試用期間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/13 09:51 UTC 版)
ほとんどすべてのOECD加盟国の雇用保護規制では、試用期間中には不当解雇規制が適用されない[1]。ベルギー、チリ、ギリシャ、イスラエル、日本、ポーランドは例外であるが、その場合は代替として当初は有期雇用として契約するケースもある[1]。試用期間の中央値は3か月で、最長は英国(24か月)とアイルランド(12か月)であった[1]。
国際労働条約
解雇を規制する国際労働機関(ILO)第158号条約においては、試用期間中の者について適用除外を認めている。
第2条2 加盟国は、次の種類の雇用されている者をこの条約の全部又は一部の適用から除外することができる。
- (b) 試用期間中の労働者又は雇用に係る資格の取得期間中の労働者。ただし、これらの期間は、あらかじめ決定された合理的なものでなければならない。
欧州
- アイルランド:雇用契約に明記することで、最長1年までおいて設定可能[2][3]。しかし組合活動、妊娠、介護育児理由では解約できない[2]。
- イギリス:法規制はないが、一般的には3〜6か月[3]。
- イタリア:職階ごとに、1〜6か月の範囲で規制されている[3]。
- オーストリア:最長1か月[3]。
- オランダ:2年以下の有期雇用契約では1か月、その他の場合は最長2か月となる[3]。
- スイス:最長3か月[3]。
- スウェーデン:最長6か月[3]。
- スペイン:上級職は最長6か月、一般職は最長3か月、その他雑務役は最長2週間に法規制される[3]。
- チェコ:最長3か月[3]。
- デンマーク:最長で3か月[3]。雇用者からの解約は即時可能だが、雇用主からの解約は2週間前の予告が必要[3]。
- ドイツ : 雇用契約に記載することで試用期間(3〜6か月程度)を設定できる[3]。雇用主、雇用者ともに2週間前に予告することで契約解除可能[3]。
- ハンガリー:1〜3か月[3]。
- フィンランド:最長4か月、しかし職場で職業教育を受ける場合は6か月に延長可能[3]。
- フランス:職階別に最長期間が設定されている(2〜4か月)[3]。産業別協定がある場合は1回のみ延長可能[3]。
- ベルギー:ホワイトカラーは最長6か月、ブルーカラーは最長2週間[3]。
- ポーランド:最長3か月[3]。
- ルーマニア:職階ごとに最長1〜6か月[3]。
オセアニア
- ニュージーランド:期間は自由に設定できるが、雇用契約に明記する必要がある[4]。
- ^ a b c d OECD Employment Outlook 2020, OECD, (2020-07), Chapt.3, doi:10.1787/19991266, ISBN 9789264459793
- ^ a b “Contract of employment”. Citizens Information Board. 2020年5月閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 海外調査部 欧州課『欧州各国の雇用制度一覧(2009年8月)』(レポート)JETRO、2009年9月 。
- ^ “Probationary periods”. Ministry of Business, Innovation & Employment. 2020年5月閲覧。
- ^ [1]中央最低賃金審議会「第1回目安制度のあり方に関する全員協議会」(平成26年6月18日)で示された統計資料によれば、試用期間の減額特例が許可されたのは、平成21年が4件、平成22年が1件、平成23年~25年は0件であった。
- ^ 見習い期間と試用期間を併せて最長2年となる規定について「労働者の労働能力や勤務態度等についての価値判断を行うのに必要な合理的範囲を超えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し、その限りにおいて無効である」と判示した例がある(ブラザー工業事件、名古屋地判昭和59年3月23日)。
- ^ a b 従業員の採用と退職に関する実態調査の概要 (PDF) (Report). 独立行政法人労働政策研究・研修機構. 2014.
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