義務教育 韓国における義務教育

義務教育

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 08:20 UTC 版)

義務教育(ぎむきょういく、: compulsory education)とは、が国民に対して教育を受ける、受けさせることを義務付けることである[1]アメリカ独立期やフランス革命期に形成された近代公教育思想に淵源を持っており、欧米では生存権の一環として教育を受ける権利運動が展開された[1]。日本では日本国憲法第26条国民教育を受ける権利(学習権)を定めており、これを保障するために教育を受けさせることが義務づけられる[1]


注釈

  1. ^ 4年制の尋常小学校の場合、第3学年修了で義務教育終了とみなされたかどうかは不明である。
  2. ^ 明治時代から大正昭和時代前期における義務教育の範囲は実質的に初等教育尋常小学校から後に学校種を国民学校に改組)のみであった。1941年までは義務教育の始期は一定年齢での定めであったが(ただしそれより前後して就学した例は多い)、義務教育の終期は「尋常小学校の修了と、14歳になることの、どちらか早い方まで」と、課程主義と年齢主義の併用で定められていた。この時点では学齢期と義務教育期は別個のものである。当時の義務教育期間について、尋常小学校の当時の修業年限に基づいて「4年間」や「6年間」と固定的なものであるかのような書き方をしている情報源もあるが、実際には課程主義を併用していたことから、「4年間~8年間」、「6年間~8年間」とすべきである。例えば小学校を6年間で修了した場合、まだ14歳になっていなくても義務教育は終わるが、8年かかっても修了できない場合、14歳までが義務教育期間ということになる。文部省の公的文書である「s:課程の修了又は卒業の認定等について」においても、「義務教育年限が満一二歳までであった当時に義務教育を終え」のように、義務教育期間の終期が12歳である時期があったかのような描写も存在するが、実際には尋常小学校の修了の時期によって終期は変動する(なお学齢の終期が12歳であった時期はない)。
  3. ^ なお、学齢期を超過した者であっても、各教育委員会の判断において、新たに入学・編入学を許可することは禁止されていない。

出典

  1. ^ a b c 第2版,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,百科事典マイペディア,精選版 日本国語大辞典,旺文社日本史事典 三訂版,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “義務教育とは”. コトバンク. 2021年8月14日閲覧。
  2. ^ a b マット・リドレー『進化は万能である: 人類・テクノロジー・宇宙の未来』大田 直子, 鍛原 多惠子, 柴田 裕之, 吉田 三知世訳 早川書房 2016 ISBN 9784152096371 pp.233-235.
  3. ^ 米国での初等・中等教育の垂直的編制における一般教育と職業教育との関連問題 31ページ 2010年8月1日閲覧。
  4. ^ a b 桑原敏明・真野宮雄『教育権と教育制度』、第一法規出版
  5. ^ 混同している例:『「教育」の常識・非常識―公教育と私教育を巡って(早稲田教育叢書)』 安彦忠彦 112ページ - 『現代教育制度論』 熊谷一乗 80ページ - 両書ともアマゾンのなか見検索で閲覧可能。
  6. ^ 各国の義務教育年限
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar 学校制度(学制)-諸外国との比較”. 教育再生会議 (2013年11月26日). 2017年9月1日閲覧。
  8. ^ a b c d 井上和幸、佐野茂、広岡義之 編『教育学基本マニュアル改訂版』創言社、2001年、83頁
  9. ^ a b c d e 藤井穂高「フランスにおける義務教育の問題構成 : 1998年の義務教育法改正を素材として」『比較教育学研究』第2001巻第27号、日本比較教育学会、2001年、159-177頁、CRID 1390001205360038656doi:10.5998/jces.2001.159ISSN 0916-6785 
  10. ^ 日本国憲法第26条には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と、子どもに教育を「受けさせる」と規定。教育を受ける権利
  11. ^ a b 井上和幸、佐野茂、広岡義之 編『教育学基本マニュアル改訂版』創言社、2001年、85頁
  12. ^ 義務教育を3歳から、その狙いは? フランスの教育大臣に聞いた”. globe.asahi.com. GLOBE+ (2019年7月5日). 2020年1月8日閲覧。
  13. ^ 『国際化と義務教育』全国海外教育事情研究会、2008年3月31日 2008、95,97頁。 
  14. ^ 中央教育審議会 (2005年1月). “各国の義務教育制度の概要”. 新しい時代の義務教育を創造する(答申). 文部科学省. 2020年9月25日閲覧。
  15. ^ 編集部「国外脱出を迫られる「ホームスクーリング」の家族」『週刊金曜日』第699号、金曜日、2008年4月。 
  16. ^ 中村豊久「複線型教育の必要性」『工学教育』第43巻第6号、日本工学教育協会、1995年、20-25頁、CRID 1390001204493760640doi:10.4307/jsee.43.6_20ISSN 1341-2167 
  17. ^ 井上和幸、佐野茂、広岡義之 編『教育学基本マニュアル改訂版』創言社、2001年、86頁
  18. ^ 外務省 (2017年11月). “諸外国・地域の学校情報”. 外務省. 2019年12月6日閲覧。
  19. ^ 『国際化と義務教育』全国海外教育事情研究会、2008年3月31日 2008、119,120頁。 
  20. ^ 『世界の学校』学事出版株式会社、2014年1月10日 2014、199頁。 
  21. ^ 学校教育法 第16条、第17条
  22. ^ 学校教育法 第144条
  23. ^ 学校教育法施行令
    第20条 小学校、中学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き7日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならない。

