気温
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 08:54 UTC 版)
世界の気温と気候
気温は気候を構成する要素の1つでもある。地球規模で見ると、気温は緯度との相関性が最も顕著に表れ、緯度が高いほど気温は低い。右図においても、年平均気温が同じ同色の領域は、緯線に平行な帯状に分布している。これに次ぐ因子は標高や海流である。右図では、標高が高いアジア中部のヒマラヤ山脈・チベット高原や南アメリカ西岸のアンデス山脈が黄色や水色で表示され、同緯度よりも寒いことが分かる。また、強い暖流のある北大西洋やヨーロッパは黄色や水色の領域が周囲よりも北側に大きくはみ出しており、同緯度よりも暖かいことが分かる。また、北極よりも南極の方が気温が低く表示されているが、これは北極は海洋であるのに対して、南極は大陸で厚い氷床により標高が高いためである。年平均値や極値では北極よりも南極の方が寒い。
また、夏と冬の気温の差(最暖月と最寒月の気温差)は、低緯度地域より高緯度地域、海洋部より大陸部の方が大きい。世界の観測所で最も月平均気温の差が大きい場所はロシア・シベリアのオイミャコンで、1971年 - 2000年の平年値で実に60.2°Cにもなる(1月が−45.9°C、7月が14.3°C)。
こうした気温の特性のほか、降水などの特徴を総合的に勘案して気候を分類した、気候区分が作られている。
ある地点における気温は1年周期の季節変化や1日周期の日変化だけではなく、日々の天候や、数年かそれ以上の規模での気候変動により変化する。主なものとしては、いわゆる氷期と呼ばれる寒冷期とそうでない温暖期(間氷期)が交互に繰り返す変動が知られており、更新世の約250万年間には数万年-十数万年周期でこの変動が起こったと推定されている。現在は「後氷期」と呼ばれる温暖期にあるが、その間にもさらに短周期の亜氷期(寒冷期)と亜間氷期(温暖期)を繰り返す変動も知られている。紀元前500年頃から現在までは「サブアトランティック」(英語版)と呼ばれる温暖期にあり、その間にもさらに中世の温暖期(IPCC AR4によるとヨーロッパに限られた温暖期)や小氷期(IPCC AR4によると平均気温の低下が1度未満の弱い寒冷期)と呼ばれる短周期の変動が知られている。
なお、特に19世紀半ばの産業革命以降は地球規模で気温が上昇していることが分かっている(地球温暖化)。例えば、100年間余りのデータがある日本の年平均気温は上昇傾向にあり、平年差が最も大きかった年は1990年の+1.04°Cで、次いで2004年の+1.00°Cとなっている。地球温暖化の主な原因は人為的な温室効果ガスの排出増加とされ、気候変動枠組条約や京都議定書などの国際的枠組みを設けて対策が行われている。
2019年2月6日、世界気象機関(WMO)は、2015年から4年間の世界の気温が観測史上最高だったことを確認した。また、2018年の世界の平均気温が産業革命前比で1度上昇し、過去4番目に高かったと発表した。2015年から4年連続で異例の高温が続き、上昇傾向が続き地球温暖化が進行している証拠だとしている。WMOによると、2016年の平均気温の上昇幅は1.2度で観測史上最高を記録した。WMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は、単年の記録の上位20位が過去22年間に集中しており、「長期的な気温の傾向は単年の順位よりもはるかに重要であり、長期傾向は上昇を示している」とした上で、「過去4年間の気温上昇は陸上と海面の双方で異常な水準にある」と述べた。ハリケーンや干ばつ、洪水といった異常気象の要因にもなったと指摘している[4][5]。
注釈
出典
- ^ a b c d 気象庁『気象観測の手引き』、1-3,9-15頁
- ^ 「アメダスデータ等統合処理システムの運用開始と気象観測統計の変更について (PDF) 」、気象庁、2008年3月
- ^ ユーキャン新語・流行語大賞
- ^ “2018年の気温、過去4番目の高さ WMO「温暖化進行の証拠」”. 毎日新聞. 毎日新聞社 (2019年2月7日). 2019年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月7日閲覧。
- ^ “2015〜18年の世界気温は観測史上最高 国連WMOが報告”. www.afpbb.com. AFP (2019年2月7日). 2019年2月7日閲覧。
