発泡スチロール 廃棄とリサイクル

発泡スチロール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/27 23:08 UTC 版)

廃棄とリサイクル

発泡スチロールゴミの山
ポリスチレンの樹脂識別コード

ゴミとしては、重量の割に嵩張ること等が処分費用の高騰に伴い問題となっている。また、衝撃を受けた場合に細かい破片を撒き散らすために海洋ごみとしての害も大きい。

先進国ではこれを受け、同素材の製造業界団体や、これらを大量に商品を載せて販売していた大手百貨店スーパーマーケット等では、資源としてのリサイクルを模索し、近年では使用後に回収された発泡スチロールを、溶剤や高熱で再加工し、資源として再生したり、燃料として利用している。日本国内ではデパートやスーパーマーケットに食品トレイの回収箱を置き、消費者からこれらを集める運動も盛んである。

溶剤ではリモネン等の柑橘類から採取できる物を用いた物が開発され、小規模な施設では発泡スチロールを溶解させ液化させ、廃棄体積を大幅に減らすと共に、溶解物がボイラーなどの燃料として利用されている。また加熱による再加工プラントでは、ある程度大規模な設備が必要だが、再びポリスチレンビーズに戻して別の発泡スチロール製品の原料としたり、あまり強度や耐熱性を要求されないプラスチック製品用の原料を生産している。

発泡スチロール再生プラスチックで、ビデオテープカセット文房具(ボールペンの軸など)などが生産されている。

その一方、従来は燃焼させると高温でよく燃え過ぎるため、焼却炉を傷めるとして、地方自治体のゴミ処理施設では厄介物扱いされていたが、近年ではダイオキシン対策として高温型の焼却炉が普及していること、また、RDF発電施設などの設置が進められており、生ゴミの燃焼力を高めるために廃プラスチックや廃発泡スチロールを混ぜることも多い。

EPS、PSP、XPSは、化学物質としては同じポリスチレンなので、同じラインでリサイクルできる。ただし、回収量の大部分を占めるEPSの梱包材が高純度のポリエチレンであることもあり、不純物が混入すると品質低下などの問題が大きい。カップ麺の容器など複雑な印刷がされたものは、素材が違うシートが表面に接着されているので、回収対象から除外されることが多い。表面を直接塗装したものも除外されることがある。また当然ながら、食品が付着したままではリサイクルできないし、また回収の過程で悪臭を放ったり、害虫を呼び寄せる事があるため、良く洗って排出すべきだといえよう。

家電製品では、環境保護のために、再生紙を使用したクッション材に置き換えられつつある。海の浮きやフロートとして使用される製品は波浪によって磨耗しやすく、分離した小片が海上を浮遊することが問題となっている。

発泡スチロールは熱可塑性であり、熱を加えると粘着性を持つのでこれを利用して木材の接着材に利用できるという報告がある。発泡スチロールを接着剤とした合板パーティクルボードは十分な強度を持っており、後者は発泡スチロールを20%以上混ぜると成型後も加熱するだけで再成型が可能だという。さらに廃棄の際も600℃程度の温度で焼けば、発泡スチロールは分解してしまい、炭化した木材だけが得られるという[5]


  1. ^ Its Not A Cup
  2. ^ a b c 日本放送協会. ““使われなくなる日を願って” 小さな黒い箱に込められた思い”. NHKニュース. 2021年7月22日閲覧。
  3. ^ 断熱工事のビル 再び火災――可燃材料が断熱工事の建材にとなる 新唐人 2010年11月23日放送
  4. ^ 東京農業大学 断熱材のシロアリ食害試験報告
  5. ^ 福田清春, 柏井伸二, 冨永洋二, 近江正陽. 2001. 発泡スチロール廃棄物の木質材料用接着剤への再利用. 木材工業 Vol56. No10. 458 -463


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