熱伝達率 さまざまな流れにおける熱伝達率

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熱伝達率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/05 21:20 UTC 版)

さまざまな流れにおける熱伝達率

さまざまな場合に対する熱伝達率について実験的、あるいは理論的な式が導出されている。以下ではそれらの式を、ヌセルト数や以下の無次元数を用いた式で紹介する[1]

平板の強制対流

層流の場合

温度が均一な板の強制対流のヌセルト数は下記の式で求めることができる。レイノルズ数Re を求めるとき、代表長さには流れ方向の長さをとる。

乱流の場合

真っ直ぐな円管の強制対流

層流の場合

管の長さをl 、管入口からの距離をx とする。また代表長さには円管直径d をとる。速度場、温度場は十分に発達しているとする。

  • 管壁温度一定なら
  • 壁面熱流束一定なら
乱流の場合(壁温一定)
  • コルバーンの式(Colburn's equation
  • ディタス・ベルター(Dittus-Boelter)の式
上式の指数n は、流体を加熱するときn = 0.4、冷却するときn = 0.3とする。また、物性値は出入口における温度の平均値を用いる。
  • コルバーンのアナロジーによる式[2]
摩擦係数f が既知であれば、スタントン数St を用いて
jH はコルバーンのj因子と呼ばれる。この式は平板についてもよく成り立つ。
  • ペトゥコフ(Petukhov)の式
物性値は膜温度における値を用いる。
ただし、f は摩擦係数で次式である:
  • グニーリンスキー(Gnielinski)の式
物性値は膜温度における値を用いる。

鉛直平板の自然対流(層流)

厳密解としては

これは次で近似できる:

実験式として次がある。Gr Pr が低い場合は層流、高い場合は乱流支配である。

または

これらの実験式を用いる場合、物性値は膜温度(壁面温度と無限遠の流体温度の平均)を用いる。

水平円柱の自然対流(層流)

水平な円柱が加熱されている場合は、直径d を代表長さにとり、次の実験式がある:

これは鉛直平板の式において、l = πd / 2 とおいた場合に非常に近い。

水平平板の自然対流

加熱上向き面あるいは冷却下向き面の場合
  • 層流:
  • 乱流:
加熱下向き面あるいは冷却下向き面で、層流の場合

密閉空間の自然対流

縦に長い密閉空間の左右の壁面を高温および低温に保持した場合は、アスペクト比やレイリー数の範囲に応じて次のような実験式がある。ただし、物性値は壁面の温度の平均値を取る。

または

概数

流体の種類による熱伝達率の値は次の程度にみつもる。ただし熱伝達率は流れの形態や、固体の物性などによっても変化するため、以下はおおよその値である。また、単位が kcal/(m2・h・℃) であることに注意。国際単位系との関係は 1 kcal/(m2・h・℃) = 1.16279 W/(m2 K) である。

  • 静止した空気(無風) 4 kcal/(m2・h・℃)
  • 流れている空気 10~250 kcal/(m2・h・℃)
  • 流れている油 50~1500 kcal/(m2・h・℃)
  • 流れている 250~5000 kcal/(m2・h・℃)



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