカーブが多い。

また、制限速度も本線に合流するまでの助走距離が短いことや、騒音問題の観点からも制限速度が50 - 60 km/hの区間が多い[1]信号機つき交差点を持つ路線も存在する。

流入部や流出部も、他の高速道路は原則として左側合流に統一されているが、都市高速では土地制約から統一されておらず右側合流となる場合がある[1]

また大半の場合、一般の高速道路に設置されているようなフル規格のインターチェンジはなく[1]ハーフIC・クォーターICとなっている出入口も数多い。

都市高速道路の位置づけ

高速道路株式会社法では「高速道路」を規定し[3]、その中で自動車専用道路と同等の規格及び機能を有する道路として都市高速道路が位置づけられる。

また、国および地方公共団体以外の公益法人が事業にあたっており[4]道路整備特別措置法においてはネクスコ3社や首都高速道路及び阪神高速道路株式会社のように、会社が管理している会社管理高速道路とその他の地方道路公社によって運営されている指定都市高速道路と分けられ、共に料金を徴収することのできる道路と位置づけられる。

都市高速道路は、東名高速道路などの高速自動車国道と比べると、有料道路である・自動車専用道路である・中央分離帯で往復交通が区別されている・立体交差であるなどの多くの共通点を持つ[2]

その一方で、国道ではない[注釈 2]・インターチェンジがない・サービスエリアがないなどの違いが挙げられ[2]、規制速度の低さや線形の悪さから旅行速度が低くなる。

名は高速道路と付くが、本線と合流するまでの助走距離が短いため十分な加速ができないことや、車線幅は高速自動車国道よりも狭く造られているため、多くの区間で制限速度が50-60 km/hと低く設定されている[4]

幾何構造や運用については都市高速道路だけではなく、級区分の差はあるものの都市内高速道路[5][6]道路構造令の第2種に該当する道路)に共通する特徴である。


注釈

  1. ^ ただし、大韓民国には「都市高速化道路」(ko:도시고속화도로)と呼ばれる自動車専用道路があり、これのうちには、釜山第二都市高速道路のような有料道路もある。
  2. ^ 原則は都府県道または政令市道だが、阪神高速道路と首都高速道路には一般国道も計画されている。
  3. ^ なお都内では開通3年前の1959年(昭和34年)に東京高速道路が部分開通しているが、同道路は一般自動車道であり都市高速道路ではない。
  4. ^ 同区間が都市高速道路に転換されたのは1991年(平成3年)3月31日である。このため、同区間は最古の都市高速道路ではあるが、日本初の都市高速道路ではない。
  5. ^ 北九州高速4号線は1991年(平成3年)3月31日に日本道路公団から北九州道路、北九州直方道路の移管を受けた路線であり、移管から1993年(平成5年)3月31日までは4号線のみ対距離制料金が維持されたが、同年4月1日に他路線と合わせた均一料金制に移行し、出口料金所は撤去された[9][10]
  6. ^ ただし、ETC車限定の社会実験として、短距離では高い割引率、長距離では低い割引率とする割引を実施したことはある。
  7. ^ 首都高速道路が低速道路と酷評される所以である[4]
  8. ^ 2020年(令和2年)3月末時点。

出典

  1. ^ a b c d e f g h 浅井建爾 2015, p. 98.
  2. ^ a b c 浅井建爾 2001, pp. 60–61.
  3. ^ 高速道路株式会社法第2条第2項
  4. ^ a b c d 浅井建爾 2001, p. 60.
  5. ^ 吉井稔雄, 桑原雅夫, 森田綽之 : 都市内高速道路における過飽和ネットワークシミュレーションモデルの開発 ・ 交通工学, No.30, Vol.1, 交通工学研究会, 1995.01
  6. ^ 中村英樹,大口敬:日本の交通容量・サービスの質に関する研究展望・第33回土木計画学研究・講演集,vol.33, CD-ROM,2008.11
  7. ^ 浅井建爾 2015, p. 99.
  8. ^ 会社沿革”. 首都高速道路株式会社Webサイト. 首都高速道路. 2015年12月19日閲覧。
  9. ^ 都市高速道路 開通30周年(福岡北九州高速道路公社) (PDF) [リンク切れ]
  10. ^ 福岡北九州高速道路公社40年史(福岡北九州高速道路公社)
  11. ^ 都心アクセス強化(創成川通の機能強化)創成川通の現状と課題 - 札幌市
  12. ^ 浅井建爾 2015, p. 100.
  13. ^ 札幌市長選で争点、都心アクセス道路 - 朝日新聞デジタル
  14. ^ 一般国道5号 創成川通 都心アクセス道路事業概要 (PDF:12.0MB)
  15. ^ 都心アクセス強化(創成川通の機能強化) - 札幌市
  16. ^ 札幌都心アクセス道路検討会 - 国土交通省 北海道開発局
  17. ^ 札幌北IC周辺イメージ - 札幌市
  18. ^ 市南西部と現存高速道 直結25キロメートルの整備要望/市議会自民党高速道推進議連に/札幌環状型高速交通体系考える会 DOTSU-NET 建設版
  19. ^ 交通体系整備を考える会、札幌外周高速道を構想 北海道建設新聞社
  20. ^ 熊本都市圏の新しい高規格道路「10分・20分構想」について”. 熊本市ホームページ. 2023年5月6日閲覧。
  21. ^ 堀江興「戦後の東京の民間会社による外濠高速道路建設経緯」『土木史研究』第14巻、土木学会、1994年、31-44頁、doi:10.2208/journalhs1990.14.31 


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