知識 知識と科学

知識

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/05/09 02:32 UTC 版)

知識と科学

フランシス・ベーコン(1561年 - 1626年)は知識獲得の方法の発展に重大な貢献をした。

認識論は知識とその獲得方法について考察する。フランシス・ベーコンは知識獲得の方法の発展に重大な貢献をした。著作で帰納的方法論を確立し一般化し、現代の科学的探究の礎となったのである。彼の金言「知識は力なり (knowledge is power)」はよく知られている(この金言は 彼の著書『Meditations Sacrae』(1957) に記されている[8])。

scientiaスキエンティアという言葉は元々は単に知識という意味でしかなく、ベーコンの時代でもそうであった。scientific method(scientific methodは元の意味では「知識に関する方法論」)が徐々に発展したことは、我々の知識についての理解に重要な寄与をした。さまざまな経緯を経て、知識の探究の方法は、観測可能で再現可能で測定可能な証拠を集め、それらに具体的な推論規則をあてはめていく形で行われなければならない[9]とされるようになった。現在では科学的方法(scientific method)は、観測実験によるデータ収集と、仮説の定式化と、検証から構成されている、とされている[10]。科学とは「計算された実験によって得られた事実に基づいて推論する際の論理的に完全な思考法」ともされる。そして、科学や科学的知識の性質というのも哲学の主題のひとつとされるようになった(科学哲学)。

科学の発達と共に、生物学や心理学から知識についての新たな考え方が生まれた。ジャン・ピアジェの発生的認識論である。

フロイト(1914年)

近年まで特に西洋では単純に、知識とは人間(および)が持てるもの、特に成人だけが持てるものだと見なされていた(東洋では必ずしもそうではなかった)。西洋では時には「コプト文化の持つ知識」といったように社会が知識を持つ、といった言い回しが無かったわけではないが、それは確立されたものではなかった。そしてまた西洋では、「無意識の」知識を体系的に扱うことはほとんどなかった。それが行われるようになったのは、フロイトがその手法を一般化した後である。

上記のような知識以外に「知識」が存在するといわれているものに、例えば生物学の領域では、「免疫系」と「遺伝コードのDNA」がある。(カール・ポパー(1975)[11]とTraill(2008)らが指摘している[12]

このような、生体システムが持つ知識までカバーするためには、「知識」という用語の新たな定義が必要とされるように見える。生物学者は、システムは意識を持つ必要はない、と考えるが、知識はシステムにおいて有効に利用可能でなければならない。すると、次のような基準が出てくる。

  • システムは一見して動的で自己組織的である(単なる本のようなものではない)。
  • 知識には、「外界 ※」についての何らかの表現、または外界を(直接または間接に)扱う方法が含まれていなければならない。(※ この「外界」には当の有機体の別のサブシステムも含まれる)
  • システムには有効に働く程度に素早く情報にアクセスする何らかの手段があるはずである。

注釈

  1. ^ ただし、プラトンはこれらの定義を十分に示してはいない。

出典

  1. ^ 『岩波哲学小事典』
  2. ^ Part Three, No. 1831”. Catechism of the Catholic Church. 2007年4月20日閲覧。
  3. ^ Q 2:115
  4. ^ Swami Krishnananda. “Chapter 7”. The Philosophy of the Panchadasi. The Divine Life Society. 2008年7月5日閲覧。
  5. ^ Kirkham, Richard L. Does the Gettier Problem Rest on a Mistake?
  6. ^ Ludwig Wittgenstein, On Certainty, remark 42
  7. ^ Gottschalk-Mazouz, N. (2008): „Internet and the flow of knowledge“, in: Hrachovec, H.; Pichler, A. (Hg.): Philosophy of the Information Society. Proceedings of the 30. International Ludwig Wittgenstein Symposium Kirchberg am Wechsel, Austria 2007. Volume 2, Frankfurt, Paris, Lancaster, New Brunswik: Ontos, S. 215-232. http://sammelpunkt.philo.at:8080/2022/1/Gottschalk-Mazouz.pdf
  8. ^ Sir Francis Bacon - Quotationspage.com”. 2009年7月8日閲覧。
  9. ^ "[4] Rules for the study of natural philosophy", Newton 1999, pp. 794-6, from the General Scholium, which follows Book 3, The System of the World.
  10. ^ scientific method, Merriam-Webster Dictionary.
  11. ^ 詳しくはPopper, K.R. (1975). "The rationality of scientific revolutions"; in Rom Harré (ed.), Problems of Scientific Revolution: Scientific Progress and Obstacles to Progress in the Sciences. Clarendon Press: Oxford.
  12. ^ Traill, Robert R. (2008) Thinking by Molecule, Synapse, or both? - From Piaget's Schema, to the Selecting/Editing of ncRNA: Table S, page 31の4つの "epistemological domains" の一覧を参照。また、それらからニールス・イェルネへの参照がある。


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