緑魔子 緑魔子の概要

緑魔子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/10 14:27 UTC 版)

みどり まこ
緑 魔子
本名 石橋 良子(旧姓:小島)
生年月日 1944年3月26日(72歳)
出生地 日本の旗日本台湾台北市
ジャンル 俳優歌手
活動内容 映画演劇テレビドラマなど
配偶者 石橋蓮司
主な作品
テレビドラマ
夢千代日記
映画
二匹の牝犬
夜の青春シリーズ
盲獣
受賞
第15回ブルーリボン賞新人賞
第20回紀伊國屋演劇賞
第21回日本映画プロフェッショナル大賞功労賞

来歴・人物

日本統治時代台湾台北市に生まれ[1][2]宮崎県児湯郡高鍋町で育つ[2]

家計は貧しく、高校へも中学生の家庭教師のアルバイトをしながら通った[3]宮崎県立宮崎大宮高等学校卒業後に上京[2]

この時代には珍しく英語が流暢に話せ[3][4]、全日本の弁論大会で優勝したこともあり、本来は大学に進学して英語を活かした仕事に就きたかったが、お金がなくて大学に行けなかったという[1]

家政婦バーホステスなど、幾つかの仕事に就いた後、女優を目指すことにし[3]、本名でNHK演技研究所に在籍[1][2]。その後東宝ニューフェイスとして6ヶ月の研修期間が終わり、東宝のテレビ部にいたとき[1]東映映画二匹の牝犬』のヒロインを探していた同映画の監督・渡邊祐介がNETテレビ(現テレビ朝日)にタレントの写真をもらいにいった際に、ディレクターの机上にあった緑の写真を見て、イメージに近いとカメラテストを経て『二匹の牝犬』に抜擢される[1]芸名は渡邊と岡田茂(のち、東映社長)に「映画の役のイメージと"緑という新鮮な色の魔性を秘めた女"」という意味で命名された[1](本名が平凡なので、この芸名にはビックリした、という)[1]。「そのまま本名で出ていたら、全然違った女優になっていたかもしれない」とも話している[1]。『二匹の牝犬』で文学座小川真由美と共演[5][6]。文学座の俳優がユニット出演したことで知られる同作品に於いて[1]、岡田は演技が素人同然の緑の起用に反対したといわれるが[3]、勤勉な緑は先輩俳優の芝居を盗んで独自の演技力を身につけた[3]。大胆なヌードも披露し映画も大ヒット[4]。慌てたスタッフがバスタオルを投げて「前を隠せ」と命令したという逸話も残す[3]。『悪女』を経て同年『牝』で初主演[2]。強烈なオーラをスクリーンで放ち[2][3]、同年のブルーリボン賞新人賞を受賞した[2]。時代的に鶴田浩二高倉健主演のカラー任侠映画梅宮辰夫と緑主演のモノクロ映画夜の青春シリーズ』の二本立てでよく当たった[1][2][3]。渡邊監督が緑にすっかり惚れ込んだが[3][4]『夜の青春シリーズ』の『かも』(1965年)で共演した石橋蓮司と長く同棲した後1979年に入籍している[1][2][7]。緑は専属女優として27本もの東映のプログラムピクチャーに出演した[8]。しかし自身は、ゴダールアンナ・カリーナなどのヌーヴェルヴァーグが大好きで[1]『夜の青春シリーズ』みたいな映画ばかりやらされて我慢が限界になり[1]岡田茂に「私はこういうのやりたくないんです」と訴えたら、「そんなことじゃ映画界ではやっていけないんだから、もう東映を出て映画館の切符売りにでも何でもなっちまえ!」と言われ「いいです!切符売りになります!」と言い返し、東映を1968年クビになる[1](この背景には当時第二のマコとも評された大原麗子が順調に成長し、緑の役目がもう終わったと見られていたとされる[3])。「儲けるためなら芸術性も娯楽性も平然と犠牲にする製作方針。脱ぐ必要も無いのに、ただもうやたらに脱がせれば良いという卑しさ、次元の低さに失望した」と岡田の作る東映のプログラムピクチャーを批判している[3]

