環境教育 環境教育の概要

環境教育

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 20:09 UTC 版)

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日本では、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の第2条第3項において「「環境教育」とは、環境の保全についての理解を深めるために行われる環境の保全に関する教育及び学習をいう。」とされている。

分野

環境教育の分野は次のように分類できる。これらは変遷しうるものであり、また異なる分類の方法も可能であるため、確定的なものではない。

  • 環境倫理学
    自然の権利世代間倫理、地球全体主義などを扱う分野。
  • 環境史
    森林破壊、公害異常気象の問題を歴史的な視点から考える分野。
  • 民族と文化
    自然環境によってもたらされた、地球上の各民族における社会、日常生活、行動様式などの違いを考察する分野。
  • 都市環境
    持続可能な社会、循環型社会、環境と共生できる都市のあり方、都市における環境問題などを扱う分野。
  • 生活環境
    生きがい、ストレス、人間関係などと生活環境の関係を扱う分野。
  • 社会環境
    産業革命以降の近代化と環境の関係、公害問題、科学技術の発展、個と集団の関わりなどを扱う分野。
  • ボランティア論
    ボランティア活動による社会参加と環境の関係を扱う分野
  • 環境ジャーナリズム論
    マスメディア、地域社会、インターネットと環境問題の関係、消費者問題、食農教育などを扱う分野
  • 環境調査法
    環境を認識するための調査方法、およびその実践を行う分野
  • 環境教育論
    環境リテラシー、環境保全教育、指導者の養成、生涯教育、インタープリテーション(自然や歴史文化などの意味を解説し、伝えること)などを扱う分野

隣接分野

歴史

環境教育の用語は1948年国際自然保護連合(IUCN)で最初に用いられたとされている。それ以前にも類似の概念は存在していた。また、日本と外国では環境教育の発展の過程に違いが見られる。

欧米

欧米諸国では、19世紀の後半から自然保護教育が行われていた。これが今日の環境教育の根源であると考えられる。

「環境の質」と「教育の質」を緊密に結び付けて考えた世界で最初の人間であり、「環境教育の開拓者」として知られているのは、生物学者、社会学者、都市計画家でもあったパトリック・ゲディス(Patrick Geddes, 1854年 - 1932年)である。ゲディスは、スコットランドの首都、エディンバラにある展望塔(Outlook Tower)を拠点として独自の自然学習(Nature Study)の理論と実践を作り上げていった。

1966年イギリスの教育・科学省の諮問機関が提出したブラウデン報告書で、学校と教育における環境の活用が述べられた。1970年には、アメリカ合衆国環境教育法が制定され、本格的な環境教育の取り組みが定められた。

1972年ストックホルム国連人間環境会議が開催され、1975年には、国際環境教育会議でベオグラード憲章が採択された。この中では、目標として関心、知識、態度、技能、評価、参加の6項目が示され、環境問題の目的が明確にされている。

1987年には環境と開発に関する世界委員会が開かれ、非公式な方式(テレビなど)による普及が緊要であるとされた。1990年にはアメリカ環境教育の推進等のための法律が制定され、環境教育を推進する制度が規定された。1993年にはオランダで環境管理法が制定された。

また2002年ヨハネスブルクサミットでの日本のNGOと政府の提案も受けて、2005年から10年間は国連持続可能な開発のための教育の10年(ESDの十年)がとした。

日本

日本では、1960年代に生じた深刻な公害や自然破壊の問題に対する社会運動が発展し、その解決法として認められるようになったのが環境教育の最初である。環境学環境問題に対する市民の知識・関心の低さが指摘され、それを教育する方法として環境教育の概念が形成された。

1990年には日本環境教育学会が創設され、環境教育の理論的体系付けが一つの目標とされている。環境教育学の創始者の一人である藤岡貞彦は、その目標は環境権の確立にあると述べている[要出典]

行政の面においては、1993年環境基本法の制定と2003年の「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」の制定により、環境教育の推進のための施策が行われている。現在では、自然保護に限らず、持続可能性についての議論などの広い意味を含んでいる。


  1. ^ 「JEEF(ジーフ)とは」http://www.jeef.or.jp/about/index/


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