湖沼 湖沼の生物

湖沼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 23:15 UTC 版)

湖沼の生物

規模の大きい湖沼や古代湖は生物相が豊富であることが多く、たとえば琵琶湖には多数の固有種が知られる。多くの湖沼はあまり長い歴史を持っておらず、むしろ周辺の河川に棲む生物との関連性が強い。一般に人工湖は生物の多様性が小さい。

ただし、状況は湖沼の成因や性質、地域などによって大きく異なる。火口湖塩湖の一部のように塩類の濃度が高い場合、ほとんど生物の棲まない例、あるいはごく限られた生物のみが見られる例もある。

生物相そのものは、それが海水に起源を持つかどうかで大きく異なる。潟湖のような場合、極端な例では周辺の海と大差ない生物相を持つ例もある。一般に海は生物相が豊富であり、海水に起源のある湖は豊富な生物相を持つ。現在では完全な淡水であるが、かつて海水であったような湖では海産生物に類縁を持つ生物が見られる場合がある。たとえばバイカル湖には唯一の淡水産アザラシであるバイカルアザラシが棲んでいる。このような生物が見られた場合、この湖がかつて海との繋がりを持っていた証拠と考え、海水遺跡種と呼ぶ。

陸地

湖沼を取り巻く陸地には豊富な地下水を好むヤナギなどの樹木からなる水辺林が形成され、岸辺に近い場所にはスゲイヌガラシなど湿潤を好む湿地性植物が繁茂する。

水辺

水深の浅い場所には水面下に根を張り水面上に葉を広げる抽水性植物が分布する。温帯ではヨシホタルイショウブなど、熱帯ではパピルスなどが見られる。水深が大きくなると水面に葉を浮かせるヒシジュンサイアサザなどの浮葉性植物が繁茂する。さらに深い場所には水面下に葉を広げる車軸藻類などの沈水性植物が分布する。

湖沼において水辺、特に抽水性植物の分布する場所は魚類エビ両生類水生昆虫などが生育し、湖沼における漁獲量の75パーセントを占めている。岸辺の傾斜が緩やかになるほど水辺の面積が大きくなり多様な生物が見られるようになる。一方で湖沼の面積が大きくなると風浪の影響によって生物は少なくなる。

沖合

水中を漂う植物プランクトンは十分な日光の届く水面近くで光合成を行い酸素を供給する。ウキクササンショウモホテイアオイなどの浮漂植物は風に流されやすく肥沃な水を必要とするため一般的ではないが、条件が整うと急速に繁茂して湖面を覆い尽くすこともある。


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 3.湖としての霞ケ浦”. 茨城県. 2019年9月27日閲覧。
  2. ^ 竹門 康弘. “河川生態系における垂直方向の構造と生態系間のつながり”. 公益財団法人リバーフロント研究所. 2019年9月27日閲覧。
  3. ^ 中央環境審議会水環境部会陸域環境基準専門委員会資料(2003年2月21日)
  4. ^ アラル海―20世紀最大の環境破壊朝日新聞





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