西武ドーム 西武ドームの概要

西武ドーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/07/12 09:46 UTC 版)

西武ドーム
Seibu Dome
西武ドーム(2007年)
施設データ
所在地 埼玉県所沢市大字上山口2135番地
座標 北緯35度46分6.6秒
東経139度25分13.8秒
座標: 北緯35度46分6.6秒 東経139度25分13.8秒
起工 1978年6月
開場

1979年4月14日

(ドーム化1999年3月18日)
所有者 西武鉄道
管理・運用者 西武レクリエーション
グラウンド 透水性人工芝
ダグアウト ホーム - 3塁側
ビジター - 1塁側
照明 照度 - バッテリー間:2500ルクス
     内野:2000ルクス
     外野:1500ルクス
設計者 早稲田大学池原研究室(球場建設)、
石山建一(設計アドバイザー)、
鹿島建設(ドーム化工事)
建設者 西武建設、鹿島建設(ドーム化工事)
旧称 西武ライオンズ球場(開場 - 1997年)
インボイスSEIBUドーム(2005年3月1日 - 2006年12月31日)
グッドウィルドーム(2007年1月1日 - 2008年1月8日)
使用チーム • 開催試合
埼玉西武ライオンズ(開場 - 現在)
収容能力
33,921人(内野:25,213席、外野:4,607人、立見:4,061人)
グラウンドデータ
球場規模 グラウンド面積 - 12,631.29m²
両翼 - 100 m(約328.1 ft)
中堅 - 122 m(約400.3 ft)
左右中間 - 116 m(約380.1 ft)
フェンス 3.2 m(約10.5 ft)- 4.37 m(約14.3 ft)
ドーム外観
2007年セ・パ交流戦・横浜ベイスターズとの1回戦の様子

概要

埼玉県南西部の狭山丘陵に立地し、周囲を緑に囲まれたロケーションの中に位置している。平地にスタンドなどの構造物を建設するのではなく、丘陵地を掘り下げて構造物を設置する手法が用いられており、掘り下げ部の斜面を利用してスタンドが設けられている。掘り下げ式のため、観客は外野バックスクリーン後方の中央口から入場し、外野スタンド外周のスロープ状の通路を経由して、各座席へ誘導する動線が取られている。そのためバックネット周辺の座席へ向かうにはスタンドを概ね半周することになるが、ネット裏のボックスシートを利用する観客には専用の出入口が別途設置されている。

1997年1998年のそれぞれオフ期間に2箇年を掛けて工事を実施し、球場全体に屋根が架設された。だが他のドーム球場と違って壁面を設けず、スタンドと屋根の間の全周をフルオープンとして通気性を高めた構造を採用しており、自然の空気を取り込めることから空調設備はない。屋根は外周部がドーナツ状の金属製で、中心部には鉄骨で組まれた総面積17,000m²に及ぶ一重のテフロン膜が張られており、自然光を取り入れることができる。現存するドーム球場の中で最も低コストで造られ、最も環境に配慮した球場として、西武グループでは「自然環境共存型スタジアム」としてPRを行っている。また狭山丘陵の豊かな自然を活かした部分などが評価され、埼玉県が優れた景観の建造物等を表彰する「彩の国景観賞」を1999年に受賞している。屋根は柱で支えられているが壁面が無いため、日本で唯一「場外ホームランの出るドーム球場」である。2001年から2007年までライオンズに所属していたアレックス・カブレラは、しばしば場外弾を打っていた。また天候条件によっては上段の客席まで雨が吹き込んでくることもある。

内陸の狭山丘陵に位置する立地条件から春先や秋口のナイトゲームは寒く、夏場はナイトゲームでも蒸し暑い。更に空調が無く全て自然通気のみに依存する方式のドーム化により、通気条件が低下したことでその傾向はより顕著となり、春先や秋口、降雨時などには防寒対策が、夏場には熱中症対策が必要になる。そのため他の全天候型のドームと異なり、夏場のデーゲーム開催を行っていない。また強制的に換気を行う設備も設けられていないことから、降水時には湿気がこもり時にはフィールド内にが立ち込。またデーゲーム時の夕方などには日が差し込むことになる。

こうした事から場内で販売される飲食物の売り上げ傾向にも特徴があり、寒い時期には球場では定番のビールをはじめジュースアイスクリームなど冷たい物の売り上げが落ち、逆に甘酒おしるこホットコーヒーなどの暖かい物が良く売れる。一方、蒸し暑い夏季(7月 - 8月)には球場内が蒸し風呂状態になるため、冷たい物が良く売れる。なお当地の名産である狭山茶が夏はアイスで、冬はホットで通年売られている。柄の着物に赤いたすき、手ぬぐいの茶摘娘の衣装による売り子販売もあってか西武ドームの名物の一つである。

