海里 海里の概要

海里

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/08 06:12 UTC 版)

海里(かいり)
記号 M, nm, NM, Nm, nmi など(計量法では、M 又は nm のみ)
非SI単位(特殊の計量に用いる法定計量単位
長さ
定義 正確に1852 m(国際海里)
由来 地球大円上における1長さ
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概要

日本の計量法は、その第5条第2項において、用途を限定する計量単位を「特殊の計量単位」として認めている[1]

海里はこの「特殊の計量単位」の1つであり、「海面又は空中における長さの計量」に限定して使用が認められている法定計量単位である[2][3]

海里は、国際単位系 (SI) に属さない。国際単位系の公式の国際文書において、1970年から1991年までは暫定的に使用できる単位、1998年には現今は使用できる単位、2006年にはその他の非SI単位として「航海及び航空における距離(distance)を表すのに使用される特別な単位」として掲げられていた[4]

しかし2019年の国際文書(第9版)では、海里は国際単位系 (SI) において全く認められなくなった。

国際海里

現在は、正確に1852メートルである国際海里(international nautical mile)が世界中で使われている。この定義は、1929年モナコで開かれた臨時国際水路会議(Extraordinary International Hydrographic Conference、国際水路機関の会議)で採用された。アメリカ1954年に、イギリス1970年に国際海里を採用した。

1海里の10分の1を1ケーブル()といい、海事では一般的に使われている。

毎時1海里の速度を1ノットという。すなわち、1ノットは、正確に 1852 m/h = 約 0.514 444 m/s である。

航空会社が実施するマイレージサービスでの「マイル」は、国際マイル(= 1609.344 m)を基にしており、海里のことではない(マイレージサービス#距離と実際のマイレージの例)。

イギリスの海里 nautical mile (UK)

上記のとおり、イギリスも1970年に国際海里を採用したが、今もなお、単位名「nautical mile (UK)」として、1853 m(国際海里よりちょうど 1 m だけ長い) が法的には有効である[5]

なお、イギリスのノットについては国際海里にもnautical mile (UK)にも基づかない、6080 feet = 1853.184 m を3600秒で除して小数5桁にした、0.51477 m/s とし、これを「knot (UK)」と名付けている[6]

海里の記号

海里の単位記号には、いまだに国際的に承認された記号はなく,M, NM,Nm,nmi などが使用されている[7]。これらの記号は、いずれも Nautical Mile の頭文字などを取ったものである。

日本の計量法は、単位記号は「M 又は nm」と定めている(計量単位規則 別表第4(第2条関係)海面又は空中における長さの計量[8])。JIS規格 (JIS Z 8000-3: 2014 = ISO 80000-3: 2006) は、海里の記号を定めていない[9]

航空関連では nm が慣習的に用いられる。nm は国際単位系 (SI) と日本の計量法では「ナノメートル」の単位記号であるが、両者のスケール差は1兆倍以上であり、また使用される状況が全く異なるので、実用上で混同されることはまずない。

アメリカ合衆国においては、United States Government Printing Office Style Manual (GPO Style Manual) が「nmi」と定めている[10]

日本では、「海上で使われる」という意味で「カイリ」という言葉が作られ、「」という文字が作られた。当用漢字に「浬」が含まれなかったために、一時はカタカナで「カイリ」と書くことも行われたが、今日では由来に基づいて「海里」と書く。計量法では、「浬」の文字は認めていない。


  1. ^ 計量法 第五条 第2項 前二条及び前項に規定する計量単位のほか、海面における長さの計量その他の政令で定める特殊の計量に用いる長さ、質量、角度、面積、体積、速さ、加速度、圧力又は熱量の計量単位及びその定義は、政令で定める。
  2. ^ 計量単位令(平成四年政令第三百五十七号) 別表第6 第1号「海面又は空中における長さの計量、 海里、 メートルの千八百五十二倍」”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (基準日). 2020年4月2日閲覧。 “2017年4月1日時点での施行分”
  3. ^ 表4 用途を限定する非SI単位 経済産業省 
  4. ^ 訳・監修 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター『国際文書第8版 (2006) 国際単位系 (SI) 日本語版』(PDF)、40頁https://web.archive.org/web/20191008102417/https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/si/R8/SI8J.pdf#page=412019年10月14日閲覧 
  5. ^ The Units of Measurement Regulations 1995”. 2022年7月26日閲覧。(英語)
  6. ^ The Units of Measurement Regulations 1995 Speedの欄”. 2022年7月26日閲覧。(英語)
  7. ^ 訳・監修 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター『表8 その他の非 SI 単位、表註 (d)』(PDF)、40頁https://web.archive.org/web/20191008102417/https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/si/R8/SI8J.pdf#page=412019年10月14日閲覧 
  8. ^ 計量単位規則 別表第4 - e-Gov法令検索
  9. ^ 量及び単位−第3部:空間及び時間 p. 7.
  10. ^ United States Government Printing Office Style Manual 9.62. Standard letter symbols for units of measure、p. 250, nmi—nautical mile.


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