無反動砲とは? わかりやすく解説

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無反動砲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/09 13:25 UTC 版)

無反動砲(むはんどうほう、英語: recoilless rifle/recoilless gun)は、作用反作用の法則を利用して発射時の反動を軽減し、駐退復座機構や頑丈な砲架を省略した大砲である。ごく一部で「不反衝砲」という訳語が当てられたこともある[1]


注釈

  1. ^ 詳細は「de:RMK_30」および「en:Rheinmetall_RMK30」を参照
  2. ^ </ˈdyːzən kaˈnoːnə/>.日本語のカタカナ発音/表記としては「デューゼンカノーネ」が原音に近い。
  3. ^ この構造上、デイビス式では通常の火砲のように尾栓の中央に撃針が配置できないため、弾薬の雷管は薬莢の側面にある。
  4. ^ この構造故、クルップ式もデイビス式と同様に撃針と雷管が側面にあるものが多い。
  5. ^ クルップ社による基礎研究の結論では、後方噴射式の無反動砲の場合、砲身長が同一の砲身から同重量の砲弾を通常の火砲と同じ初速で発射するには、5倍の発射薬が必要であるとされた。
  6. ^ ただし、この砲を設計・生産したのはラインメタルボルジッヒ(Rheinmetall-Borsig)社である。
  7. ^ a b 構造上閉鎖器(尾栓)が存在しないデイビス式や、尾栓があっても撃針を内蔵することが難しいクルップ式の弾薬は雷管)が弾薬の底面ではなく側面にあることが基本だが、クロムスキット式やバーニー式では側面に撃針や信管を設けることができないため、通常の火砲と同じく尾栓に撃針があり、弾薬も薬莢底面の中央に信管がある。
  8. ^ 近代火砲では砲全体のバランスを保つために「平衡機」と呼ばれる部品が必要になるが、これは砲架の複雑化と大重量化を招く。また、小型軽量の利点を生かして肩担して用いることを求めた場合、砲尾が重くなることは射手への負担の増加と命中精度の低下(砲尾の重さに引き釣られて砲口が上を向きやすくなるので、着弾点がずれる)を増大させる。
  9. ^ T9同様、弾頭にはM1 155mm榴弾砲のものが流用される設計となっていた。
  10. ^ “デイビス砲”や“バーニー砲”と異なり、この方式の無反動砲が“クロムスキット砲(Kromuskit Gun)”と呼ばれることはほぼない。
  11. ^ 逆に言えば、砲弾の重量が同量で初速も同程度でよい場合、クルップ式やクロムスキット式に比べて必要な発射薬の量は少なくて済む。
  12. ^ Динамо Реактивных Пушек"とは直訳すると「動的反応性銃」となるが、ニュアンスとしては(「作用反作用の法則」の)「反作用を利用する砲」というような意味である。
    現在のロシア語の軍事用語としては、「無反動砲」は"Безоткатное орудие"と呼ばれる。
  13. ^ ソビエトにおいてクルチェフスキーのみが無反動砲の開発を手がけていたわけではなく、コンダコフ(Кондаков)という技術者もおり、陸戦兵器を中心に手がけたクルチェフスキーに対し、こちらは主に航空機に搭載する無反動砲を手がけた。
    Emmanuel Gustin's Home Page>Russian Recoilless Guns)※2018年11月18日閲覧
  14. ^ クルチェフスキーが粛清されたことは、彼がトハチェフスキーオルジョニーゼの支援を得ていたことが大きい。ただし、クルチェフスキーの推進した無反動砲の問題を指摘して計画を中止させたのは、直接的にはトハチェフスキーである。
  15. ^ ソビエト赤軍の戦車隊指揮官であり、ソ連邦英雄であるヴァシリ・セルゲーエヴィッチ・アルヒポフ(Василий Сергеевич Архипов)(ロシア語版)は,戦後の著書である『Время танковых атак』(『戦車で攻撃する時』)の中で、SU-4は有用な兵器で、ドイツ戦車に対しても有効だった、と評している。
  16. ^ ドイツ語の軍事用語としては、特に形式を指定しない「無反動砲」は"Rückstoßfreies Geschütz"(直訳では「反動から自由な砲」の意)と呼ばれる。
  17. ^ "Düsenkanone"の"Düse(n)"(ノズルの意)とはこの薬莢頸部のことを指す。
  18. ^ 翼下に装備すれば後方噴射の問題はほぼ無視できるが、再装填のできない単発式であることは変わらず、また重量の問題から大口径にできないという問題も生じる。
  19. ^ 試作砲の開発にはチェコスコダ(シュコダ)社も参加している。
  20. ^ 破孔部は薬莢と弾頭の間ではなく薬莢胴部と底板の間に構成されている。
  21. ^ メッサーシュミットMe210/410他に搭載されたBK 5 5cm機関砲に比べ、本体重量で1/2だが投射弾量は6倍となっている。
  22. ^ しかし低圧砲も通常の戦車砲に比して初速の低さから精度・射程で劣るため対戦車戦では不利で、主砲はより小型の機関砲に留め対戦車ミサイルを併用したり、戦車砲自体を駐退機マズルブレーキ改良による低反動化、軽量化の改良により軽戦車装輪戦車などに搭載する方向へシフトした。
  23. ^ a b ※弾頭は外装式となっている
  24. ^ 砲自体の構造はガス噴射式の無反動砲だが、弾頭は外装式のものを分離式尾筒を用いて発射する特殊な形式である。
  25. ^ クルップ式の作動原理を用いて少量の炸薬で発射し弾頭内のロケットモーターで本格加速する方式

出典

  1. ^ 南陽介『第三次世界大戦』(昭和27年、太平洋出版社)、119頁
  2. ^ Уголок неба>SG 104 ※ロシア語ページ ※2021年11月6日閲覧
  3. ^ Lexikon der Wehrmacht>Panzerabwehrkanonen ※2021年11月6日閲覧
  4. ^ Lexikon der Wehrmacht>Leichtgeschütze ※2021年11月6日閲覧
  5. ^ RUSSIAN AVIATION MUSEUM>DRP/APK recoilless cannon ※2018年11月18日閲覧
  6. ^ DEUTSCH ELUFTWAFFE>Düsen Kanone DüKa88 ※2021年11月6日現在リンク切れ
  7. ^ a b c Уголок неба>Duka 88 ※ロシア語ページ ※2021年11月6日閲覧
  8. ^ DEUTSCH ELUFTWAFFE>Düsen Kanone DüKa88 - Die 8,8-cm-DKM 43 ※2021年11月6日現在リンク切れ
  9. ^ DEUTSCH ELUFTWAFFE>Düsen Kanone DüKa88 - Weiter Düka Projekte ※2021年11月6日現在リンク切れ
  10. ^ Tank Encyclopedia|Harold Biondo|September 27, 2017|"German Tank-based Railway Guns" ※2021年11月6日閲覧
  11. ^ Tom Murphy|March 2010 / September 6, 2022|Small Arms Review V13N6 (March 2010) / SMALL ARMS REVIEW.com|"HAND CANNON 20MM: THE RUCINI TOP 20" ※2023年3月24日閲覧
  12. ^ flickr>John B. Mahaffey Museum Complex - M4 4.2-inch Recoilless Chemical Mortar ※2018年12月10日閲覧


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