    (教育委員会の行う出席の督促等)
    第21条 市町村の教育委員会は、前条の通知を受けたときその他当該市町村に住所を有する学齢児童又は学齢生徒の保護者が法第17条第1項又は第2項に規定する義務を怠つていると認められるときは、その保護者に対して、当該学齢児童又は学齢生徒の出席を督促しなければならない。
  24. ^ 学校教育法 第18条
  25. ^ 茶谷[2013:44]
  26. ^ 二年延長八年制に - 平生文相の腹案『東京朝日新聞』昭和10年6月9日、義務教育延長案に内閣調査室は反対『東京朝日新聞』昭和11年7月16日(『昭和ニュース事典第5巻 昭和10年-昭和11年』本編p144 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  27. ^ 沖縄夜間中学にも不況の波:珊瑚舎スコーレの動画においては、アナウンサーが自主夜間中学に対してこれは義務教育であるとしている。
  28. ^ 教育基本法第5条第4項「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。」
  29. ^ 学校教育法第6条「学校においては、授業料を徴収することができる。ただし、国立又は公立の小学校及び中学校、これらに準ずる盲学校、聾学校及び養護学校又は中等教育学校の前期課程における義務教育については、これを徴収することができない。」
  30. ^ 義務教育教科書費国庫負担請求訴訟事件 最大判昭和39年2月26日
  31. ^ 1882年フランス初等教育義務法第4条。1959年フランス義務教育延長法
  32. ^ 京都市内の公立中学校・不登校の在日4世を退学に 母子で国賠訴訟[リンク切れ](民団新聞)
  33. ^ 在日外国人の義務教育・中学校退学事件、国家賠償請求 JANJAN
  34. ^ 勝訴!在日コリアン4世中学生不就学裁判【大橋】
    「原告Aは、2度目の退学届の受理に際して、HN校長から、退学と転学の違い及び退学によって原告Aが被る不利益について説明を受けなかった結果、指導要録の引継ぎや卒業認定の問題等、退学によって被る不利益について十分に検討することができず、原告母による退学届の提出に対して主体的に関与することができなかったことにより精神的苦痛を被ったと認められる。」(中略)「以上の諸規定、通達等及び原告Aが現に近衛中学校に在籍していたことなどからすると、憲法26条の規定する教育を受ける権利が外国人に及ぶかどうかという問題は措くとしても、原告Aは、引き続き近衛中学校に在籍し続け、あるいは、転学に当たっては指導要録等の引継ぎを受けるなどして、卒業の際には卒業認定を受けるべき法的利益を有していたと認めるのが相当である。」
  35. ^ 日本放送協会 (2022年6月24日). “【詳しく】最終学歴“小卒”80万人 50代以下も2万人 なぜ? | NHK”. NHKニュース. 2023年6月15日閲覧。
  36. ^ 児童手当法 - 「義務教育終了前の児童(十五歳に達した日の属する学年の末日以前の児童をいい、同日以後引き続いて中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学する児童を含む。以下同じ。)」
  37. ^ https://www.chinaeducenter.com/en/cedu.php






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