フリーとなり、増村保造監督の『大悪党』、森雅之主演・谷口千吉監督の『カモとねぎ』、大島渚監督の『帰って来たヨッパライ』、市川雷蔵主演『眠狂四郎 人肌蜘蛛』、山田洋次監督の『吹けば飛ぶよな男だが』、そして1969年の『盲獣』など[6][9]、巨匠監督から引っ張りだこになり、大スターとも共演した(自身曰く「人生の充実期」を迎える[1])。

か細い肢体と大粒な瞳、独特の小悪魔的な甘い声と存在感で[6]1960年代から70年代にかけて数々の個性的な役柄を演じ、同じく「小悪魔路線」の加賀まりこと人気を分け合った。梅宮辰夫は「現代の愛の不毛を表現できる女優は彼女以外にはいない」と評価[3]

虚ろな表情・倦怠的な雰囲気は70年代の若者の気分を先取りするもので[3]桃井かおり烏丸せつこら「無気力演技派女優」のルーツとも評される[3]

1960年代後半からアングラヌードに傾倒し、1968年にヌード詩集『悪の華』で芸術路線を開拓[3]1970年以降は、佐藤信が主宰する演劇センター68/71(通称:黒テント)にも出演[3]

1976年に俳優の石橋蓮司と劇団「第七病棟」を立ち上げ、アングラ演劇のスターとして活躍、映画出演は数年に一本のペースとなった[3]。「第七病棟」では使われなくなった建物を劇場に改造して、唐十郎山崎哲の作品を緑の主演、石橋の演出で上演している[2]

石橋とは長らく同棲生活を送り、1979年に2人の間に生まれた一人娘の小学校進学に合わせて入籍した[2][7]2012年現在は別居しているが、不仲によるものではないという[10][11]

