梵鐘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/27 17:07 UTC 版)
日本の著名な梵鐘
奈良時代の梵鐘
梵鐘研究家の坪井良平は、以下の16口を奈良時代鐘としている[4]。
- 千葉・成田市出土鐘(国立歴史民俗博物館蔵、重要文化財) 宝亀5年(774年)在銘
- 福井・劔神社鐘(国宝) - 神護景雲4年(770年)在銘。制作年が明らかなものとしては日本で3番目に古い
- 岐阜・真禅院鐘(重要文化財)
- 滋賀・園城寺鐘(重要文化財) - 「弁慶の引き摺り鐘」の別称がある。
- 滋賀・竜王寺鐘(重要文化財)
- 京都・妙心寺鐘(国宝) - 戊戌年(698年)在銘。製作年が明らかなものとしては日本最古。国宝。徒然草にも登場する。
- 京都・東福寺鐘(重要文化財)
- 奈良・東大寺鐘(国宝)
- 奈良・興福寺鐘(国宝) - 神亀4年(727年)在銘。製作年が明らかなものとしては日本で2番目に古い。国宝。現在は仮講堂に移されている。
- 奈良・薬師寺鐘(重要文化財)
- 奈良・新薬師寺鐘(重要文化財)
- 奈良・法隆寺西院鐘(重要文化財)
- 奈良・法隆寺東院鐘 旧・中宮寺鐘(重要文化財)
- 奈良・當麻寺鐘(国宝) - 妙心寺鐘と並ぶ日本最古級の鐘(非公開)。
- 奈良・大峯山寺鐘(重要文化財)
- 福岡・観世音寺鐘(国宝) - 妙心寺鐘と同じ木型から造られた兄弟鐘。菅原道真が「都府楼は 纔かに瓦 色を看る 観音寺は唯鐘声を聴く」と歌ったことで知られる。
平安時代以降の国宝梵鐘
- 神奈川・円覚寺鐘 - 正安3年(1301年)在銘
- 神奈川・建長寺鐘 - 建長7年(1255年)在銘
- 滋賀・佐川美術館鐘 - 天安2年(858年)在銘
- 京都・平等院鐘 - 三大名鐘の一つ「形」(所在:鳳翔館、現在鐘楼に吊られている鐘は複製) [注釈 3]
- 京都・神護寺鐘 - 貞観17年(875年)在銘。三大名鐘の一つ「銘」。非公開。
- 奈良・栄山寺鐘 - 延喜17年(917年)在銘
- 福岡・西光寺鐘 - 承和6年(839年)在銘
その他の著名な梵鐘
- 東京・浅草寺鐘(弁天山) - 「花の雲 鐘は上野か浅草か」(松尾芭蕉)の句で有名。
- 東京・品川寺鐘 - 四代将軍徳川家綱寄進。幕末に万博出品されるも行方不明となり、昭和5年に返還された。
- 愛知・久国寺鐘(天長山) - 芸術家・岡本太郎が製作。
- 大阪・大坂町中時報鐘(大阪市中央区釣鐘町):寛永11年(1634)、徳川3代将軍家光が来坂した折、人心掌握と大坂振興のため、大坂三郷の地子銀(固定資産税)を永代免除する沙汰を出した。この厚遇に感激した惣年寄たちが評議し、家光の善政を顕彰するために鋳造。高さ1.9m、口径1.1m、重さ約3t。なお、鋳造を手掛けたのは藤原家次(釜屋宗左衛門)とされる。
- 京都・方広寺鐘 - 重さは 82.7 t で日本一の重さと言われる。銘文中の「国家安康」の句が徳川家康の豊臣への怒りを買ったとされる。
- 京都・知恩院鐘 - 日本一の大きさと言われる。
- 熊本・蓮華院誕生寺鐘 - 大きさ、重量ともに世界一[要出典]の大梵鐘がある。口径九尺五寸、高さ十五尺、重量一万貫。昭和五十二年鋳造。鋳造元は 岩澤の梵鐘
- 和歌山県日高郡日高川町道成寺:梵鐘がないことで有名、安珍・清姫伝説に基づく。
- 静岡・袋井市出土鐘 - 1983年に茶畑から出土した。平治2年(1160年)の銘があり、製作年が明らかな梵鐘としては日本で12番目の古さ[5]
文学の中の梵鐘
- 「凡そ,鐘の声は黄鐘調なるべし」徒然草、卜部兼好作
- 「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」(正岡子規の俳句)
- 「夕焼け小焼けで日が暮れて、山のお寺の鐘がなる」(童謡『夕焼け小焼け』作詞: 中村雨紅、作曲: 草川信)
- なお平家物語冒頭の有名な句「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」は往生要集の記述「祇園寺無常堂の四の角に、頗梨の鐘有りて、鐘の音の中に亦此の偈を説く」を下敷きとしている。「頗梨」とは水晶ないしガラスのことであり、ここでの鐘は梵鐘ではない。
注釈
出典
- ^ 千々岩健児「古代の鋳物技術について」『生産研究』第9巻第9号、東京大学生産技術研究所、1957年9月、346-350頁、ISSN 0037105X。
- ^ 坪井 1993, p. 5.
- ^ a b 梵鐘の種類『館林郷土叢書. 第5輯』館林郷土史談館 編 (館林図書館, 1940)
- ^ 坪井 1993, p. 37-53.
- ^ (公財)元興寺文化財研究所 (2014年3月). “平治二年銘梵鐘調査報告書 -その1-” (PDF). 静岡県袋井市教育委員会. pp. 序,1,15. 2015年11月16日閲覧。
- ^ 板谷憲次「御鋳物師会と天明鋳物」(PDF)『素形材』第48巻第10号、一般財団法人素形材センター、2007年10月、32-35頁、2015年1月7日閲覧。
- ^ “会社概要”. 小田部鋳造株式会社. 2015年1月7日閲覧。
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