角度 分類

角度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/03 16:49 UTC 版)

分類

大きさによる分類

以下、角度 θ弧度法で表す。0 から までの大きさの角を、その範囲により次のような名称で呼ぶ。ただし直角には定量的角度を使わない定義があり、ヒルベルトの公理系などで採用されている。

範囲 (rad) 範囲 (°) 名称 読み 英語 一例
θ = 0 θ = 0° 零角 れいかく  
0 < θ < π/2 0° < θ < 90° 鋭角 えいかく acute angle
θ = π/2 θ = 90° 直角 ちょっかく right angle
π/2 < θ < π 90° < θ < 180° 鈍角 どんかく obtuse angle
θ = π θ = 180° 平角 へいかく straight angle[10][8]
0 < θ < π 0 < θ < 180° 劣角 れっかく inferior angle
凸角 とっかく
π < θ < 2π 180° < θ < 360° 優角 ゆうかく reflex angle[9][10]
凹角 おうかく
折り返し角 おりかえしかく
θ = 2π θ = 360° 周角 しゅうかく perigon または round angle[9][10] または full angle[24]
全角 ぜんかく
全方位角 ぜんほういかく

ただし鋭角、直角、鈍角以外の用語はあまり使われない。[要出典]

英語で劣角に対応する用語は不明である。『科学技術45万語和英対訳大辞典』[25]では "inferior angle" という語を当ててはいるが、この語が英語圏で劣角の意味で広く使われている証拠は見つからない。研究社の新英和大辞典[10]では優角を "superior angle" または "major angle" ともいうとの記載はあるが、その反対語となりうる "inferior angle" および "minor angle" についての記載はない。

『図説 数学の事典』[8]では、π < θ < 2π の角を優角ではなく折り返り角と記しているが、原著はドイツ語であり、そこからの翻訳なので英語との対応は不明である。また θ = 2π の角を周角ではなく全角と記している。

角同士の関係による分類

優角・劣角
優角 (∠ABC) と劣角 (∠CBA)
始点を共有する2本の半直線が、平面からその一部を切り取るとき、切り取る部分の小さくない方を優角(ゆうかく、: major angle)と呼び、そうでない方を劣角(れっかく、: minor angle)と呼ぶ。優角と劣角の和は、周角に等しい。通常、特に断りのない限り、2本の半直線が成す角とは劣角を指す。なお、2本の半直線が平角をなすとき、特に優角、劣角と区別することはない。
余角
鋭角に対し、合わせて直角となる角あるいは角度をその角の余角(よかく、: complementary angle, co-angle)という。
したがって、角度
内角と外角
外角・内角
多角形において、頂点を共有する2辺の成す角を、内角(ないかく、: interior angle)と呼ぶ。内角の補角を外角(がいかく、: exterior angle)と呼ぶ(これら2辺のうち一方を延長して作られる)。
多角形の内角の和は、多角形の頂点の数 n の関数であり、その大きさは (n − 2)π に等しい。
多角形の外角の和は、多角形の頂点の数 n に関係なく、一定の値 に等しい。
n 角形の1つの内角、外角の大きさは、上のそれぞれの値を n 等分して求められる。
錯角・同位角
2つの直線 (a, b) と横断線 (t)
2本の直線を考える。直線の両方と異なる点で交わる第3の直線を引くとき、この直線を横断線(おうだんせん、: transversal)と呼ぶ。横断線から2本の直線が切り取る線分の両端にそれぞれ4つの角を生ずるが、このとき線分の両端からそれぞれ1つずつの角を選んで作る2つの角の組のうち、
横断線の反対側にできる角で、辺の一部を共有する角の組を錯角(さっかく、: alternate interior angles)、
一方の角がその内部に他方を含むような角の組を同位角(どういかく、: corresponding angles)と呼ぶ。
錯角、同位角のいずれか一方が等しければ、他方も等しく、元の2直線は平行線であることが分かる(平行線の成立条件)
また、元の2直線が平行であるならば、錯角、同位角はそれぞれ互いに等しい大きさを持つ(平行線の性質)。
中心角・円周角
中心角と円周角
扇形の2本の半径のなす角を、中心角(ちゅうしんかく、: central angle)という。すなわち中心角とは、円の円周から切り取った弧を、その円の中心から見込む角のことである。またこのとき、弧を除く円周上の1点から、弧を見込む角のことを、円周角(えんしゅうかく、: angle of circumference)という。同じ弧を見込む中心角は、円周角の2倍の大きさを持つ。
円周を n 等分して n 本の弧に分けるとき、n 等分点を頂点とする正 n 角形の1つの外角と、n 本の弧の1つを見込む中心角の大きさは等しくなる。

  1. ^ 計量単位令 別表第1 項番8 角度、ラジアン
  2. ^ 国際単位系国際文書では、「平面角および位相角」(plane and phase angle)としている。
  3. ^ 計量単位令 別表第1 項番8 角度、度
  4. ^ 『岩波数学辞典』第 2 版、144頁。
  5. ^ a b c ヒルベルト『幾何学基礎論』
  6. ^ a b c 『岩波数学辞典』第 3 版
  7. ^ a b c d e 『日本国語大辞典』第六版
  8. ^ a b c Gellert『図説 数学の辞典』
  9. ^ a b c d 一松、伊藤『数学辞典』
  10. ^ a b c d e 『新英和大辞典』第 6 版
  11. ^ a b c 『広辞苑』第五版
  12. ^ “優角”, 大辞林 (2 ed.), 三省堂, http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%CD%A5%B3%D1&kind=jn&mode=1&kwassist=0 2008年6月20日閲覧。 
  13. ^ “劣角”, 大辞林 (2 ed.), 三省堂, http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%CE%F4%B3%D1&kind=jn&mode=1&kwassist=0 2008年6月20日閲覧。 
  14. ^ 『大辞泉』
  15. ^ a b 『エウクレイデス全集』第1巻
  16. ^ 中村『ユークリッド原論』
  17. ^ ユークリッド原論のサイト群より。外部リンク参照。
  18. ^ 『岩波数学入門辞典』
  19. ^ 『日本語大辞典』
  20. ^ アルトマン 2002, p. 16。
  21. ^ 『オックスフォード現代英英辞典』第 7 版
  22. ^ 計量単位令 別表第1、項番8
  23. ^ 計量単位令 別表第6、項番6
  24. ^ Wolfram mathworld より。外部リンク参照。
  25. ^ 『科学技術45万語英対訳大辞典』
  26. ^ 計量単位規則 別表第2、「角度」の欄
  27. ^ 計量単位規則 別表第4、「航海又は航空に係る角度の計量」の欄






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