生物学 生物学の応用と社会的責任

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生物学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/17 03:45 UTC 版)

生物学の応用と社会的責任

生物学の知見と技術を応用に用いる分野は、バイオテクノロジーまたは生物工学と呼ばれる。遺伝子操作に重点が置かれる場合は遺伝子工学、発生過程に重点が置かれる場合は発生工学ともいう。生物学の成果を実業に活用する産業はバイオ産業と呼ばれ、ITとならんで勢いのある市場であり、ベンチャー企業が次々と誕生している。アメリカでは大学の研究者が起業することも多い。遺伝子治療幹細胞を用いた再生医学一塩基多型 (SNPs) を用いたオーダメイド医療やゲノム創薬などが注目されている。農業や畜産関連でもバイオテクノロジーが生かされており、これらを支える基礎研究は重要である。政府や企業は多大な資金を提供し、その発展を促している。

応用分野に輝かしい貢献をすると同時に、現代生物学はさまざまな倫理的問題を抱えている。それらはゲノム情報、遺伝子操作、クローン技術など、生命の根幹に関わる技術や情報によりもたらされた。これらは、臨床医療においては恩恵をもたらす一方で、差別や生命の軽視など深刻な社会問題を引き起こしつつある。このような課題は生命倫理学によって扱われる。また、遺伝子操作によって作られた遺伝子組み換え作物(GM作物)の環境への影響(遺伝子汚染)という問題提起がなされており、議論が行われている。近代から現代にかけて、人間の活動によって環境破壊が起こり、生物多様性が急速に失われている。生物学は観測を行い、科学的裏付けのあるデータに基づいた提唱をしたり、生態系や生物多様性について正しい情報を発信するなどの取り組みも必要である。

現代生物学およびそれに携わる人々は、純粋な科学的研究成果のみならず、このような倫理的側面に対しても熟考し議論を深め、社会的責任を果たすことが求められている。


注釈

  1. ^ biologiaはビオロギアと読む。

出典

  1. ^ a b 平凡社『世界大百科事典』第15巻、p.418【生物学】
  2. ^ a b c d e f g h i 生化学辞典第2版、p.725 【生物学】
  3. ^ Aquarena Wetlands Project glossary of terms.の定義に基づく。
  4. ^ Magner, A History of the Life Sciences
  5. ^ a b 『岩波生物学事典』 第四版、p.760
  6. ^ 『岩波生物学事典』p.33【アリストテレス】
  7. ^ 『ブリタニカ国際大百科事典』第11巻、p221【生物学】
  8. ^ 『岩波生物学事典』【生物学】
  9. ^ 『動物誌』は、翻訳が岩波文庫でも出ている。上・下二巻の大部で(アリストテレース『動物誌 上』1998、ISBN 978-4003860113、および『動物誌 下』1999、ISBN 978-4003860120。岩波文庫)
  10. ^ 『ブリタニカ国際大百科事典』第11巻、【生物学】p.220
  11. ^ 『岩波哲学思想事典』岩波書店 1998年 1371頁【プシュケー】。
  12. ^ Fahd, Toufic. “Botany and agriculture”. p. 815. , in Morelon, Régis; Rashed, Roshdi (1996). Encyclopedia of the History of Arabic Science. 3. Routledge. ISBN 0415124107 
  13. ^ Magner, A History of the Life Sciences, pp 133–144
  14. ^ Sapp, Genesis, chapter 7; Coleman, Biology in the Nineteenth Century, chapters 2
  15. ^ Noble, Ivan (2003年4月14日). “BBC NEWS | Science/Nature | Human genome finally complete”. BBC News. http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/2940601.stm 2006年7月22日閲覧。 
  16. ^ Who coined the term biology?”. Info.com. 2012年6月3日閲覧。
  17. ^ 平凡社『世界大百科事典』第15巻、p.418【生物学】
  18. ^ ブリタニカ国際大百科事典』第11巻、p219【生物学】
  19. ^ Avila, Vernon L. (1995). Biology: Investigating life on earth. Boston: Jones and Bartlett. pp. 11–18. ISBN 0-86720-942-9 
  20. ^ 平凡社『世界大百科事典』第15巻、【生物学】p.419






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