出演作品

テレビドラマ

  • 廃虚の唇(1964年、NET
  • 国際事件記者(1965年、TBS
  • 泣いてたまるか 第11話「先輩後輩」(1966年、TBS)
  • 恋人たち 第12話「おせっかいはやめて」(1966年、NET)
  • マコ!愛してるゥ(1967年、TBS)
  • 愛妻くん こんばんは 第4話「離婚代理人」(1967年、TBS)
  • ローンウルフ 一匹狼 第14話「拳銃のバラード」(1968年、NTV
  • 大奥 第40話「陽気な新参者」~第42話「江戸っ娘 繁昌記」(1968年、KTV) - おゆき
  • ザ・ガードマン(TBS / 大映テレビ室
    • 第196話「花嫁の夫は死人」(1969年)
    • 第200話「殺人者に明日はない」(1969年)
    • 第208話「逃亡のアムステルダム」(1969年)
    • 第256話「アムステルダム空港の女」(1970年)
    • 第261話「モロッコの真赤な太陽」(1970年)
    • 第274話「妻の浮気は死を招く」(1970年)
    • 第279話「未亡人に招かれた男」(1970年)
    • 第281話「団地奥さんヌードの悲劇」(1970年)
    • 第295話「女の出世は結婚サ!」(1971年)
    • 第312話「女と男のズッコケ自動車レース」(1971年)
    • 第317話「恋人を殺して姉弟心中」(1971年)
    • 第337話「奥さんがよろめく時殺人が起る」(1971年)
    • 第339話「追い出された花嫁は復讐する」(1971年) - 川辺ユキ
    • 第344話「煙突の上で無理心中したヌードの美女」(1971年)
  • 妻ヲメトラバ(1969年、TBS) - ユキ子
  • プレイガール(1969年、12ch) - 一條マコ
  • 花は花よめ 第1・第2シリーズ(1971年 - 1973年、NTV) - 千代菊
  • 木枯し紋次郎 第2シーズン 第4話「地獄を嗤う日光路」(1972年、CX) - お鶴
  • シークレット部隊 第12話「傷だらけの美女が告白する」(1972年、TBS)
  • 眠狂四郎 第19話「魔性の女に男が哭く」(1973年、KTV)
  • 恐怖劇場アンバランス 第4話「仮面の墓場」(1973年、CX) - 聖ヨーコ
  • 子連れ狼 第1部 第18話「首斬り朝右衛門」(1973年、NTV) - 外山真弓
  • 赤ひげ 第47話「ひぐらし」(1973年、NHK) - およう
  • 大江戸捜査網 第119話「大江戸残酷秘話」(1973年、12ch) - お雪
  • それぞれの秋(1973年、TBS)
  • 助け人走る 第13話「生活大破滅」(1974年、ABC) - みすず
  • ぶらり信兵衛 道場破り 第23話「意地豆腐」(1974年、CX) - おすぎ
  • アイフル大作戦 第53話「ストッキングをかぶった男」(1974年、TBS) - 藤堂律子
  • 荒野の素浪人 第2シーズン 第17話「遊女狂乱」(1974年、NET) - おふじ
  • 新宿さすらい節(1974年、TBS)
  • 傷だらけの天使 第2話「悪女にトラック一杯の幸せを」(1974年、NTV) - 柴田ケイコ
  • 夜明けの刑事 (TBS)
    • 第11話「二人の妻を持つ夫」(1974年)
    • 第52話「哀しみの蒸気機関車はふるさとを走る!!」(1975年) - 大木晴美
    • 第82話「裏切りの烙印に賭ける!!」(1976年)
  • バーディー大作戦 第41話「全員! 覗き盗聴開始!」(1975年、TBS)
  • 長崎犯科帳 第7話「闇奉行はよか男」(1975年、NTV) - お亀
  • ふりむくな鶴吉 第31話「お吉 火事場くどき」(1975年、NHK) - お吉
  • 影同心 第17話「二つ枕の殺し節」(1975年、MBS) - 千勢
  • 剣と風と子守唄 第26話「壊滅! 恩讐の里」(1975年、NTV) - 小夜
  • Gメン'75(TBS)
    • 第23話「車椅子の女刑事」(1975年) - 影山和子
    • 第29話「死刑結婚式」(1975年) - 飯島かよ
    • 第64話「逃亡刑事」(1976年) - 折原道代
    • 第117話「日本降伏32年目の殺人」(1977年) - 江上トシ子
    • 第125話「ウソ発見器」(1977年) - 西沢昌枝
  • 新宿警察 第13話「新宿マリーの恨み節」(1975年、CX) - マリ子(赤毛のマリー)
  • 一年半待て(1976年、NTV)
  • お耳役秘帳 第19話「呪いのわら人形」(1976年、KTV) - こま
  • 新・必殺仕置人 第28話「妖刀無用」(1977年、ABC) - 登勢
  • 土曜ドラマ 鎌田敏夫シリーズ / 十字路 第一部第1話「北海道編 家族」(1978年、NHK) - 高木千津
  • 東京メグレ警視シリーズ 第6話「警視とモンマルトルの女」(1978年、ABC)
  • 大追跡 第8話「必死の追走」(1978年、NTV) - 片桐ゆう子
  • 江戸の渦潮 第13話「復讐に燃えた女」(1978年、CX) - おとき
  • 西遊記 第18話「バッタ女王・消えた幻の湖」(1979年、NTV) - バッタ女王
  • 銀河テレビ小説 / 冬の虹(1979年、NHK)
  • 俺たちは天使だ! 第5話「運が悪けりゃ女にモテる」(1979年、NTV) - 竜吉礼子
  • 明日の刑事 第73話「東京-八丈島 子を捨てた母の謎」(1979年、TBS)
  • 七人の刑事 第56話「父ちゃんからの手紙」(1979年、TBS)
  • 特捜最前線 第115話「チリアーノを歌う悪女!」(1979年、ANB) - 城信子
  • 探偵物語 第1話「聖女が街にやってきた」(1979年、NTV) - 西南女学園シスター・小村冬子
  • 新・江戸の旋風 第25話「ひと恋い橋」(1980年、CX) - およう
  • 母系家族(1980年、CX)
  • 探偵同盟 第1話「初めまして事件です」(1981年、CX)
  • プロハンター 第7話「悪魔のソナタ」(1981年、NTV)
  • 夢千代日記シリーズ(1981年、NHK) - アサ子
  • 木曜ゴールデンドラマ / 死の彼方までも(1983年、YTV
  • ドラマ人間模様 / まあええわいな(1983年、NHK)
  • 東芝日曜劇場 / 何も変った事はありません…(1984年、CBC
  • 水曜グランドロマン / ネコババの女(1989年、NTV)
  • 現代推理サスペンス / 健康のための殺意(1991年、KTV)
  • 土曜ワイド劇場 / 三毛猫ホームズの黄昏ホテル(1998年、ANB) - 金倉エリ子
  • 夏少女ウメ子 女の子にだって、夏の冒険はある(2001年、BS-i
  • 大河ドラマ / 風林火山(2007年、NHK) - おふく
  • 週刊真木よう子 第11話「魔女がアタシを」(2008年、TX) - 大山タエ
  • 土曜ドラマスペシャル / キルトの家(2012年、NHK) - 伊吹清子
  • ヒトリシズカ 最終話(2012年、WOWOW) - 浜西タツ

