賃金 賃金形態

賃金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 02:44 UTC 版)

賃金(ちんぎん、: wage: salary)とは、労力を提供したものが、報酬として受け取るお金のことをいう[1]。かつては賃という別表記もあった[注釈 1]


注釈

  1. ^ 昔は賃銀が使われていたが、1950年(昭和25年)以降、賃金との表記が一般化した[2]
  2. ^ 通勤用の定期乗車券の支給は「賃金」に当たる。6か月定期乗車券であってもこれは各月分の賃金の前払いとして認められるから、平均賃金算定の基礎に加えなければならない。
  3. ^ その徴収金額が実際費用の3分の1以下であるときは、徴収金額と実際費用の3分の1との差額部分については、これを「賃金」とみなす(昭和22年12月9日基発452号)。
  4. ^ 死亡退職金は、労働者でなくその遺族に支払われることから、受給権者たる遺族が、その固有の権利として使用者に直接的に請求権をもつとして、「賃金」性が否定される(日本貿易振興会事件、最判昭和55年11月27日)。
  5. ^ ただし、住宅を貸与する場合に、住宅の貸与を受けない者に均衡上一定額の手当を支給している場合には、その均衡給与相当額は「賃金」とされる。
  6. ^ 平成30年1月1日施行の改正職業安定法により、当初の明示と異なる労働条件を提示する場合には、契約締結の前に新たな明示が義務付けられる。
  7. ^ モデルや子役として報酬を受け取る児童も例外ではないが、実際には直接手渡しされることはまずなく、(紛失や盗難のリスクを回避するため)当人名義の銀行口座への振込になる。
  8. ^ その後に起きた、群馬県教職員給与減額支払等請求(最判昭45.10.30)においては、10月分及び12月分の過払いを翌年3月分から控除した件につき、「相殺をするかどうかまたはその法律上の可否、根拠等の調査研究等に相当の日時を費し、あるいは他の所管事務の処理に忙殺されていた点にあった」などの事情にとどまるときは、全額払いの原則の例外として許される場合に当たらないとして、相殺を認めなかった。
  9. ^ 保障給の大体の目安としては、休業の場合についても平均賃金の60%の休業手当の支払いが必要であることとのバランスから、労働者が現実に労働している第27条の場合については、少なくとも平均賃金の60%程度を保障することが妥当であると解されている[21]

出典

  1. ^ 三省堂「新明解国語辞典 第六版」
  2. ^ 岩波 国語辞典 第六版
  3. ^ a b 昭和22年9月13日発基17号
  4. ^ 昭和63年3月14日基発150号
  5. ^ 労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日付け発基第17号、都道府県労働基準局長あて労働次官通達)
  6. ^ 昭和30年10月10日基発644号
  7. ^ 昭和23年2月20日基発297号
  8. ^ 昭和27年5月10日基収2162号
  9. ^ 労働基準法解釈例規について(昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号、都道府県労働基準局長あて労働基準局長・婦人局長通達)
  10. ^ 昭和22年12月9日基発452号
  11. ^ 改正商法に係るストツク・オプションの取扱いについて、平成9年6月1日基発第412号、道府県労働基準局長宛て、労働省労働基準局長通達
  12. ^ 荒川税務署長事件、最判平成17年1月25日)
  13. ^ 休業補償として第76条に定める「平均賃金の60%」は最低の基準であるから、事業場で休業補償として平均賃金の60%を上回る制度を設けている場合には、その全額が休業補償であり、賃金とはならない:昭和25年12月27日基収3432号
  14. ^ 労働者が自己を被保険者として生命保険会社と任意に保険契約を締結したときに企業がその保険料の補助を行う場合、その保険料補助金は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、「賃金」とは認められない:昭和63年3月14日基発150号
  15. ^ チップは旅館従業員等が客から受け取るものであって、「賃金」ではない:昭和23年2月3日基発164号
  16. ^ 昭和39年5月21日基収3343号
  17. ^ 最低賃金法第2条、賃金の支払の確保等に関する法律第2条では「賃金」を「労働基準法第11条に規定する賃金をいう。」と定め、また労働契約法においては通達において「賃金」を「労働基準法第11条でいう「賃金」と同義である」と定め(平成24年8月10日基発0810第2号)、勤労者財産形成促進法においては通達において「賃金」の範囲を「労働基準法上の賃金の範囲とおおむね同様であること」(昭和47年1月22日発基第3号)とし、いずれも労働基準法と同様の解釈となる
  18. ^ 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について厚生労働省
  19. ^ 給料日が休日に当たる場合、支払日を繰り下げてもいいのですか?
  20. ^ time card calculator
  21. ^ 厚生労働省労働基準局編平成22年版労働基準法上巻p.378
  22. ^ 福岡労働局 監督課:Q&A[リンク切れ](Q7およびA7を参照)
  23. ^ ユニデンホールディングス事件(東京地裁平成28年7月20日)
  24. ^ 横浜地方裁判所判決 昭和51年3月4日 大瀬工業事件
  25. ^ 不払い残業(サービス残業)を撲滅しよう”. 日本労働組合総連合会. 2011年11月7日閲覧。
  26. ^ 「わかりやすい賃金の法律実務」厚生労働省労働基準局賃金時間課編著
  27. ^ 財団法人 社会経済生産性本部の 日本的人事制度の変容に関する調査[リンク切れ]も参照されたい。
  28. ^ 大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、191頁。
  29. ^ 統計局ホームページ/家計調査
  30. ^ 統計局ホームページ/平成29年就業構造基本調査
  31. ^ 毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)|厚生労働省
  32. ^ 賃金構造基本統計調査|厚生労働省
  33. ^ 賃金構造基本統計調査(初任給)|厚生労働省
  34. ^ 図5 賃金カーブ/早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
  35. ^ a b 国民生活基礎調査|厚生労働省
  36. ^ 賃金引上げ等の実態に関する調査|厚生労働省
  37. ^ 社会保障審議会 (年金数理部会) |厚生労働省
  38. ^ 事業年報 | 協会けんぽについて | 全国健康保険協会
  39. ^ 民間給与実態統計調査|統計情報|国税庁
  40. ^ 中央労働委員会:賃金事情等総合調査の概要
  41. ^ 職種別民間給与実態調査
  42. ^ 国家公務員給与等実態調査
  43. ^ 2015年度 モデル賃金・モデル年間賃金の実態 – 賃金 - 産労調査 - 人事・労務に関する情報 - 産労総合研究所
  44. ^ 統計情報|労働政策研究・研修機構(JILPT)
  45. ^ ユースフル労働統計2015 ―労働統計加工指標集―|労働政策研究・研修機構(JILPT)
  46. ^ 中小企業の賃金・退職金事情|統計・調査|東京都産業労働局
  47. ^ 平均年収ランキング2016(平均年収/生涯賃金) |転職ならDODA(デューダ)
  48. ^ Exclusive UHNWI Analysis: World Ultra Wealth Report 2017 - Wealth-X
  49. ^ a b 国税庁統計情報|国税庁
  50. ^ a b 標本調査結果|国税庁
  51. ^ 平成30年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省
  52. ^ 平成30年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省
  53. ^ 賃金構造基本統計調査 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口


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