その一方で分煙対策の上では問題が残っており、ドームの屋根内には消防法上の規定により喫煙所を設置できないため、内外野共に屋根に覆われない部分に喫煙所を設置している。しかし喫煙室など空調を備えた別棟は設けておらず、露天のまま灰皿を設置しただけの簡素な形式であるため、風向きによってはタバコの煙が通路やスタンドに流れ込むこともあり、完全分煙化には至っていない。

2008年度までは他の多くの球場と同じく、1塁側ベンチをホームチーム用としていたが、2009年度からは球団事務所、練習場、合宿所等の諸施設に近い3塁側をホーム用として使用している。プロ野球で3塁側をホームとするのは札幌ドーム楽天Koboスタジアム宮城に続き3例目である。この他、西武が主催公式戦を開催する埼玉県営大宮公園野球場も3塁側をホームとしている(なお、これ以外の球場ではどちら側をホームとするかに関して明確な決まりはないが2013年シーズン終了現在で埼玉県外での主催試合において3塁側をホームベンチにした例はない)。このベンチ変更に関し、元西武の選手で球団職員の高木大成は、前述のように各種施設が3塁側寄りに集中していることや、観客の入退場時の動線を確保する点、各種店舗・設備が1塁側より充実している点などライオンズファンに対するサービス改善に加え、3塁側ベンチ裏に西武の選手用サブロッカールームを新設することが主な目的だった旨を説明している。西武のメインロッカールームはバックネット裏上段の棟内に設けられているためベンチから遠く、選手からもベンチ裏にロッカールームの設置を求める要望がかねてから寄せられていたものの、スタンドの構造上の問題で一塁側ベンチ付近はスペースの確保が困難なことから、構造的に余裕があった三塁側ベンチに各種設備を設けることになった[1]

2005年3月1日より球場名の命名権(ネーミングライツ)を売却していたが、契約解除により2008年1月9日からは再び西武ドームを正式呼称としている(命名権に関する詳細は後述)。

2010年シーズンよりスタジアムDJがスタメン発表以後大部分のアナウンスをするようになっていたが、2013年シーズンからは、正式にビジターチームの選手紹介や注意喚起などは女性がアナウンスしている。

歴史

建設

屋根のない開業当時の原型を残す「西武ライオンズ球場」
1993年日本シリーズ第1戦
架設されたドームの屋根

元々は1963年に竣工した「西武園球場」[2]という小規模な球場で、アマチュア野球を中心に使用され、プロ野球の二軍戦であるイースタン・リーグの試合もごく少数行なわれていた。その後、プロ野球開催可能な貸し球場として1978年6月、改築工事に着手。その最中、国土計画がクラウンライターライオンズを買収、西武ライオンズと改称し、新球場を同球団の本拠地として使用することを決定。屋外球場西武ライオンズ球場として1979年に開業した。こけら落としとなる初めての公式戦では前内閣総理大臣で、堤義明オーナーの媒酌人でもあった福田赳夫始球式を務めた。

なお、西武園球場時代と現在ではフィールドの向きが反対であったが、この位置関係の逆転は設計アドバイザーを務めた石山建一(当時国土計画勤務で早稲田大学野球部監督でもあった)の提言によるものであった[3]。以下は空撮写真による比較。

ドーム化

1999年に日本で5つ目のドーム球場として生まれ変わった。既存施設に後からドームの屋根を架設するという異例の建設方式によって作られたが、西武球場自体は当初から将来を見据えドームが架けられるように設計されていた[3]1998年に観客席部分にステンレスの金属屋根がついた第1次工事完了時に西武ドームと改称。ただしこの年はグラウンド部分がまだ屋根で覆われていなかったため、“ドーム”と名乗っていながら雨天で試合中止となったケースが何度もあった。(なおこの年の西武“ドーム”球場は、エルニーニョ現象による多雨のため、本拠地球場の雨天中止のプロ野球記録を作っている。)同年シーズン終了後、グラウンド部分の膜屋根取り付け工事が行われ、翌1999年からは完全なドームの形状となった。なお、この工事に伴いグラウンドも従来の両翼95m・中堅120mから、それぞれ100m・122mに拡張された。ドーム化後の第1号ホームランは1999年3月20日の対巨人オープン戦で巨人の松井秀喜が記録している。