映画

舞台

  • おんなごろしあぶらの地獄(1969年、自由劇場 作・演出:佐藤信
  • 二月とキネマ(1972年、68/71黒色テント 作・演出:佐藤信)
  • 盲導犬(1973年、櫻社 作:唐十郎 演出:蜷川幸雄
  • ハーメルンの鼠(1976年、第七病棟 作:唐十郎 演出:佐藤信)
  • 河原ものがたり(1978年、結城座 作・演出:斎藤憐
  • 秘密の花園(1982年、本多劇場 作:唐十郎 演出:小林勝也
  • おとことおんなの午后(1983年、第七病棟 作:山崎哲 演出:石橋蓮司)
  • ビニールの城(1985年、第七病棟 作:唐十郎 演出:石橋蓮司)
  • 湯気の中のナウシカ(1987年、第七病棟 作:山崎哲 演出:石橋蓮司)
  • さすらいのジェニー(1988年、唐組 作・演出:唐十郎)
  • 羊たちの沈黙(1990年、第七病棟 作:山崎哲 演出:石橋蓮司)
  • オルゴールの墓(1992年、第七病棟 作:唐十郎 演出:石橋蓮司)
  • トップガールズ(1992年、メジャーリーグ 作:キャリル・チャーチル 演出:レズ・ウォーターズ)
  • ガラスの動物園(1993年、メジャーリーグ 作:テネシー・ウィリアムズ 演出:マイケル・ブルーム)
  • 思い出せない夢のいくつか(1994年、青年団プロデュース 作・演出:平田オリザ
  • ゴドーを待ちながら(1994年、銀座セゾン劇場 作:サミュエル・ベケット 演出:蜷川幸雄)
  • 人さらい(1995年、第七病棟 作:唐十郎 演出:石橋蓮司)
  • ガラスの動物園(1997年、メジャーリーグ 作:テネシー・ウィリアムズ 演出:鴨下信一
  • 雨の塔(2000年、第七病棟 作:唐十郎 演出:石橋蓮司)
  • あかい壁の家(2013年、オフィス三○○ 作・演出:渡辺えり

ラジオドラマ

  • 二分割幽霊奇譚(1985年、NHK-FM『ふたりの部屋』) - あずまくらこ



  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 「映画女優 緑魔子の時代【前編】 緑魔子インタビュー」、『映画秘宝』、洋泉社、2009年6月、 76-77頁。「映画女優 緑魔子の時代【後編】 緑魔子インタビュー」、『映画秘宝』、洋泉社、2009年7月、 78-79頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 『日本映画俳優全集・女優編』 キネマ旬報社1980年、652頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『悪趣味邦画劇場〈映画秘宝2〉』 洋泉社、1995年、257-258頁。ISBN 978-4-89691-170-1
  4. ^ a b c 岡田茂 『波瀾万丈の映画人生 岡田茂自伝』 角川書店2004年、158-159頁。ISBN 4-04-883871-7
  5. ^ 悪女礼讃 ~スクリーンの妖花たち|作品解説1/ラピュタ阿佐ケ谷
  6. ^ a b c 緑魔子伝説 - ラピュタ阿佐ヶ谷INTRO | 特集上映『緑魔子伝説』
  7. ^ a b 日刊ゲンダイ|石橋蓮司 緑魔子 飛んでる2人の「未婚の母」騒動
  8. ^ 『歌謡曲番外地 Vol.1』 シンコーミュージック・エンタテイメント2007年、114頁。ISBN 978-4-401-75112-9
  9. ^ La PASSIONE 増村保造×白坂依志夫の仕事/ラピュタ阿佐ケ谷
  10. ^ 日刊スポーツ紙 2012年10月2日掲載 石橋蓮司インタビュー。
  11. ^ 石橋蓮司 30代女性と半同居報道!緑魔子との離婚は否定


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