真空管 電源

真空管

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/08 20:34 UTC 版)

電源

真空管はその原理上、プレート、カソード間にどうしても高い直流電圧を必要とする。この高い電圧の直流を供給する電源のことをB電源という。一方、ヒーターなどには低い電圧を必要とする。この低い電圧の直流を供給する電源のことをA電源という。また、特に電力増幅用の終段管のグリッド電圧をカソードに対して負に保つために共有するバイアス用電源(カソードに抵抗器を入れた自己バイアス回路では不要)をC電源という。

A、Bと大別する電源の呼称は、回路上の直流電源系統分け、すなわち低圧をA系統、高圧をB系統とすることからきており、「ラジオ・ニュース[24]」誌1926年11月号において、既にその統一が見られる。なお、初期の真空管は全て直流電源により動作させるものであったが、後にそのヒーターについては、低圧の交流でもそのまま用いることのできる傍熱型に改良された真空管が登場し、広く交流により動作させるようになったことから、ヒーターを動作させるための低圧の交流もしくは直流を供給する電源のことを、ヒーター電源と別呼するようになった。なお真空管の欠点の一つには、ヒーター(フィラメント)の寿命や、特に電力増幅用真空管ではヒーター電流を多く必要とすることがあり、1970年代頃までの真空管を用いたアマチュア無線用無線機等に、機器全体を動作させる「POWER(電源)」とは別に「HEATER(ヒーター)」表示のある電源スイッチが設けられていたものがあったのはこのためである。

ラジオ放送が開始され、その初期の家庭用真空管受信機は、電灯の普及が十分でなかったことから、B電源用に多くの蓄電池や乾電池を直列につないで用いていた。その後まもなく交流配電の普及に伴い、電灯線から得られる電力を変圧器(トランス)により昇圧、機器内部で2極真空管により整流して用いることができるようになり、電灯線から電力を得る、固定して用いる機器でのB電源の問題は解決した。

しかしラジオ受信機などにおいては、その携帯可能なものが早くから望まれており、比較的低い電圧で動作する真空管が開発された。その後、携帯機器への使用のため、電池での使用を前提とした小型・省電力の「電池管」が開発され、これを用いた携帯機器が開発されると、そのB電源用として67.5Vや45Vの乾電池が使用されるようになった。これをB電池と呼んでいた。90年代までFDKが製造していたが、衰退に伴い日本国内からは姿を消した。日本国外ではエバレディ等では現在[いつ?]も生産されているが、日本国内での入手は困難でかつ高価である。現在[いつ?]アマチュアではトランジスタラジオ用の006P電池 (9V) や3Vのリチウム電池を複数個使用して代用しているのが散見される。学研の大人の科学ではB電池に006P電池を5個使用し45Vにしていた。A電池、C電池は1.5Vから6Vが多く、一般の単1型や単2型が使用されていた。

なお、この67.5Vという電圧であるが、電池管の規格とは別に、1926年にクライド・フィッチ[25]により発表された「battery coupled audio amplifier(バッテリー付き音響増幅器)」において、プレート用電源として67.5Vの電池使用の記載があることから、この頃から既に統一される方向にあったもののようである。

第二次世界大戦中、特に日本では金属材料が不足、いわば銅と鉄の塊であるトランスは貴重な軍需物資となり、トランスを用いない回路(トランスレス方式)が使われるようになった。これは、使用真空管のヒーターを同一の特性を持つものとして直列に接続、合計電圧を電灯線電圧 (100V) に合うようにして電灯線に直結、さらに電灯線の100ボルトを直接整流(主に倍電圧整流)してB電源を得る方式である。絶縁相と中性相の接続が逆の状態で金属シャシ部分にうっかり触れると感電する、またヒーターの特性にばらつきがあると、均等分圧されないことからヒーター寿命が短くなるといった欠点があるが、戦後は真空管の品質向上に伴い、今度は主に小型・軽量化を目的として、末期(1950年代後半)の家庭用ラジオ受信機などに多く用いられた。




  1. ^ アメリカ英語では「管」にあたる部分を「tube チューブ」、イギリスでは「valve バルブ」などと呼ぶ。
  2. ^ : electron tube
  3. ^ : thermionic valve
  4. ^ 「電子管」は熱電子を利用しないものなど、より広い範囲の素子を指して使われることもある。
  5. ^ 広辞苑第六版【真空管】定義文
  6. ^ 広辞苑第六版【真空管】定義文の後の叙述文
  7. ^ : diode
  8. ^ : triode
  9. ^ : tetroiode
  10. ^ : pontoode
  11. ^ : rectifier
  12. ^ 平凡社『世界大百科事典』vol.14, p.261【真空管】
  13. ^ Bijl著「The Thermionic Vacuum Tubes and It's Applications」、1920年
  14. ^ どちらも直熱型三極管
  15. ^ タイン著「Saga of Vacuum Tube」、1977年
  16. ^ 後のUZ-2A5。
  17. ^ 浅野勇著「魅惑の真空管アンプ 上巻」
  18. ^ 『週刊ワールドエアクラフト』2001/6/12号、P11
  19. ^ 複数の部品取り用の機器から1台を整備。
  20. ^ : Nuvistor
  21. ^ : strangle
  22. ^ : taper
  23. ^ GTは「glass tube」の略とされる。
  24. ^ : Radio News
  25. ^ : Clyde Fitch
  26. ^ : Reflector-JSC(ロシア語ラテン翻字)
  27. ^ : Svetlana-JSC(ロシア語ラテン翻字)
  28. ^ : JJ-Electronic
  29. ^ : Shuguang(ラテン翻字)
  30. ^ : Groove Tubes
  31. ^ : Ruby
  1. ^ 高周波での増幅特性で半導体素子を凌駕する事は現在でも珍しくはない。事実、高信頼性と低消費電力が要求される放送衛星通信衛星等の人工衛星では現在でも送信用に真空管の一種である進行波管が使用される







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