退職勧奨 退職勧奨の概要

退職勧奨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/05 16:58 UTC 版)

退職事由に係るモデル退職証明書

公務員において

公務員においては、ピラミッドの頂上付近のように数が限定されている特定の役職や階級等にある者が長期間同じ役職に留まると下位の者の昇任等に影響を及ぼすため、政令で定められた定年年齢に達する前に退職をさせる(紙面では『勇退』などと表現されることがある)。退職時においては退職金の割増(定年まで勤めた際に支給されると予想される額以上)や、再就職援護などがある(依願退職の場合は一身上の都合で退職するため、原則として就職援護は受けられない)。

自衛隊においては将官ポストは数に限りがあり(陸上自衛隊の場合師団長は9つ、旅団長は6つ)、その上級若しくは相当ポストはさらに数が減少する(総監ポストは5つ、統合・陸海空幕僚長は各1)ため、上級・同列相当ポストの椅子に座れなかった者に残されているのは政令で規定された定年年齢を前にした退官[注 1]のみである(つまり、個人都合でなく組織の都合)。その代償として退職金は通常の額に加えて定年まで勤めた場合に相当する分が加算支給[注 2]され、かつ防衛に関係する各企業への就職を援護[注 3]

他の例としては、自衛隊体育学校冬季戦技教育隊において一定以上のレベルが維持できないと判断された隊員が一般部隊へ転属するか退職するかを選択する例があり、体育競技を行う事を目的に入隊した者の殆どは依願退職して一般企業や教育施設等にて競技を続ける。

警察庁は、警察学校で警察官に適さないと判断した人物に対して積極的に退職を勧奨する方針を指示している。警察官採用試験に合格した者は採用された段階で警察官の身分となり、警察学校で学ぶ時期は試用期間に当たる[1]

国家公務員における退職勧奨は2013年11月1日から施行された国家公務員退職手当法施行令(昭和28年政令第215号)の一部改正により廃止となり[2](自衛隊ではかつて4月、8月、12月の1日付で実施していた勧奨退職(1佐(二)の一部と1佐(一)以上の幹部自衛官[注 4][注 5][注 6]を対象としていた制度))[3]、早期退職募集制度(応募認定退職ともいう)[4]に移行した。現在は、上司・上級職から一定の年齢・役職勤務を終了と同時に事実上退職を求められる[注 7]

民間企業において

退職勧奨は使用者が労働者に退職を勧め、最終的に労働者が自由意思でこれに応じて合意退職することをいう[5]

過員を生じた場合や、労働者の働きぶりがミスマッチであったとしても、解雇権濫用法理労働契約法第16条)が確立している現在では、企業はみだりに労働者を解雇できない。たとえ解雇に成功したとしても、懲戒解雇でない限り、企業は雇用保険に定める様々な助成金(雇用調整助成金等)を受けられなくなるため、企業は硬軟あらゆる手段を用いて退職勧奨を行い、形の上は労働者の自己都合退職であるという体裁をとるのが常である。

脚注


注釈

  1. ^ 自衛隊法施行令(政令)の規定により将官の定年年齢は60歳と定められているが、一般に将は57~58歳、将補は56~57歳を基準に早期優遇退職となる(医官歯科医官及び警務・音楽職域を除く)。
  2. ^ 階級・役職等に応じて約1千万から3千万円程の加算、本来定年を迎える頃に支給される額と同額になるよう計算されており、通常依願退職ならば数百万から1千万円程度のところ実質的に定年退官と同額水準が支給される。さらに早期退職に伴う手当として若年定年退職者給付金制度が存在し、早期優遇退職者についても対象となる。若年定年退職者給付金は、一般公務員の定年(60歳)の5年前を基準に早期に退職する事から支給される給付金であり、主に1佐の早期退職者に対しても支給対象とされる。
  3. ^ 再就職に先立ち、防衛省内にある離職者分科会における審議が行われる。
  4. ^ 1佐(二)及び(一)については1佐としての勤続年数が10年以上のもののうち、勤務成績による選考をもって将補に特別昇任の上、定年日(自衛隊法施行令で規定された定年年齢)よりも前に退職させていた制度。
  5. ^ 将及び将補にあっては勧奨退職に代えて早期優遇退職を適用。
  6. ^ 両者とも、2013年11月以前の防衛省人事発令において記載されていた「退職を承認する(勧奨)」の表記がないことからもこれは明らかである。
  7. ^ 定年まで3ヶ月以上日数が多く残っている場合は上司・上級者から事実上の斡旋による退職、3ヶ月を切るような状態であれば総監部・司令部付配置を受けて定年までの日数を年次休暇消化による定年退官となっている。

出典



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