生態学 生態学的な危機

生態学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 07:56 UTC 版)

生態学的な危機

生態系は環境の変化によって大きな損害を受けることがあるが、ある程度の摂動や攪乱であれば回復力によって徐々に原状に近い状態へと回復する。こうした様子は二次遷移と呼ばれ、遷移が頂点に達すると極相と呼ばれる安定した状態となる[38]。しかしながらある一定の限度(閾値)を超えると生態系が大きく損なわれ、原状回復が困難となる。過去においては地球規模の環境変化によって大規模な生態学的危機が起こり、幾度か生物の大量絶滅が発生している。これまでの大量絶滅は大陸移動による気候の寒冷化[30]や温室効果の消失、巨大隕石の衝突[39]といった自然現象によるものだったが、人類がその活動を活発化させるに伴い生態系の破壊が進み、人類活動によって大量絶滅期が引き起こされている。こうした影響を最小限にとどめるため、持続可能性に基づく持続可能な開発の概念が提唱されている[40]

1986年チェルノブイリ原子力発電所で発生したメルトダウン事故では、放射線への大量被曝の影響を受け、多くの人々と動物がによって死亡し、多数の奇形が発生したと報告されている。現場周辺の土地は、事故により生じた多量の放射性物質のため、現在では放棄されている。

2012年6月6日、地球の生態系は気候変動人口増加環境破壊の要因により、今後数世代で崩壊し、その転換点が今世紀中に訪れるという報告が『ネイチャー』に発表された。しかし、持続不可能な成長パターン、資源の消耗などを止めることで回避することは可能としている[41]

政治的生態学

政治的生態学(英語: political ecology)とは、政治的・経済的・社会的要因がどのように環境に影響を与えているかを研究する領域である。近年の環境悪化の結果として、エコロジー運動の機運が高まっているが、政治・イデオロギーと科学としての生態学の基本的な違いを理解することは重要である。

生態学の関係分野


  1. ^ Allee, W. C (1949). “Ecological Background and Growth Before 1900”. In Allee, W. C.; Emerson, Alfred E.; Park, Orlando; Park, Thomas; Schmidt, Karl P.. Principles of animal ecology.. W. B. Saunders 
  2. ^ マターニュ 2006, p. 97.
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  5. ^ マターニュ 2006, p. 115.
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  19. ^ a b 西村 2010, p. 17.
  20. ^ 「生命の起源はどこまでわかったか 深海と宇宙から迫る」p46-47 高井研編 岩波書店 2018年3月15日第1刷発行
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  24. ^ https://www.spf.org/opri/newsletter/367_3.html 「海洋島の生物多様性」髙山浩司 笹川平和財団海洋政策研究所Ocean Newsletter第367号 2015.11.20発行 2022年7月19日閲覧
  25. ^ 武村 2010, p. 70-71.
  26. ^ 武村 2010, p. 90-91.
  27. ^ 「考える花 進化・園芸・生殖戦略」p8-10 スティーブン・バックマン 片岡夏実訳 築地書館 2017年8月21日初版発行
  28. ^ 桑村 2008, p. 14.
  29. ^ https://www.rd.ntt/se/media/article/0044.html 「大気大循環とは?大循環のモデルから気候までわかりやすく解説」NTT Beyond Out Planet 2022/06/17 2022年7月19日閲覧
  30. ^ a b 桑村 2008, p. 30.
  31. ^ https://www.rd.ntt/se/media/article/0033.html 「海洋大循環とは?わかりやすい概要とメカニズム、観測方法」NTT Beyond Out Planet 2022/02/14 2022年7月19日閲覧
  32. ^ 長島美織, 「環境リスクと健康リスク : バイオスフィア2の教えること」『国際広報メディア・観光学ジャーナル』 19巻 p.31-43, 北海道大学大学院国際広報メディア, 2014-09-26 2020年5月22日閲覧
  33. ^ https://courrier.jp/news/archives/160902/ 「火星移住を夢見た「世界で最も奇妙な科学実験」は本当に失敗だったのか」COURRiER Japon 2019.5.14 2020年5月3日閲覧
  34. ^ 武村 2010, p. 68.
  35. ^ 「地球環境の教科書10講」p156 左巻健男・平山明彦・九里徳泰編著 東京書籍 2005年4月15日第1刷発行
  36. ^ 「生物多様性」p53-54 本川達雄 中公新書 2015年2月25日発行
  37. ^ 「地球環境の教科書10講」p158-160 左巻健男・平山明彦・九里徳泰編著 東京書籍 2005年4月15日第1刷発行
  38. ^ 武村 2010, p. 69.
  39. ^ https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9746554094a093f36dd844b0050861ab4104c5ae 「恐竜絶滅を引き起こした「隕石の冬」と「火山の冬」」巽好幸 ヤフーニュース 2020年1月29日 2020年5月3日閲覧
  40. ^ https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/ 「持続可能な開発」国際連合広報センター 2022年7月19日閲覧
  41. ^ AFPBB News2012年6月26日閲覧






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