越前国 越前国の概要

越前国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/23 00:45 UTC 版)

越前国

-越前国
-北陸道
別称 越州(えっしゅう)[注釈 1]
所属 北陸道
相当領域 福井県嶺北地方(岐阜県北西部含む)・敦賀市[注釈 2]
諸元
国力 大国
距離 中国
6郡55郷
国内主要施設
越前国府 福井県越前市
越前国分寺 (未詳)
越前国分尼寺 (未詳)
一宮 氣比神宮(福井県敦賀市
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沿革

北陸道がヤマト王権の支配下となった4世紀以降、角鹿国造、高志国造、三国国造、江沼国造、加我国造、羽咋国造、能等国造が設置された。

7世紀末の689年-692年(持統3-6年)頃高志国こしのくに)が高志道前・高志道中・高志道後の3国に分割されたと想像されている。その後、高志前・高志中・高志後の表記を経て、大宝律令制定後の国印製作時に越前越中越後の表記に定まったと推定されている。 3国に分割された時の「越前国」の領域は、現在の石川県と、福井県の北部を含み、後の敦賀郡(旧角鹿国)、丹生郡(旧高志国)、足羽郡大野郡坂井郡(旧三国国)、江沼郡(旧江沼国)、加賀郡(旧加我国)、羽咋郡(旧羽咋国)、能登郡(旧能等国)、鳳至郡珠洲郡の十一郡にわたる広大な面積であった。

養老2年(718年5月2日に、現在の石川県北部にあたる羽咋郡、能登郡、鳳至郡、珠洲郡の四郡を能登国として分立させた。

弘仁14年(823年3月1日に、現在の石川県南部にあたる加賀郡と江沼郡を割いて加賀国を建てた。これ以後は郡単位の移管はなく、主に現在の福井県のうち南部 (若狭国)を除く部分が領域となった。7世紀末の越国からは五分割、8世紀初頭の越前国からは三分割されたことになるが、それでも残った越前国は延喜式による等級で北陸道唯一の大国に区分された。

なお、白山の西麓にあたる現在の石川県の一部(白山市の旧白峰村地域、同市旧尾口村地域の一部および同県小松市新丸村地域)は白山麓十八ヶ村とも呼ばれ、信仰登山をめぐる利権を巡って加賀側と越前側で中世以来帰属争いが絶えない地域であり、加越両国の間を揺れ動いた。最終的に越前国でありながら明治初期に石川県に加えられた地域となる[1][2]。美濃国との境にあった現岐阜県郡上市の旧石徹白村地域も、越前国の領域で一時は福井県だったが、昭和の大合併で岐阜県側に越境合併した[1]

京都奈良をうかがうのに近すぎず遠すぎずの大国[3]でもあり、古来、この地に拠って天下を争い、滅んだ武将が少なくない。新田義貞朝倉義景柴田勝家が挙げられ(特に義貞の籠城は、のちに即位無効とされたものの新天皇を推戴してのものである)、主将としてではないが大谷吉継、この地を再起の拠点として逃れる途上で殺された藤原仲麻呂などもこれに準じる。明智光秀も、一時期同国の住人であった。 継体天皇は、越前国から大和へ迎えられたとされ、万葉歌人としてよく知られる志貴皇子(天智天皇皇子)の母「越道君伊羅都売」もこの国の出自と考えられている。他に、直接天下取りに動いたわけではないが、徳川家康の次男であり英邁をうたわれながら弟の徳川秀忠に後継を譲らざるを得なかった結城秀康も、この地の領主として後半生を送った。米の産地として播磨国と「一播二越」(いちばんにえち)と称された[4]

近世以降の沿革

領域

明治維新の直前の領域は現在以下のようになっている。太字の自治体及び郡は全域が、通常体は一部が国土にあたる。


注釈

  1. ^ 別称「越州」は、越中国・越後国とあわせて、または単独での呼称。
  2. ^ 創設時には石川県全域をも含んだ。

出典

  1. ^ a b 江戸時代に越前国、若狭国だった地域で、現在は福井県ではないところはどこか。”. レファレンス協同データベース. 国立国会図書館 (2007年11月13日). 2022年11月1日閲覧。
  2. ^ 橘礼吉「白山麓の越境出作り一文書に見る白峰村白峰の事例-」『石川県白山自然保護センター研究報告』第24巻、石川県白山自然保護センター、1997年、44頁。 
  3. ^ <距離的にはまずまず近いが、冬場は峻厳な木の芽峠が雪で閉ざされる。しかし、敦賀平野のみはこの域外、近畿側にあるという複雑な国情となっている。
  4. ^ いにしえの歴史と文化が息づく・・・ 自然に恵まれたまち、越前市
  5. ^ "越前国の中心「国府」解明か 越前市第2庁舎跡に平安の柱穴"(中日新聞、2016年3月1日記事)。
  6. ^ 『中世諸国一宮制の基礎的研究』(岩田書院、2000年)pp. 332-334。
  7. ^ 『中世諸国一宮制の基礎的研究』(岩田書院、2000年)p. 334。
  8. ^ 金持ち県第1位は商才に長ける「福井県」”. SANKEI BIZ (2017年8月6日). 2019年1月11日閲覧。


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