- ^ 世界最高気温58度は間違い=1922年のリビア記録-WMOチームが調査 時事ドットコム、2012年9月13日
- ^ “「バスラ58.8度」は誤記か=日本で有名な「世界最高気温」-気象研研究者”. 時事ドットコム. (2013年8月17日). オリジナルの2014年1月8日時点におけるアーカイブ。 2022年5月5日閲覧。
- ^ NASA (2013年12月9日). “NASA-USGS Landsat 8 Satellite Pinpoints Coldest Spots on Earth” 2013年12月10日閲覧。
- ^ 南極で氷点下93.2度 10年に観測、史上最低気温下回る、日本経済新聞、2013年12月10日
- ^ “南極で初の20度超え 史上最高気温20.75度を観測”. www.afpbb.com. 2020年7月8日閲覧。
- ^ “南極史上初の20.75℃観測も「なんの意味もない」の意味(森さやか) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2020年7月8日閲覧。
- ^ a b Lyons, Walter A(1997). The Handy Weather Answer Book, 2nd Edition, Detroit, Michigan: Visible Ink press. ISBN 0-7876-1034-8
- ^ アメダスデータ等統合処理システムの運用開始について
- ^ a b 気象庁歴代全国ランキング 気象庁。2019年10月14日閲覧
- ^ 「川越41・6度 暑さ日本一?/首都圏200カ所で独自観測」『日本経済新聞』朝刊2017年7月23日サイエンス面
- ^ a b c 気象庁監修『気象年鑑』 - 2007年版以前に掲載の「参考資料 日本と世界の気象記録」を参照のこと
- ^ 饒村曜 最高気温の記録の裏側 Yahoo!ニュース。2019年10月14日閲覧
- ^ 徳島 1923年8月(日ごとの値)主な要素 気象庁。2019年10月14日閲覧
- ^ 『関東大震災調査報告(気象篇)』 中央気象台、1924年、17、19頁。2019年11月6日閲覧
- ^ 『中央気象台月報(大正12年9月)』 中央気象台、1925年、61頁。2019年11月6日閲覧
- ^ お天気や - 公演の紹介文に記述あり
- ^ 東京 1923年9月(日ごとの値)主な要素 気象庁。2019年10月14日閲覧
- ^ 下地島空港で36.1度 沖縄県内最高タイ 沖縄タイムス+プラス(2016年7月6日)。2019年11月6日閲覧
- ^ 北海道 佐呂間町で最高気温が39度超 各地で熱中症に厳重警戒を 日本放送協会(2019年5月26日)、2019年5月26日時点のオリジナルよりアーカイブ、2019年5月26日閲覧
- ^ 北海道庁拓殖部編『北海道森林気象略報(昭和6年)』63頁。ただし、北海道林業試験場編『北海道森林気象略報(昭和11年)』133頁では、上幌別における1928年 - 1935年の最低気温の極値を1933年1月31日に記録した-41.0°Cとしている。また、歌登町のお天気には上幌別の幌別尋常小学校(現・歌登小学校)で1933年1月29日に-41°Cを記録したとある。
- ^ 北海道大学農学部附属演習林『演習林業務資料・第22号(雨竜地方演習林の気象報告)』43、47頁
- ^ ふうれんの取り柄 2016年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ、2017年9月16日閲覧 - 1999年刊『風連町史(第2巻)』33頁も参照
- ^ 旭川 1953年1月(日ごとの値)主な要素 気象庁。2019年11月6日閲覧
- ^ 帯広 1953年1月(日ごとの値)主な要素 気象庁。2019年11月6日閲覧
- ^ 昭和基地における観測史上1〜10位の値 - 気象庁
- ^ 幻の日本一 てんき屋の風船な日々 2019年11月6日閲覧 - 樺太庁観測所『樺太気象累年報』140頁も参照
- ^ Solan, Matthew (2022年6月21日). “Heart problems and the heat: What to know and do” (英語). Harvard Health. 2022年6月21日閲覧。
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