これにより“雨天”による試合中止はなくなったが、台風等があった場合に選手・観客の安全面を考慮したり、交通機関の運休により試合を中止することがある。実際に2004年10月20日に予定されていた日本シリーズ西武ライオンズ中日ドラゴンズの第4戦が台風の影響で中止、1日順延となっている。ドーム球場での日本シリーズ試合中止はこの時が初めてだった(1998年の横浜ベイスターズとの日本シリーズでも第3戦が雨天中止で1日順延となったが、この時はまだ屋根部分の工事が完成していなかった)。

2007年 - 2008年の大改修

人工芝の張替、フィールドシート、テラスシート、中段レストランの設置など新装なったドームの様子

ドーム化こそされたものの、観客向けの設備は開場以来、抜本的な改修が行われてこなかった。掘り下げ式スタンドのために、売店やトイレなどは全てスタンド最上段の通路沿いに集中して設けられており、スタンド内部にはこうした設備が一切設置されていなかった。そのため観客が各種設備を利用するには階段の上り下りが必要で、バリアフリー対策の立ち遅れが長年指摘され続けてきた。他球団の本拠地では新球場が建設された他、既存球場でも新たな設備が相次いで整備され、それぞれ特色を活かした誘客策を導入しているのに比べ、西武球団の対応は遅れ観客動員数も伸び悩んでいた。

そんな中、西武球団はコンプライアンスや地域密着型の球団経営の理念などを掲げた「西武ライオンズ憲章」を2007年8月26日に制定。その中で球場施設について“スタジアムを快適な「感動空間」へと創造します”と定めた。これに従って施設改修に本格的に着手することが決まり、同年オフから大規模な改修工事を開始した。なお結局、同年の年間観客動員数はチーム成績の低迷もあり、12球団ワーストという結果に終わっている。改修の内容は以下の通りである(細部に関しては後述)。第一期改修後の2008年シーズンはチームの好調もあって前年比29.3%増という観客動員の大幅な伸びを記録することに成功した。

第1期工事

2008年3月までに、スコアボードの全面フルカラー化や新型人工芝「アストロステージMJ」への張替え、ラバーフェンスの変更が行われ、また観客が使用するトイレもリニューアルされた。音響設備も新型の中型ラインアレイスピーカーに改められ、遠くまでクリアな音が聞こえるようになっている。総工費は13億円。また第2期工事でのフィールドシート設置の準備としてファウルエリアとブルペンが改修されている。

第2期工事

続いて、2008年11月中旬から第2期工事に着工した。内野スタンドの一部を開削して、中段内部にレストラン、売店、トイレ、授乳室が設置された。またエレベーターを設置するなどバリアフリー化も図られている。テラスシートやフィールドシートも設置された。この第2期工事は総工費17億円をかけて行われた[4]。翌2009年3月27日に行われた巨人とのオープン戦で改修後の球場が初披露されたが、フィールドシートとテラスシートの供用は4月7日のレギュラーシーズン本拠地開幕以後となった。

この第2期工事に先行して、前述の各種設備等の増設に向けた準備工事が同年5月下旬から行われ、内野スタンドのうち1、3塁側上段部分の一部(内野指定B席約2,400席分)を閉鎖して盛り土部分を開削した。これに伴って同年5月31日セ・パ交流戦・対中日ドラゴンズ戦から同年シーズン終了までの間、工事を実施している箇所のチケットは発券されなかった。




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  1. ^ 高木が「埼玉西武ライオンズTV」(J:COMコミュニティーチャンネル)出演の際に説明した旨を要約。
  2. ^ 出典・「ライオンズ60年史」 ベースボール・マガジン社
  3. ^ a b c 静中・静高関東同窓会・お知らせ 15.第30回関東同窓会総会・懇親会開催 (2004.7.9)
  4. ^ 西武ドーム 第2期改修工事について
  5. ^ 衝撃吸収材Skydexウォールパッド(三英)
  6. ^ 西武ドーム 第1期改修工事完了について
  7. ^ 2005年シーズン後半、体調を崩していたオリックス・バファローズ監督の仰木彬はダッグアウト裏の階段を自力で登ることができなくなり、やむを得ず中堅の搬入口から徒歩とタクシーで出入りしていたという。
  8. ^ かつて存在した阪急西宮スタジアム藤井寺球場にも合宿所・屋内練習場が併設されており、西宮にはサブグラウンドもあった
  9. ^ 地下鉄直通列車は普段清瀬行きなど途中駅止まりのものが延長運転する形をとっている。復路も同様。







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